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373話

ドイツの首相さんです!


試し書きしていた掲示板回ですが、色々なご意見ありがとうございました。

今日明日には消しておきます。


ブックマークがずれる恐れがあります、皆様にはご迷惑おかけいたします。m(_ _)m

 年に一度の災厄の日、年の始まりを告げる音が鳴って早36時間。今も世界中で最後のダンジョンの捜索が続いている。

 他の9個はすでに見つかっており、どんなモンスターが出るのか、又どんなダンジョンなのかが様々なメディアを通して発信され、世界中を騒がしている。


「呼び出してすまないなフィッシャー君。」


「いえ、彼らが命がけで働いているのです、私だけおちおち寝ていられませんよ。むしろ、何か仕事でもして気を紛らしていた方が落ち着いていられます。」


「はっはは!親としての宿命だね。」


「その通りですね。ですが・・・これからの時代を思うと、止める訳にもいかないのが現状でして。」


「・・・なるほどな、時代か・・・。」


 携帯電話が普及し出した時代、インターネットが当たり前の時代、そしてダンジョンの出現した現代、時は恐るべき加速の仕方を見せている。


 判断を誤れば、私の政治生命はおろか子どもや孫にまで、そして国民にいたるまで被害を出しかねない状況だ。

 思わず自嘲の笑みがこぼれる。

 私は、そんな正義感や責任感などとは無縁な男だと自己を評価していたんだがね。


 それがどうだ?今や必死になって祖国の行く末を思い悩んでいる。


 ダンジョン氾濫の脅威を知り、探索者の凄まじさを感じ、ヴァチカンの映像をもって危機感を募らせた。

 危険な仕事は他人や貧乏人にやらせればいい。そんな思考では、探索者という強者はすぐに牙を剥くだろう。

 どんな法律も、どんな綺麗事も、強者の前では無意味だ。

 その軍事力を盾に好き放題やっていた、ロシアやアメリカを見れば自明の理だ。あれらの国も、近く探索者の脅威に晒されて、己の不明を嘆く事になるだろう。



「君は、あの時の会話を覚えているかね?」


「ダンジョン発生予測の話で間違いないでしょうか?」


 ああ、なんとも得難い者だ。

 日本との友好に大事な役割を果たしていなければ、すぐにでも私の補佐に欲するところだ。


「後1つ、覚えているかね?」


「アメリカであると・・・。補足しますと、西海岸が怪しいと娘から追加の情報が入っております。」


「ふはっ!」


 思わず笑ってしまう。

 ここまで8つ、僅かなズレを無視すれば9つのダンジョン発生を予見してみせた・・・。その彼から、さらに細かい情報を引き出すとは。


「連中、前大統領が世界中に振り撒いた不満と不信を払拭するのに躍起になって、足下がお留守になっているのではないか?」


「その技術力を使って、世界中でダンジョン発見調査を手助けしていますからね。おかげで、紙切れ同然まで下落した米ドルの価値が、やっとまともな水準まで引き上げられましたし、手は抜けないでしょうね。」


「連中は日本が怪しいと言って、さっさと見つけろと圧力を強めているが、我が国は調査を打ち切って良い物か悩むところだね。」


「ここまでの実績を考えますと・・・。とりあえず、関係各員に、一度十分な休憩を与えても良いのではないでしょうか?」


「なるほど、上手い落とし所だな。」


 その事を指示して、私も一息つく事にした。



 むろん、ここからが本題だ。


「一息入れよう。悪いがフィッシャー君付き合ってくれ。」


「はい。お供させていただきます。」




 場所を変え、他の者は席を外させた。

 盗聴されるのは構わないが、口出しされるのはうるさくてかなわない。


「宗教()共が彼を紹介してほしいと言って来ている。君はどう思う?率直な意見で構わない。」


「どんな手を使ってでも阻止します。」


「あんな連中でも、利用価値はあるとおもうが?」


「祖国の利益を考えれば、わざわざ()()()と彼の間に溝を作る必要はないかと。」


「おいおい、私は紹介するだけだぞ?」


「仲介すれば、連中の仲間だと思われるのは当然です。一般人は政治()とは違うのですよ?まして面倒事を持ってくる人物と、距離を取るのは当然の事かと。」


 ふむ、そうきたか・・・。

 世界中に根差している宗教屋との決別は、次回の選挙に影響しかねないが・・・、ここが歴史の転換点か?

 世界的に求心力を失った、宗教という古いファッションを捨て去る時期かもしれんな。

 流行を追うだけが能ではないが、スタンダードも時として変わるものだからな。


 帽子を被るのがオシャレな時代、葉巻を燻らせるのが紳士の嗜みだった時代も超えて、宗教が社交場以上の価値が見出せなくなった昨今、それを捨て去るのも一興か。


「・・・日本のダンジョンで傷ついたドイツ兵に対して、限定的に回復させても構わないと話がありました。」


「君は随分と交渉が上手いな。」


「いえ、待機だけでは首相のお立場に関わるかと・・・。」


「税金で彼らを雇った手前か・・・。」


 不確定要素が多過ぎて、すぐには言葉が出て来ない。

 政治の世界に生きて来た者としては情けない限りだが・・・。


 こんな時にこそ葉巻が欲しくなるが、今の時代タバコはイメージが悪い。タバコを吸ってるのが暴露されただけで選挙で落ちかねない、時代は確かに変わったな。


 今やダンジョンが発生し、ポーションや回復魔法なんてものが飛び出す世の中なのだ。彼らの手を取る事の方が、宗教屋と手を組むよりも、安全に浮動票の獲得に繋がると確信に至った。


 私は腹を括った。


 連中とは決別し野党の支持でもさせておいて、しかる後に宗教屋共には、税金逃れやゴシップのスキャンダルを用意して、今後は税金でもかけてやろう。



「今後、宗教屋共が蠢動するやもしれん、気をつけたまえ。」


「出来れば、彼らに影響が出ないようにお願いしますよ。」


「出来るだけ手は回すがね、連中もあれで老獪だ。新聞紙で一撃とはいかんよ。」


「隙間に逃げ込まれると面倒です、慎重にお願いしますね。」


 我々は2人してニヤリと笑い、ダンジョン調査明けに向けて協議を開始した。

ドイツの首相さん、名前はまだない。

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