表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/202

42,【覇王魔窟】の裁き。

 


「ジェシカさん。なんとか叙勲式の会場を見つけ出して、ミリカさんを連れてきてください」


「あいよっ!」


 と威勢よく飛び出していったジェシカさん。

 私はそれを見送ってから、暗殺者リーダーさんの亡骸の隣に座った。死体の頭をなでながら、


「すいませんね。こんなことになって、実に申し訳なく思います。悪気はなかったんです。ただちょっと、その場の勢いで、あなたの顔面を掘り返してしまいました。あなたも、まさか顔を鍬で抉られて死ぬとは思わなかったでしょう。5歳のときお母さんが作ったハムサンドを食べているとき、または16歳のとき初めての彼女さんと初体験したとき。まぁ想像ですが、そんなときにも一度たりとも、自分が顔面をガッツリ掘り返されて死ぬとは、そんなことは思わなかったはずなんですよ」


 ふと見ると、暗殺者さんの一人と視線があった。ためしに聞いてみる。


「許してくださると思いますか?」


「………えっ!?」


「この方ですよ。私が癇癪を起して殺してしまった、この方です。実に可哀そうな方ではありませんか。だけども、こうして謝罪したのだから、きっといまごろ天国で(`・ω・´)bという感じですよね? そうではありませんか? はい、そうですね。良かったです」


 暗殺者リーダーさんの死体の頭を撫でていたら、うっかり頭皮をいてしまった。


「あ、ごめんなさい。顔面が抉れているので、頭皮が緩くなっていたんですね。ちょっと、いま戻しますからね。あ、さらに剥けてしまう!」


 不可抗力で頭皮をずるずるいていたら、ジェシカさんが駆けこんできた。


「ミリカを連れてきたよっ! というか、アリア。死体損壊で遊んでいる場合か」


「遊んでいたのではなく、うっかり殺してしまったことを謝罪していたんですよ」


「暗殺者なんか殺されてなんぼだ。それよりミリカ、こっちだよ」


 ミリカさんが急ぎ足で入ってきて、現場を眺める。両膝を破壊粉砕されたため転がっている暗殺者さんたち。そのリーダーさんだけは、顔面を抉られて亡骸と化している。


「これは一体──」


 なぜか分からないが、このタイミングで、私は閃いてしまった。〈鎌鼬カッティング〉の攻略法だ。

鎌鼬カッティング〉には防御が意味をなさない。しかし、その事実こそが、攻略法のヒントなのでは? 少しばかり、破天荒な着地点だが──試してみる価値はある。

 実際、私は以前のバトルのとき、『それ』を試していない。ふむ。


 ちなみに、私はそんなことを考えながらも、ちゃんとミリカさんに事態の説明をした。

 まずこの暗殺者たちが、宰相さんに雇用されていたということ。はじめには、依頼者にエルベン侯爵の名を出したことも含めて。

 その上で、私の推測。

 エルベン侯爵による暗殺未遂に見せかけて、ハーバン伯爵にエルベン侯爵を攻撃させることが目的だったのでは、と。

 ただし、それが国王自らの考えか、宰相が勝手に行ったことかは分からない。仮に国王が思いついたとしても、さすがに王自らが依頼者とはならないだろうし。


「アリアさんの推測はもっともだが。それならば未遂よりも、実際にわたしの命を獲ったほうが効果的では? 父上は激昂するぞ」


「どうでしょうか。ハーバン伯爵が、あまりに頭に血がのぼりすぎるのも考えものでしょう。国王サイドもコントロールできなくなりますからね。やはり暗殺未遂で終わらせるのが丁度よい」


 ミリカさんは途方に暮れた様子で言った。


「わたしはどうしたものだろう? まさか、確実な証拠もないのに宰相を追求はできない」


「確実な証拠があっても、宰相を追求するのは問題外ですよ。宰相が単独で動いていたのならともかく、その背後に王がいたのなら、より厄介なことになりますし。ですから、何も見なかったことにするしかないですね。この暗殺者さんたちは外へ運び出し、宰相には何が起きたか悟られないようにするしかないでしょう」


 ミリカさんは悔しそうに言う。


「そのようだ……少なくとも今は」


「はい…………」


※※※


 全てが片付いた、その夜。


 私はいったん王都を出てから、こっそりと王都壁を飛び越えて戻った。

 王城まで、《操縦》による魔女飛行方式で飛んでいく。

 城内に侵入し、今回は迷わずに目的の執務室に入った。こんな遅くまで書類仕事とは、ご苦労なことです。それに叙勲式で、ちゃんと顔は見ている。


「どうもです、宰相さん」


 宰相さんはハッとして、私を見た。「くせ者!」と叫ぶ前に、その頭に魔改造(くわ)〈スーパーコンボ〉の柄頭を叩き込み、気絶させる。

 そして持参した大きな頭陀袋に、気絶中の宰相さんを入れる。

〈スーパーコンボ〉の柄にちゃんと縛り付けてから、《操縦》で飛んで、王都を後にした。


 そのまま、夜の空を飛行していく。重みがあるので、速度は出ないが、問題ない。

 そして──夜明け前には、【覇王魔窟】に到着。1階に入ってから、頭陀袋から宰相さんを転がり出す。そして頬を軽く叩いて、目覚めさせる。

 つづいて、これまた持参したブロードソード(昼間のうちに王都の武器屋さんで購入)を、宰相さんに渡した。


「頑張って、生き延びてください。いいですか? 気合いだけじゃダメですよ。ちゃんと頭を働かせて、状況を打開するのです」


 それから私自身は《操縦》によって、10メートルほどの高さまで上がる。


 呆然としていた宰相さんは、まず私に向かって怒鳴った。


「わしが何者か、分かっているのか! 降りてこい! 不届きな小娘め! 死刑に処してくれる!」


 だがすぐに「ひぃぃぃ、助けて、助けてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」と叫び出した。〈蠍群魔スコーピオン〉たちに囲まれてしまったので


 私は《操縦》で浮遊する〈スーパーコンボ〉の上で、バランスを取ってあぐらをかいた。


「戦って、宰相さん。戦って──」


 しかし宰相さんは、戦うこともなく、〈蠍群魔スコーピオン〉たちによって餌食となった。ハサミ触肢によって、生きたまま体中を切断されてしまい、絶命したのだ。


「あぁ、残念です」


 さてと。

 攻略記録ポイントを起動し、私は100階まで空間転移した。


 161階の〈鎌鼬カッティング〉へ、再挑戦だよっっ!!


ブクマ登録、下の評価など、お願い致しますー!。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