97話
ダンジョンから出た僕は、違和感を確固たるものだと感じ始めていた。
何かが、確かにおかしいと。
ギルドに入り、渋いドロップを清算しながら、違和感の正体を探る。
ギルドの待合室で、席に座って一息ついても、違和感が拭えない。
なんだろう?
「なんか、今日は変な感じがするね?」
とりあえず、パーティーのみんなに、何か感じないか尋ねてみた。
「そうかな?特には何も感じないけど?」
「うーん、特には?」
「うん、ちょっとピリピリしてるかな?」
遥君とソフィアは何も感じていないようだ、エミリアは勘が働くから、空気は感じてるのかな?
ミラはどうだろうか?
「ふむ、いつもより日本人が多いかな?」
僕は周りを見回す、そんな事はない。
「日本人が?」
「ああ、ギルドの前の広場もそうだが、沢山いたぞ?」
僕は、思わず眉をひそめてしまう。
ミラに言われて思い出す。僕の感覚とは180度真逆の事をミラは言っている。
この休憩スペースだって、外国人が圧倒的に多い・・・。
「・・・そうか、今日は日本人じゃない、アジア人が多いんだ。」
僕にはなんとなく、日本人と他の中国人や朝鮮人が違う人種に映る。
ミラには、アジア人の区別なんてつかないんだ。だから、意見が真逆になるんだ。
今日は外国人が多いな、僕はそう思っていた。
だけど違った、アジア系の人、それも日本人じゃない人たちが、辺りを埋め尽くしているんだ!
僕は直ぐに、2年前のテロを思い出した。
朝鮮系のテロリストが、東京ダンジョンを寄越せと仕掛けてきた事件だ。
300人近い規模で、ダンジョン付近を占拠し、その後壊滅させられた事件だ。この事件で『上泉 信綱』の名前は一気に世界に広まった。
一本の刀を持って、たった1人でテロリスト共を皆殺しにしたと言われている。
実際は、他にもいっぱいいたのだろうけど、そこで『上泉 信綱』が圧倒的な活躍をした事は間違いない。
僕たちの周りは、アジア系の人種で埋め尽くされている。
咄嗟に僕は立ち上がった、だけどほんの少し遅かった。
「君!肩に担いでるそれは何かね?」
真面目な自衛隊員さんが、謎のバックを担いでギルドに入って来る、アジア人に職質をかけてしまった。
「遥君、今から踊れるかな?懐かしい映像を見つけたんだ、みんなで一緒にどうだろう?」
僕は、ありったけの念を込めて、遥君に視線を送った。
「あ、・・・ああ、良いよ。踊ろうか。」
「ミラ、カメラのバッテリーは残ってるかな?ライブで頼む。」
ミラは慌てず、急いでカメラを起動して、2人に声をかけてくれる。
「ソフィア、エミリアも立て!踊るぞ。」
ミラ、君の知力に乾杯だよ。
ステータス値にこれがなくて、本当に良かったよ!
それにしても、何でこれが残っていたのだろう?
僕は、遥君と一緒に初めて踊った曲を流していた。
怒号と銃声が鳴り響きだした、ギルドのホールで僕たちは踊る。
『UFO!』
難しくなくて、インパクトのあるもので、選ばせていただきました。
他にも、すごい物は沢山あるんですけどね。
最初のワンフレーズ、これが大事だと思いました。




