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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第二章:新たな力
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第四十六話:VSアリゲートタイタン

なんとかモデムが復活してくれたのでいつもどおりの更新です。

戦闘はこっちのペースで進み、順調にダメージを与えられている。


「このままでいけば勝てますね!」


リボンが声を上げるがそれを聞いた俺の脳裏をある展開を想像する。見ればスワンも同じような顔をしていたのでおそらく同じことを想像したのだろう。


すなわち、((それフラグワードー!))である。


案の定、アリゲートタイタンは後方に大きく跳躍して最初に座っていたソファの上に着地すると、その衝撃でソファが破壊され、その中から右手に持っているのと同じような大剣が姿を見せる。


「二刀流か」


一気に状況が厳しくなった。一本なら俺だけでも何とか耐えられるが二本となるとタンク一人では防ぎきれない。しかも俺は本職のタンクではなく唯一盾を持っていたから臨時でやってるだけなのでさらに防げる確率が下がる。


しかし、現実はそんな想像をあっさり超える。


出てきたもう一本の剣を左手で持つと二本の剣の柄同士を合わせた。それにより二刀かと思った相手の武器は一本のダブルセイバーとなった。

ダブルセイバーとなった剣を両手で持ち、軽々と回転させるアリゲートタイタン。


「リボンのバカー!」

「え!? 私のせいなの!?」


この状況でもボケと突っ込みを入れられるスワンとリボンは放っておいて、俺は攻略手段を考える。


(錬金アイテムは数に制限があるからこんな序盤で使いすぎるわけにはいかない。となれば、ここは遠距離攻撃!)


「ティニアさん、アリサさん、下がって!」


俺の号令に従い下がる二人に対し俺は前に出る。


このパーティーで戦闘をする場合、陣形は二つしかない。

俺・ティニアさん・アリサさんが前衛となるパターンと俺だけが前に出て攻撃に耐え他全員が後方射撃を行うパターンだ。


まあ、リボンとスワンも多少近接戦闘が出来るようになったみたいだし、アリアさんに至ってはフライパンさえあれば何とかなるだろうと思っている。


さて、ダブルセイバーと戦うのは初めてだがやることは変わらない。相手の攻撃を受けて、ヘイトを集め、他の味方への攻撃を可能な限り減らすことだ。


接近してきた俺を迎え撃とうとダブルセイバーを掲げるアリゲートタイタン。一撃の攻撃力は先ほどと大して変わらないだろうと盾をしっかり構え、念のため広範囲を防御できるように〔ワイドプロテクション〕を発動させる。


しかしそれは失策だった。


最初の一撃は何とか耐えるもすぐに二撃目が襲いかかってきた。

ダブルセイバーは剣同士を連結させた武器でその一番の特性は攻撃範囲の広さ。しかしいくつかの条件が重なるとさらなる脅威が生まれることを俺はこの時初めて知った。


攻撃した時にのけぞらないほどの攻撃力と素早く体を回転させることのできる足腰があると、最初の攻撃が終わった後その勢いのまま体を回転させることで次の攻撃につなげることができたのだ。


さらに〔ワイドプロテクション〕は防げる範囲は広いが一撃受けると消えてしまうということも重なり、俺は二撃目を盾のみで受けることになった。当然スキル無しで受け止められるわけがなく、衝撃により背中から壁に叩きつけられHPを大きく削られる。


