98話
幸太君、視点では難しかった!
ミラさん視点です。
「ミラ、カメラのバッテリーは残ってるかな?ライブで頼む。」
一瞬、幸太が何を言っているのか分からなかった。
幸太は、今からの映像をライブで流せと、そう言っているんだ。
私は、耳の上のカメラを初めてライブに切り替えた。
未だ状況についていけない友人に、精一杯の言葉を送る。
過剰な言葉は、周りの注目を集め、2人を危険にさらす!
最低限の言の葉を操り、私は友人を助けんと動く。
幸太のスマホの映像を見ながら、何とか真似する。
『UFO!』
ギルド内で、戦闘の火蓋が切って落とされた。
「遥!テーブルを盾に!ソフィアと2人でみんなを守って!!」
信じられない、普段、あんなに自信のなさそうな顔をしてる幸太が、怒鳴り散らして指示を出している。
テーブル自体も、自分でひっくり返し、身を呈して私たちを守っている。
「ソフィア!やれるね!?」
「大丈夫です!この装備なら抜かれません!!」
2人は、この一瞬で、ソフィアの甲冑なら弾丸すら通さないと、確認をした・・・。
私は見ているばかりだ。
「鑑定室の方に行く!自衛隊の人に保護してもらうんだ!ミラ!撃てるか!?」
幸太の目は、私に人が殺せるかと、そう問いかけているようだった。
その目から、視線を外した私が見た物は、友人の姿だった。2人とも震えていた、ソフィアは震えながら盾を構えて立ち尽くし。エミリアは槍を握り締めるも、地面に座り込んで立ち上がれない様だ・・・。
私は、業を背負う覚悟を決めた。
ソフィアとエミリア・・・。
2人の親友のためならば、私は100000000人でも殺してみせよう。
幸太は鑑定室だと言った、そちらのゴミに向かって撃てばいい、簡単な事だ。
私は迷わず、魔法をはなった。
「僕が切り開く!ソフィア、遥、2人を頼む!」
銃声が鳴り響くフロアで、私はただ驚いていた。
幸太は、確かにうちのリーダーだった。
「エミリア、顔を見せてくれ。」
幸太はそう言って、エミリアの頬を撫でると、笑みを浮かべて突撃していった。
私は自分を叱咤し、ソフィアとエミリアにカメラの起動を命じる。
優しく声をかけてる時間なんてない!
起動して、ライブにしろと叫んでいた。
幸太は鑑定室に向かえと言った。
そちらでは、テロリストと自衛隊員が激しく撃ち合いをしている。
彼は、私が爆散した遺体を物ともせずに、突き進み、テロリストを駆逐していった。
もはや私には、彼が、どのように剣を振るっているのかさえ分からない。
ただ突撃し、テロリスト共をバラしていく。
彼が走り回る毎に、私たちを狙う銃弾が減って行き、彼が切り捨てる毎に、フロアの喧騒が消えていった。
命の危機が去ったと知った時、私はその場に崩れ落ちた。




