59話
遥君の動画撮影は上手くいったと思う。
まあ、素人がやってるしね、最初は手ブレが気になったり、指が写り込んだりしてやり直した。
やり直すたびに、良くなっていく遥君の動きに、殺意を覚えるほどだ。
ノーベル先生!あなたの発明を、いま僕に!!
ロバート・オッペンハイマーさん、僕に力を!世界を地獄に変える力を今!!
イケメンめ!爆発しろ!!
ふぅ〜。
・・・これ、編集の必要なくない?
遥君のイケメンぶりが完璧だよ。僕みたいな、アンチイケメン以外には結構うけると思う。
僕は配信系、探索者としての遥君を雑に世に送り出した。
そして、いつもの動画を見て、自分の求める動きをチェックする。
『都築一刀流演舞』、有名流派からの派生マイナー流派の演舞だ。どのくらいマイナーかというと、再生回数の半分くらいは僕が回してるってくらいのマイナー流派だ。
でも、これを見ると、僕はすっと背筋が伸びるんだ。
ダンジョンに行く事を決めた時から、僕はこれを、お手本にして今までやって来た。
ギルドのお姉さんは、この動きが出来ている。
基礎の部分で、僕よりも圧倒的な練度だ。
苗字も一緒だし、親族か何かだろうか?
あのお姉さんは、やっているのではない。当たり前の事として無意識的に、この動きが出来ているんだ。
監視役として、鑑定室に1人でついて来ていた。
もっとも危ないはずのポジションに、あのお姉さんがたった1人だ。尋常な事じゃない。
あのお姉さんは、Lv10以上の探索者だ・・・、間違いない。
この動画を見た所為で、神経がピリピリして、すぐには寝られそうにないので、探索系の『丸さん』の動画でも見て、まったりと落ち着こう。
彼のメインにしてるダンジョンは大阪だが、時々ふらっと他のダンジョンにも顔を出している。豊田のダンジョンにも来ていたみたいだ。次はきっと静岡だろう、あそこのギルドが、もう少しで完成予定だからね。
ギルドの紹介も兼ねて、きっと行ってくれるだろう。
まあ、『丸さん』はそんなに真面目な探索者じゃない、何事も面白さ優先だ。
宝箱を開けたら、とりあえず道頓堀川まで走って行って、虎球団の応援歌を歌いながら川にダイブするんだ。
熱を冷ます為だとか、言ってるけどね。お巡りさんにご厄介にならないでね?
宝箱の、漢解除を流行らせた先駆者でもある。
とにかく、気を抜いて楽しめる配信なんだ。
本人視点だったり、他人視点だったりするから、誰かと一緒にいるんだろうけど。なぜか、この人が写り込んだりはしないんだよね。
頑張って、編集してるんだろうね。
遥君の動画も、音楽くらいはつけた方がいいかもしれない。
厄介な事に、足を突っ込んでしまった。
おっと、LINEが来た。
もう2、3日、ソフィアが動けそうにないっと。インフルエンザも大変だね、僕には分からないけどね。まあ、予想通りだね。
『適当にソロ活動しておきます、気にせずにゆっくりと治してください。』っと、こんなところかな?
実際には、遥君と行くんだけど、そこまで書く必要はないよね。
また来た?
『お前は変態か?新たなフェチシズムか何かか?』
え?ミラさん?
・・・翻訳機!翻訳機!?
そっちのソロ活動じゃないよ!?仕事しろよ翻訳機!




