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聖女のスキル


私のスキルは“大聖女”と“隠蔽”でした。


…しかし、この私のスキルが皆に知られる事はありませんでした。





少し焦りましたが…順番が来る少し前に、自分で自分のスキルを確認する事が出来ることを思い出したのです。


するとどうでしょう。


なんと“隠蔽”スキルが追加されていたのです。




どうやら、今世では過去を隠して生活していたので新たに隠蔽スキルを頂けたみたいですね。


ありがとうございます、神様。



ですので、早速隠蔽スキルを使って“聖女”スキルを書き換えたのです。


正直、“隠蔽”スキルが発動するかは不安でしたが、隠していた日々が経験値として認められたのかきちんと発動する事が出来ました。



ですので、体外的には私のスキルは“一般人”だと認知されたはずです。



…これで私は今まで通り、過去の黒歴史を隠して過ごしていけます。





「なんだよ、お前。ショボいスキルだな。…しょうがねぇから俺が守ってやっても…」


クラスメートの進藤君が何やら話しかけてきました。


進藤君は確か先程“勇者”のスキルを貰ったと騒がれていましたね。


確かにとても希少なスキルです。年に1人か2人くらいしか現れないスキルなので黒歴史に抵抗がないのなら、ぜひ頑張ってもらいたいと思います。



勇者スキルは後半の伸びは大きいですが、弛まぬ努力と仲間達との連携によって成長するスキルです。

常に自分よりも強いものに向かって努力を続けなければ中々成長しないスキルですが、頑張ればいつか魔王にも匹敵する可能性を秘めています。


…まぁその性質上、平時はスキル上げの為の環境や努力を出来る人自体が少なくて敬遠されがちなスキルなのですが…。


しかし、幸運な事に今は有事です。過酷な環境はいくらでもありますので後はきっと必死になって頑張ればきっと良い結果となるでしょう。


「…ちょっと、ねぇ、進藤君!私、聖女だったよ!すごくない??…ほら、こっち来てよ!」


「…ち、ちょっとまてよ。俺は今…」


進藤君の腕に絡むように来たのは鈴木さんです。


クラスでも明るいムードメーカーのような彼女はどうやら“聖女”だったようですね。


前世の私と同じです。




「…あれ、“一般人”だった山田さんじゃん。

…ぷぷ、すごいよねぇ、皆が希少なスキルの中で“一般人”なんて…。

ちょーうけるんだけど。

でも、まぁお似合いじゃない。

…っていうか、そもそも“一般人”って、それスキルなの?」


「…え、あ…」


笑いながらコチラに向かって話す鈴木さんに上手く言葉を返す事が出来ず口篭ってしまいました。



鈴木さん、鋭いですね…。


そうなのです。

“一般人”はスキル名ではないのです…。


スキルの“隠蔽”を使って鑑定に工作をしようとしたのですが、しっくりくるのが思い付かないうちに順番が来てしまい、咄嗟に頭に思い付いたのがそれだったのです。つまり、“一般人”なんて既存のスキルには存在しません…



後になって、“生活魔法”や“水魔法”にでもすれば良かったと思ったのですが後の祭りです。


まるで称号のような名称の希少スキルが続いていたので、ついつられてしまいました…。



…あ!そうです。

称号とスキルは別物なのです。



スキルはあくまでスキルなので、磨けば上げられる自分の才能を表しているのです。


因みに私のスキルは“大聖女”と“隠蔽”ですが、称号は“聖女”です。


既に私の聖女スキルはMaxまで磨き上げたので次の段階の“大聖女”が出てきたのでしょう。


そして、クラスメイトの中に今のところ称号持ちは存在しませんでした。


これからの努力次第では“称号”を手に入れられる方が出てくるのではないでしょうか。



あ、因みに必死になれば属性とかは関係なくどんな魔法も使う事は出来ます。


ただ、覚えるのがとても大変なのでスキルを持っていないのに使おうと考える人はとても少ないようです。


…便利なんですけどね。




「…あのさ、ちょっと私達これからについての大事な話し合いをしなきゃいけないの。だから、今はあっちに行っててくれる?上位スキルの子達で話し合わないといけないの。わかるよね?」


温度のない笑顔でこちらを見る鈴木さんに少し戸惑ってしまいました。


このような目で見られるのは前世以来久しぶりの事です。


「…あ、ゴメンなさい、気がつかなくて。進藤君、私のことは大丈夫だから…」


「…ほら、山田さんもこう言ってるし!行こ!」


「…まだ話は途中だったんだけど…。

…まぁ、しょうがないか…」


去っていく2人をぼんやりと眺めます。



それにしても鈴木さんは聖女ですか…



本当に…


…なんてお気の毒なんでしょう。





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