48話
ミラさん視点です。
ちょっと長くなってしまいました。
「悪いな、2人とも時間を取らせて。」
「気にしないで下さいミラ。」
「うんうん!あたしも、この間2人を買い物に付き合わせたところだしな。」
「あれは楽しかったですね〜。」
ソフィアは本気で楽しそうに言っている。
私にとっては、消したい記憶なんだが・・・、忘れよう。
だけど、あいつらめ!いつか仕返ししてやるからな、覚えてろよ!
「それにしても、コータさんは本当に人間が出来てますね。」
「ああ、ナンパ野郎をとっちめた話な、痛快だったな。あたしも参加したかった!オヤジ仕込みの蹴りが火を噴くぜ!」
幸太の話になったか。
ちょうど良いな。
「うん、その幸太の話なんだが。」
「ミラにもついに好きな人が!?おばさんに教えないと!」
「ミラがその気になったのか、うーん、強敵だな。これはあたしもウカウカしてられないぞ!」
・・・?
「はぁあ!?違う!違うぞ!?」
「まあまあ、良いではないですか、隠さなくって。」
「そうだぞ、あたしたちの仲じゃないか。」
あ、頭が痛くなって来た・・・。
時間を作って、幸太の話をしただけなのにこの反応って・・・。
・・・それなりに、ソフィアも意識してるって事なのでは?
あの、恋愛感情を置き忘れて来たようなソフィアが?
私の考え過ぎか?
いや、今は本題に入ろう。
「別に、そういう事はないよ。だいたい幸太は、ソフィアやエミリアみたいなタイプの方が好きだろう。」
「ミラ、好かれるから好きになる訳ではないのです、好きだから好かれたいのです。」
「うんうん!」
なんだ、こいつら・・・。
いつから、こんな風になった?
この間の買い物の時からか?
菊池とかいったか?あいつらに影響されたか?
友人の成長を嬉しく感じない訳じゃないけど、本気で私は幸太に対して、恋愛感情は抱いていないんだけどな、どうしたものか?
「その話は、また今度にしよう。今は大事な話をしておきたいんだ。」
「大事な話ですのに。」
「まあまあ、先にミラの話を聞こうソフィア。」
エミリアが冷静で助かった。
エミリアが冷静で、ソフィアが熱に浮かされてる?
・・・なんとも、不思議な状況だ。
「この前、幸太はLv3だと言っていた。」
2人が頷くのを確認する。
「だが、2人とも思い出してくれ、幸太の戦闘シーンだ。」
エミリアは上を見上げて、うんうん頷いている。
ソフィアは目を閉じて、・・・微かに頬を染めている。
一体、なにを思い出しているんだ?
「2人とも、あの動きが、後Lv2個上がったら出来そうか?」
「・・・無理ですね。」
「ん〜、・・・微妙なところかな?」
ソフィアは、素直に無理だと認めたな。
エミリアは、元から鍛えてたからな、それでも届くか分からない。良い読みだ。
「うん、私もそんな所だと思う。」
3人とも、共通の認識を持ってる事が確認出来た。
ここまでは、問題ない。
「じゃあ、何が私たちとそんなに違うのか?」
「男だからか?いや、違うな。」
「心が広いんじゃないでしょうか?」
ソ、ソフィア・・・、大丈夫かお前?
菊池の恋愛脳が伝染でもしたのか!?あれも、軽症で済んでいるように見えたのに、お前は重症か!?
「装備の違いは・・・、そこまであるとは思えないな。」
エミリア真剣に悩んでないで、ソフィアを止めてやってくれ!
フワフワと、まるで熱でもあるかのようだ。
私がソフィアを心配してると、急に、エミリアが顔を上げた。
「分かった!スキルだ!!そうだろミラ!?」
「あ、ああ、おそらく、そうだろう。私もそう考えて、今日は2人に時間を作ってもらったんだ。」
私が勝手に答えを言うよりも、2人に少し考えさせた方が、話に納得してくれると思って、しばしの時間待ったんだ。
「えーと、というと・・・、スキルは支援系・・・!?ですか!!?」
ソフィアも、やっと本来の調子が戻って来たみたいだな。
自己強化スキルの可能性も捨て切れないが、それならば幸太が隠す必要性はあまりない。
ソフィアは目を見開き、エミリアは苦い表情になる。
無理もない。
「他人にスキルを教えないのは、安全の為に必要な事だ。だが、パーティーを組むとなれば、ある程度知っておかねばならない。それでも信頼出来るまでは隠すべきものだろう。だから、2人も無理に聞き出そうとするな、良いな?」
2人は神妙に頷いてくれる。私が、まだ話を続けようとしている事を、察してくれているのだろう。
これだから、親しい友人というのは・・・心地良い。
「それによって、私たちは、選ばなければならない。幸太のスキルが世間に知られれば、狙われる事は必然だ。」
2人ともが、険しい表情になったな。
きちんと、私の危惧してる内容を、理解出来ているのだろう。
「安全な今のうちに、彼と袂を別つのか。それとも、十分な力を手に入れるまで、隠し通すのか。あるいは、祖国に彼を売り渡すのか。私が提示出来るのはその辺りだな。」
「祖国は彼をどう扱う・・・
「エミリア!?仲間を売り渡すのですか!?」
ちょっと、言葉選びが良くなかっただろうか?
だが、私の心情的にも、そんな気分だったんだ。
さて、どう宥めたものか・・・。
「ソフィア落ち着け。必ずしも、自国にとどまる事が幸せとは限らないだろう?中国を見ろ、タイもだ、ブラジルも良くない。では、日本は?生命がけの探索に見合った物を出しているだろうか?あるいは、我が祖国の方が、彼を手厚くもてなすかもしれないぞ。」
「それは・・・、その、でも・・・。」
「ミラ、それはまだ、可能性の話なんだよな?」
「そうだね。日本の探索者に対する扱いは、年々良くなって来ている。まだ、欧州各国に遅れている事は否めないけどね。」
そう、これが事実だ。
だけど、今ならまだ、ドイツの方が上だと私は断言出来る。
科学者なんかは顕著なものだろう、日本の科学者は才能のある人物を中心に他国に勧誘されて、出国している。
「彼には世話にもなったしね。私の心情としては、隠し通すを推したい所だ。」
「もう!」
「あたしに異存はない。あまりにも狙われる危険性の高いスキルだからな。」
ソフィアは赤い顔をしながら、頬を膨らませている。
エミリアは、言葉の割に冷静だな。
「ならば、その方向で進めよう。」
2人の了解が得られた。
話し合いの結果は、まずまずといったところだろう。
「念のため確認だ、ソフィア!」
「はい?」
「現在、国や組織に狙われやすいスキルは何でしょう!」
「1位が回復系で、2位が支援系、3位が鑑定スキルです!」
そう、この3つだ。非常に有用なスキルの割に出現率が低く、使用者だけでは戦力になり難い。すなわち、誘拐する側にとってみれば、ローリスク、ハイリターンな人選だ。
「よろしい!正解だ、正解者にはハグしてあげよう!」
「わーい。」
あれ?
ソフィア本当に熱があるぞ!?
その後、急いでソフィアを病院へ連れていった。




