75話
3階層に入って、ゴブリンとの戦いの難易度が少し上がった。
『ゴブリン・ライダー』という、無駄にかっこいい名前の奴が、結構厄介だ。
ウルフのスピードと、ゴブリンの器用さでもって攻撃してくる。
その上、ウルフを倒せば、ただのゴブリンとして戦うし、ゴブリンを倒せば、ウルフとして戦いに参加してくる。時々乗り降りまでして、戦術の幅を広げてくる、厄介な奴らだ。
「ライダー2匹が右に回り込んだぞ!幸太そっちは左だ!」
「・・・了解。」
僕が一瞬左を見たのを、ミラに見咎められた。
しょうがないんだって!
ソフィアは敵本隊と交戦中だ、エミリアが槍を振って牽制する。
さすがに、槍の間合いは『ゴブリンライダー』にも有効だ。
むしろ槍には、ウルフ単体の方がやり難くい。左右への、早い動きに対応しずらいからだ。
「奴ら降りるぞ!エミリアはゴブリンを!ウルフは私が牽制する!」
「前は任せて、ソフィアはミラの援護に。」
本隊も残り一匹と手負いだったので、ソフィアにはミラを守ってもらう。
「はい!」
ソフィアの装甲は、ウルフの牙なんかじゃ、どうにもならないほどに硬い。
それこそ、ゴブリンの武器がなきゃ、ソフィアにダメージ1つ与えられない程に。
「ソフィア!?」
「こっちは終わったよ。」
ソフィアが急に参戦して来た事に、ミラは驚いたのだろう。
それに対して、僕は本隊の終了を告げた。
「助かる!」
結局、最後のウルフには逃げられた。
「急いでここを離れよう!」
「「「了解。」」」
ドロップを拾って、急いでその場を後にした。
途中幾つか、ゴブリンにドロップを持ち逃げされた。
あいつら、そんな事までやるんだよ!
「・・・追って、は、こな、・・・いか・・・。」
「今のところはね、休憩しておこう。ミラは休んで、僕が見張ってる。2人も休んで。」
息も絶え絶えのミラを、優先して休ませる。
2階層でも、稀にウルフが仲間を呼んだ。
本当に稀だから、見る機会なんて滅多にない。
それがこの階層では、時々ある。
しかも、ウルフだけなら良いけど、1つのゴブリンの群れが丸々やって来たり、『ゴブリンライダー』だけが駆けつけて来たりと、バラエティに富んでいる。
ゲームでもよくある無限湧きだ。
倒し方が確立されていれば、良い稼ぎになるかもしれないけど、初めて3階層にやって来た僕らには、エンドレスにやって来るモンスターは恐怖でしかない。
僕も含め、みんなすごく消耗させられた。
それに加えて、ミラの杖がやられたのも痛い。
増え続けるゴブリンに、1度囲まれてしまって、背の高いゴブリンの接近を許してしまった。
奴の剣をミラが杖で受けた結果、杖が壊れてしまったんだ。
あの時はさすがに焦った。
すぐに、予備のナイフを取り出して応戦したミラは、賞賛に値する働きだった。
「そのまま聞いてくれ、1度2階層に上がろう。原因の究明も戦闘の続行も、この階層じゃあ難しい。そっちで本格的に休憩して、午後どうするか決めよう。」
戦闘の続行も難しいと言いつつ、僕は、この階層をどうすれば攻略出来るか、考えていた。




