413話 分身の術
僕はミューズに水を出してもらい、これを元にミューズをコピーした!
『『『『量産型ミューズなのです!!』』』』
「「完璧だ・・・!!」」
ミューズがいっぱいだ!!
僕はもう、顔面崩壊の危機だった・・・。
僕はコピーと一緒に、沢山出て来たミューズに歩み寄る。
ああ!僕が猫ミューズを拾い上げてる間に、コピーの奴に羊さんミューズが取られた!?
ならば、羽根付きミューズは渡さないぞ!
ワラワラと現れたミューズコピーを、僕のコピーと取りあう。
一人コピーミューズが呆れて、アデレードの元に行ってしまった。
我ながらなんて再現精度だ・・・。
ちなみに、僕の頭上のミューズも呆れてまくってる。
『ご主人様は、しょうもない事をさせたら天下一なのですよ・・・。』
そうかなぁ?
量産型アデレードとか・・・、犯罪臭しかしないし。
平和的で良いと思うんだけどなぁ。
件のジエゴさんは、ワラワラと現れて好き勝手動いて喋ってるミューズコピーを見て、感動している。
まあ、うちの子は可愛いからね!!ふんす!
残念な事に、これらのコピーは10分と経たずに消えてしまった。
だけど、これに対して反応した人たちがいる。
アメリカ軍兵士の皆さんだ!!
「なあ、これって 前 大統領とか出せないのか?」
「出来ま・・・・・・、せん・・・。」
僕は、つい嘘をついてしまった・・・。
彼らの怒りは本物だろう。
ギラギラと輝く瞳に、僕はついMPの心配をしてしまったんだ。
だって、一度始めたら、もう無理ですって言い出せない雰囲気が漂ってたんだよ・・・。
僕は成田を立つ際に、日本に引き渡された件の人物を近くで見て確認している。
だから、再現は出来る・・・。
でも、あまり見たいものじゃない。
人の狂気に触れる様を、人間性の限界を、そんな物を、僕はミューズに見せたくはないんだ・・・。
だから嘘を吐いた。
ジエゴさんに、この魔法を使わせてあげる事は出来ないので、今のを見てイメージを固めて、ぜひ実現して欲しいところだ。
「それにしても凄えなぁ・・・。」
ゴールドさんが、しみじみと呟いていた。
独り言かもしれないと僕は思ったけど、あえて聞いてみる事にした。
「何がですか?」
「ん?ああ、この魔法の使い方だよ・・・。破壊を撒き散らす為の魔法が、今は花火代わりだ。・・・この発想は、俺にゃあ無理だ・・・。」
ゴールドさんはコーラをグビリと一口煽り、空の星々を仰ぎ見る。
「だって、勿体なくないですか?せっかくのスキルなんですよ?上手く活用してあげなきゃ、それこそ宝の持ち腐れですよ。」
驚いた様子でこちらに目を向けるゴールドさん、その表情は真剣そのもので、若干居心地が悪い。
普段のおちゃらけた様子からは、想像出来ない表情だ・・・。
「・・・天才だよお前は・・・。」
「違いますよ?ちょっとだけ、上手く行ってるだけの高校生ですよ。」
「最近・・・、配信した映像が見てもらえるようになって、様々な意見を言って来る奴が現れるようになった。連中、無責任に言いたい事だけ言って行きやがる・・・。」
なんだろう?急に話が飛んだね。
普段明るく振舞っているゴールドさんにも、何か迷いでもあるのだろうか?
「連中は、メディアに乗った情報しか手に入らねえ。それが、ウソかホントかを見抜くのは極めて難しい。」
どうやら、ゴールドさんは聞いてほしいらしい。
きっと誰かに聞いてほしかったんだ・・・。
だから僕は、視線を合わせ相槌を打つにとどめ、先を促す。
打ち上げの熱気の中、そこだけにユタ州の乾いた風が吹き抜ける。
ちょっと肌寒い。
「やっと世間って奴に、ゴールドって俺の名前を覚えてもらったばかりさ!世の中、探索者といったらまず藤川幸太なんだ・・・。世界中がお前さんに注目している。
・・・探索者の代表だ・・・、キツイよなぁ・・・。
だが、悪いが代わってはやれない。大人なのにな・・・、情けねえよ・・・。」
考えて、考えて、考え抜いて・・・、そうして出て来た言葉なんだろう。
だからこそ、僕も安易な肯定も否定もしなかった。
「世界が、お前さんの一挙手一投足に注目している、気をつけろ。・・・いや、そうじゃないな・・・。まあ、なんだ、その・・・、俺たちは、お前さんの味方だから。そう、それが言いたかっただけだ・・・。
悪いな、時間取らせちまってよ。」
「いえ、ありがとうございます。とても心強いです。」
彼の不器用な優しさが、なんだかとても嬉しかった・・・。
風はまだ冷えるけど、凍える心配はなさそうだ。
背を向けて離れて行くゴールドさんに倣い、僕は澄んだ夜空に煌めく星々を見上げるのだった。
『ご主人様褒めるのですよ?』
「何を?」
『ミューズは空気を読んだのです!ゴールドを茶化すのを、ぐっと我慢したのですよ!?耐え難きに耐えたのです!!』
僕は超えらいミューズを心から褒めた。
主にゴールドさんの為に!!
ん〜?_φ( ̄ー ̄ )
うん!要らないね!!




