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68話 ハーレムのおさらい的な回

 異世界セフィロートの大陸中央に位置する国、ユーディリア。

 かつては、72柱にも及ぶ強大な魔神達を従えたソロモン王によって統治されたこの国も……千年の月日の内に、衰退の一途を辿っていた。

 ソロモン王の失踪に伴い、彼に忠誠を誓っていた72柱の魔神の多くも散り散りとなり、ユーディリアに残っているのは僅かに数柱の魔神だけ。

 しかしそれでも、ユーディリアに残された人々、魔神達は……信じていた。

 必ずやソロモン王は舞い戻り、世界を再び統一してくれると。

 俺がこの世界にやってきたのは、ちょうど――そんな頃の話だ。


「この俺が、ソロモン王の生まれ変わり……ねぇ」


 最初にその事実を聞かされた時は、流石の俺も半信半疑であった。

 自分にそんな特別な素養があるとは思いもしなかったし、仮にそうであっても世界の命運を賭けて戦うなんてガラにも無い。

 

「本当に、こんな俺でいいのかな……?」


 何度もそう考え、悩み、頭を抱えそうになった。

 だけど今の俺は、たとえ誰に何を言われようとも、ソロモン王の生まれ変わりとして、この世界を救う事を拒みはしない。

 なにせ、今の俺の傍には……とても、大切な存在がいてくれるのだから。


「むふぅ!! 何を言うんですかミコト様!! 私はミコト様の事が大、大、大好きですっ! この世界の誰よりも大好きなんですから!!」


 俺がポツリと呟いた言葉を、真っ先に否定してくれる大声。

 その声の主は……基本アホっぽいけど、愚直な愛を常に注いでくれるルカ。


「はぁ? ふざけんじゃないわよ! ミコトの事を一番愛しているのはこのアタシに決まっているじゃない!!」


 そんなルカに続いて声を荒らげるのは、ベッタベタのツンデレタイプだけど、最近はゲロ甘なデレを見せてくれるフェニス。


「寝言をほざかないでくださぁい。ダーリンを世界一愛しているのは、どう考えてもこの私に決まっていますぅ!」


 三番手は、ヤンデレ気質だけど、一番熱烈なアプローチをしてくるハルるん。


「あやややや、果たしてそうでしょうか? ミコト氏はこの手前めの契約者であり、マスターであり、ご主人様なのですから。主の事を一番愛してやまないのは、間違いなくこの手前めであると言えましょう」


 四番手は、一々やかましいドMの雌犬……もしくは雌豚もどきのドレア。


「ぬぅんっ!! くだらんっ!! 勇士ならば間違いなく、この中で一番強き者を愛してくださる筈だ!! ならばそれは、この吾だろう!!」


 五番手は、美しい筋肉美を持つ、誇り高い戦士のキミィ。


「うぇーひっひっひ! 醜い言い争いですわね! ミコトが愛しているのはこのワタクシと同じく黄金に決まっていましてよ!」


 六番手は、何よりも黄金を愛している割に、実はかなりの仲間思いなGちゃん。


「このような自分勝手な方々にも愛を注いでくださるなんて、アナタ様はなんて素晴らしいお方なのでしょうか。私、ますます惚れ直しちゃいそうです」


 そして最後は、女神を思わせる絶世の美を誇りながら、天然気質な発言が目立つアスタ。


「ありがとう、みんな。お陰様で、やる気が出てきたよ」


 これだけ多くの個性的な美少女達に囲まれ、深い絆を紡ぐ。

 未だ目標の72柱には及ばなくとも、既に十分すぎる程に素晴らしいハーレムが俺のモノとなっているのだ。


「俺はみんなの事を平等に愛しているさ! だから安心してくれ!」


「むふふふっ、ミコト様はお優しいですね!!」


「ふん、何よ。早くアタシだけのモノになればいいのに」


「あぁんっ!! もっともっと愛を注いでくださぁいっ!! ダーリィンッ!!」


「あやぁ、これは一本取られました! 流石はミコト氏! 女性の扱い方はもはやお手の物というわけですか。これはもう、72柱全員を堕とすのも時間の問題ですね」


「吾は勇士よりも猛々しい漢を見た事が無い!! なんという雄々しさよ!!」


「うぇひひひっ!! やっぱり黄金よりもミコトですわ!! ミコトでしてよ!!」


「今のアナタ様なら、きっとバエルもイチコロですよ。うふふふふふ」


 そうだ、俺はやれる。


「……コト……おる……か?」


 異世界に来る前は、女の子に忌み嫌われ、迫害されてきた俺でも。

 この頼もしくも愛おしい、彼女達と一緒なら。


「……ミコト、聞こえ……るか?」


「わっはっはっは!! やっぱりハーレムは最高だぜ!!」


 俺は、きっと――


「ミコトォォォォォォォ!! いい加減にせんかっ!!」


「はひぃっ!? な、なんだっ!?」


 キィーンッと、耳をつんざく爆音。

 俺は激しい痛みを感じながら、条件反射のようにガバッと起き上がる。

 その瞬間、俺の周囲を取り囲んでいた数多の美少女達の幻影は霞のように消えて行き……ぼんやりとした視界の中に残ったのは、たった一つの影。


「やれやれ、やっと目を覚ましおったか。この間抜けめ」


 ヤギの角を生やした頭に、人型の胴体。

 もふもふとした感触が特徴の、その赤いぬいぐるみは……俺をこの異世界へと連れてきた張本人。


「……やぁ、おはようベリアル」


「うむ。おはようじゃ、ミコトよ」


 魔神ベリアル。

 俺の嫁候補にして……中々に手厳しい、お目付け役である。


今回もお読み頂いてありがとうございます!

いよいよ本日から第二部のスタートとなります。

読んでくださっている皆様の為に、これからも頑張って投稿して参りますので!

もしよろしければ今後も、本作のご支援をお願い致します!

ブクマ、ポイント評価、ご感想などもお待ちしておりますのでぜひぜひ!

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