俺を呼ぶ声が聞こえてくるがそれに返答する余裕すらない。さらにアリゲートタイタンは俺にとどめを刺そうと跳躍し、ダブルセイバーの切っ先を俺に向けている。


「〔ライトニングパイル〕!」


アリサさん咄嗟にが放った一条の雷がダブルセイバーに当たり、切っ先をずらしたことで死を免れる。


壁に剣が刺さり動きが止まったアリゲートタイタンにティニアさんが接近してくるのが見える。その口が動いており、何らかの詠唱をしているようだ。


「〔ボルカニック……」


聞き覚えのない魔法名を唱えた途端、ティニアさんの右手が炎に包まれ、何倍かもわからないほど巨大な炎の腕となる。

炎の腕を顕現させたティニアさんは一旦その腕を後ろに下げ、腰をひねる。遠心力を味方につけた炎の拳がアリゲートタイタンの巨体に叩きこまれる。


「フィスト〕ー!」


ほぼ同じ大きさと思えるほどの拳によりアリゲートタイタンは吹き飛ばされる。その様子を確認することなく俺を抱きかかえ、後方へと駆けるティニアさん。

その先にはすでにハイポーションを握っていたアリアさんがいて、到着するとそれを俺の口に突っ込む。


「アルケさんは回復するまで待機! いくわよアリサ!」

「あいさー!」


二人がアリゲートタイタンに向かっていく。女性に守られるのは情けないがここは任せることにする。

……と思ったら、HPが想像以上の勢いで回復していく。


「改良に成功した秘蔵の〝ハイポーションα″です。これならすぐに復帰できると思うんですけど……」

「いえ、助かりました。今度作り方教えてください」


こんな雰囲気なのにあえてボケる。アリアさんもそれを察して「アルケさんって【調薬】ないでしょ?」とツッコんでくれる。


狙いは未だに動揺しているスワンとリボンを攻撃に参加させること。作戦は成功し、その顔にわずかながら笑顔を見せる二人。


「っで、二人とも? 準備は?」


「お任せください!」

「さっきの分も取り返します!」


戦意が戻ったスワンとリボンの二人にそれぞれ指示を出す。目的はティニアさんとアリサさんの援護だ。


「二人とも狙いは頭。もっと言えば顔だ。ハリネズミにしてやれ」

「「はい!」」


それぞれ弓を構え、左右に別れて行動するスワンとリボン。


俺も戦闘に参加したいがまだHPが全快していない。あれ以上の攻撃があるかもしれないのでここは全快の状態でなければ防げないと思い、回復するのを待つ。





その後HPが全回復した俺も前線に加わり、HPが少なくなってくるといつのまにか近くにまで来ていたアリアさんが回復してくれる。周りを見ると俺+アリアさん、ティニアさん+スワン、アリサさん+リボンという組み合わせができており、スワンとリボンは攻撃しつつもティニアさんとアリサさんを回復させている。


俺もだんだん攻撃パターンが分かるようになってきたので、これまでと違い受け流すようにしたおかげでHPの減りが少なくなる。


この調子ならいけると思ったが、残り3割になるとダブルセイバーの刃が青い輝きを放ち始め、刃の攻撃がティニアさんとアリサさんの魔法を切り、消滅させた。


「そんなの有りですか!?」


リボンが驚愕するも残りHPが少なくなると行動パターンが変わったり強化したりするのはCWOのボスモンスターなら普通のことだ。


遠距離魔法が使えなくなったことでティニアさんとアリサさんも接近するしかなくなったので全員が前に出てくる形になってしまったが、俺がやることに変わりはない。ヘイトを集めて盾とアクトを駆使して攻撃に耐える。正直攻撃を受け続けるのは怖い。本職のタンクの方々を尊敬するよ、ホント。


たまに咆哮による【威圧】によって接近している俺とティニアさん・アリサさんが動きを止められ、ダブルセイバーを回転させる攻撃によりダメージを受ける。しかし、【威圧】の範囲外にいるアリアさんやリボン・スワンによる回復アイテム投擲により凌ぐ。


最後は俺が攻撃を防いでできた隙にティニアさんの〔ボルカニックフィスト〕で吹っ飛ばされ、空中を飛んでいる間にアリサさんの〔ライトニングスピア〕とスワンとリボンの【弓】アクトで攻撃されたアリゲートタイタンはその姿を爆散させ、空中に『Quest Clear!』の文字が浮かぶ。


同時にウィンドウが俺とスワン、リボンの目の前に浮かんだ。

アクト補足:〔ボルカニックフィスト〕

【火属性上級】のアクト。利き手の腕全体に炎を纏うことで巨大な炎の腕を作り、そのまま殴りつける魔法。威力は高いのだが、有効範囲が短い。


作者「以上の特性から魔法使い系プレイヤーにはあまり人気が無いアクトです」

ティニア「結構使える魔法なんですけど……」

アルケ「普通魔法使い系は近接攻撃しないですよ」

ティニア「酔っぱらったお客様にお帰りいただくのに役立ちますよ♪」

作者&アルケ「……」


*ダブルセイバーについては私的見解も混じっています。単に使ってみたかったんです。


ではまた三日後に。

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