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奥様はオタク ~梓と天平 小話集~  作者: 鷹羽飛鳥


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287 北欧雑貨の店で長野産の靴下を買った話

 クリスマス頃、行きつけの北欧雑貨のお店から、10周年記念売出の案内が届いた。

 このお店は、以前、天さんと一緒に松本に遊びに行った先で出張販売してたお店で、「新潟市のお店だった!」という縁で通うようになった。

 店主自ら(といっても店主しかいないお店だけど)、冬の間に北欧に出掛けて仕入れてきて、夏の間に売る、というルーチンでやってるらしい。

 あたしよりは天さんの方が気に入ってて、カップとかソーサーとかたまに買ってる。

 基本アンティークなので、軒並み高いのが難点。


 今回は、オーガニックの靴下が出てるみたいで、あたしはそれが目当て。

 冬のお風呂上がり用のあったか靴下が欲しいんだけど、ユニクロにはいいのがなかったので。

 昔履いてたオーガニックの靴下はいい感じだったんだけど、2年くらいで穴が開いちゃった。

 あたしの靴下は、踵か指先か指の付け根の後ろ辺りが破れてダメになる。

 中指が長いのと、踏み出す時に力が掛かるのと、足を着く時に力が掛かるので。

 まぁ、わかりやすい場所ばかりね。

 このお店が冬場に営業してるのも珍しいけど、円安とかで仕入れに行きにくいのかもしれないね。




 お店に着くと、いつになく賑わってた。

 え、普段はよく潰れないなってくらい閑古鳥が鳴いてるのに。

 って、店員さんがいる!?




 驚きつつも、とりあえず品物を見る。

 天さんお目当てのクリスマスの本は、既に売れちゃってたらしい。

 原語の本なんてどうせ読めないのに、と思ったら飾りのためだって。

 まぁ、人それぞれよね。

 靴下の方は、なんか手編みらしいんだけど、編み方が荒いというか、糸がはみ出したりしててイマイチな感じ。

 にもかかわらず6千円以上する!

 うん、ごめん、縁がなかったね。

 …と思ったら、別のコーナーに、綺麗なのが並んでた。

 え、長野県産!? あ、でも、手編みだ。

 手編みの靴下の内側に絹の布が張られてる、ちょっと変わった靴下。

 見た感じ悪くないし、手触りもいい。

 1足税込み1980円。ちょっと高いけど、これはアリかなぁ。




 天さんの方は、テーブルクロスみたいな織物を見てる。

 手織りの布に刺繍がされたもの。

 あたしの趣味じゃないなぁ。

 店員さんだと思ってた人は、間借りしてる同業者だそう。

 個人輸入したものを売る場を探していて、このお店を紹介されたんだとか。

 主にスウェーデンの蚤の市で仕入れたものを扱ってるらしい。

 その人がほかのお客さんに紹介してる品物の説明の中に「ニルス」という言葉が聞こえた。

 ニルスって、あの「ニルスのふしぎな旅」のこと?

 結局そのお客さんは買わないで帰ったので、何を見てたのか見てみた。

 15cm四方の絨毯みたいな織物に、男の子とガチョウの図案が織り込まれてた。

 ああ、これはニルスだわ。

 裏を見ると、アルファベットの筆記体で何か書いてある。

 英語じゃないね。

 付箋で訳文がついてて、「フェリックスへ おばあちゃんより 1986」って書いてある。

 店員さん(違う)に訊いたら、多分フェリックス君がどっかで売ったものが蚤の市に流れたんだろうって。

 値段は4千円ちょい。

 値段もさることながら、こんなメッセージ書かれてるもの、買えないよねぇ。




 結局、あたしが靴下、天さんが素焼きのプレートを買ったんだけど、あたし達の次に会計した人がニルスの織物を買っていった。

 その人は、むしろおばあちゃんが孫に贈ったものが恵理巡って自分のところに来たっていうドラマ性を喜んでたみたい。

 こういう受け取り方って、本当に人それぞれよねぇ。




 靴下は、絹の袋の上から靴下履いてる感じで、締め付け感がなくていい感じ。

 とってもあったかい。

 でも2千円とか、靴下の値段じゃないよねぇ。や、買ったけどさ。




 クリスマスのせいか、トムテの図案が多く並んでた。

 あたしは知らなかったんだけど、北欧では家に棲み着く妖精を「トムテ」と呼ぶらしい。

 見た目は、サンタクロースっぽい髭のおじいさん。

 座敷童の爺ちゃん版だね。

 ニルスを小さくしたのも、トムテらしい。


ニルスのふしぎな旅

 スウェーデンの児童書で、日本では1980年にアニメ化されている。

 妖精(トムテ)に魔法を掛けられて小人になってしまった少年ニルスが、ガチョウのモルテンに乗ってガンの群れと旅をする物語。

 間借り店員さんが言っていた(調べたらその通りだった)んだけど、地理の勉強用に書かれた物語なんだそう。

 ニルスは、旅の中で様々な経験をして成長するが、元の大きさに戻るためにはモルテンの命が必要と言われる。

 生家に戻ったニルスは、モルテンを(食べるために)殺そうとする両親を見て思わず「モルテンを殺さないで!」と叫ぶ。


 すると、ニルスは元の大きさに戻っていた。

 おそらく、この条件は最後の試しだったものと思われる。

 梓は、アニメから入り、学校の図書室で原作を借りてきて夏休みに読んでいた。

 「キャプテンフューチャー」も同じパターンで原作を読んでいる。

 アニメ版28話「街角でうたうニルス」で、ニルスが歌っていた「わんぱくニルス」の歌詞


  誰かに投げた小石は いつか自分に当たるよ


は、梓の心に刻まれている。

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そうか 長野は北欧にあったのね
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