60話 ゴールデンウィーク
昨晩のメールは、放置する訳にもいかず。
誤解を解く為に四苦八苦した。
結果としては、ミラ側の翻訳アプリが大衆向けじゃない、お遊びアプリだった事が原因だ。
基本的に、誤変換上等なアプリだったらしい。
それで遊んだ後、停止させずに、僕のメールを変換した為、誤解が生まれるような結果となったようだ。
それにしても、無駄にハイテクな遊びだ。
ソフィアが卒倒しそうだったとか、エミリアから送られて来てた。
3人で同じアプリを使って遊んでたのかとか、インフルエンザの人に会いに行ったのかとか、こんな時間に一緒にいたのかとか、色々とツッコミたかった。
まあ、ちゃんと誤解は解けて、大丈夫だったならそれでいい。
ただ、その所為で、僕は朝から眠い。
6時半に遥君と約束して、ダンジョンの前で待ち合わせだ。
ゴールデンウイーク初日は、混雑が予想される。
出来るだけ早めに出て、2階層又は3階層で狩りを行いたい。
あまり、3階層以降は人が多くないと聞いている、モンスターの群れと実力が上がって、探索者の死亡率が高くなるからだ。
銃火器の効果が、目に見えて落ちてくるのもこの階層かららしい。
「やあ!おはよう幸太。どうしたの?眠そうだね。」
「おはよう遥く・・・、おはよう遥。」
「別にどっちでもいいよ?」
「慣れだからね、もうちょっと慣らすよ。」
そんなもんだろう?
遥君だって、一人称が時々ブレてるし。
「最初に、出発は5時半って言った幸太らしくはないね。」
「ちょっと、深い事情がありまして、詮索しないで頂けると、大変助かります。」
「大した事情じゃないけど、詮索は避けたい訳だね?じゃあ、了解。」
はい、その通りでございます。
僕の言葉の意味を、遥君は正確に理解してくれたようで、何よりだ。
「持ち物だけ確認してから行こうか。」
「分かったよ。」
「時間が経つと、人が増えて来ると思うんだ。そこで、お昼ご飯はダンジョン内で採って、早めに上がる予定で動きたい。ここまでは良いよね?」
昨日、約束をした時に話しておいたけど、念のための確認だ。
ソフィアはインフルエンザで、昨日の今日動けるとは、始めから思っていない。だから、僕は遥君と、あらかじめ約束しておいたんだ。
「うん。」
「だから、簡単に食べられる物と十分な水分が必要だ。出来れば、重いけど2ℓのペットボトルが望ましい。遥君足りそう?」
「大丈夫だ。運動量も考えて、塩分も持って来たよ。」
「素晴らしいです。」
本当に彼は完璧だね。
ダンスをやってたって言うから、その時からしっかりと、水分、塩分は、補給する癖がついているのかもしれないね。
まだ人も疎らなこの時間に、僕らは2階層を目指して移動を開始する。
時々、こんな時間から気合の入った人が頑張ってる、それを横目に、目についたゴブリンは片っ端から始末して、どんどんと先を急ぐ。
今回は純粋なLv上げだ、必要以上に踊る事はない。
だけど、20分ぐらいで踊り、継ぎ足して行く事を提案した。
本当は15分ごとだけど、MPを無駄には出来ない。念のため少し余裕を持たせた形だ。
今ではなく、今後を考慮した、タイムスケジュールを意識して組んだ。
MPと集中力が続く前半に、どれだけの成果が出せるかが、今回のLv上げの肝だろう。
それとともに、戦いの合間に踊る癖をつけていく・・・。
踊る癖・・・、自分で、スケジュールを組んでおいて、理解不能なワードだ・・・。
正直、理解は出来ない。だけど、使わないのは勿体無いこのスキル。
もうちょっと、使いやすいスキルはなかったのかとか、問いたい。
誰にだって話だけどね。
僕らは、さっさと2階層に行き、踊って殺戮を始める。
「こっからが、スタートだよ!いけるね!?」
「ミュージック、スタート!」
遥君も腹を括って来ているようだ。
その反応に、僕は慌ててスタンバイする。
・・・うん、僕も踊るんだ・・・。
仕方ないんだよ、+10だよ?やるしかないって!?
「幸太!もっと肩甲骨から!ダイナミックに動かして!」
「・・・っ!了解!」
僕に、ダンスの指導をされてもね・・・。
だけど、支援は受けたいから、僕は、頑張って喰らいついた。




