283 プレゼント?
お正月に翼が帰ってきたので、3人で行きつけの雑貨屋さんと文房具屋さんに行った。
今年大学院2年になる翼は、就職活動と卒論でメッチャ忙しいそうで、次に帰ってこられるのはゴールデンウィークらしい。
まぁ、そんなこと行ったら、1年ちょっと後には(多分)就職してて、年に一、二度しか帰ってこなくなるんだろうけどね。
きっと3人でこの雑貨屋さんに来るのは、あと一度くらいだろうな。
この雑貨屋さんは、去年のあたしの誕生日に猫のカップを買ってもらったお店だ。
特に天さんがお気に入りで、もう何万円買い物したかわからない。
箸も汁椀も、このお店で買った。
今回、猫のカップの作家さんの特集をやっているので、あたしはそれが狙い。
今年は午年ということで、馬の絵柄のお皿とか箸置きとか色々ある。
目を惹いたのは、馬とひょうたんの絵のあるお皿と、ひょうたん型で馬が描かれた箸置き。
どちらも「瓢箪から駒」という洒落作られてるのがわかる。
箸置きは面白いんだけど、午年は今年だけだしなぁ。
や、12年後にはまた午年だけどさ、それまで死蔵ってのも嫌じゃない?
かといって、未年に馬の箸置きってのも、それはそれでどうかと思うのよ。
もうひとつ目を惹いたのが、猫の豆皿。
猫年じゃないけど、猫はこの作家さんのレギュラーモチーフの1つだからね。
三毛やら灰一色やらの可愛い猫の絵柄と、コーヒー関連のアイテムのペア。
6枚あって、どれもなかなかいいんだけど、このサイズのお皿って、刺身の醤油皿くらいしか使い途ないんだよね。
欲しいけど、既に別系統で同じサイズ持ってるから。
さんざん悩んで、三毛猫とコーヒーミルの絵柄のものを買うことにした。
この猫の表情がいいのと、コーヒー豆がちょっとこぼれてるのがいいのと。
レジに持っていって、天さんが買うのを決めるのを待ってたら、翼が猫の豆皿をもう1枚持ってきた。
「これ、お母さんの誕生日プレゼント用」とか言うから、「もう一番いいのを選んじゃった後で、二番手持ってこられても困っちゃうよ」と返した。
「あんたの気持ちは本当に嬉しいけど、一番を買っちゃった後で二番手貰ってもしょうがないでしょ。
それだったら、お母さんが選んだ後で、『それ、プレゼントするよ』って言ってもらった方が嬉しいな。
もちろん、こういう感覚は人によって違うから、誰でも同じことを思うわけじゃないけどさ。
喜んでもらえるプレゼントって、相手を見て、相手の気持ちになって、それから考えないといけないの。
気持ちは、本当に嬉しいのよ?
でも、これじゃ素直に喜べないじゃない。
それは、お母さんにとっても、あんたにとっても、もったいないことだよ」
とか、なんかお説教みたいな説明しちゃった。
その後翼は、文房具屋さんで、天さんの誕プレのペンを買ったけど、あたしのお皿についての言及はなかった。
まぁ、期待してたわけじゃないけど、「俺が出すよ」って言ってこなかったのは、気勢が削がれたからか、気分が壊れちゃったからか。
本当に、人の気持ちって難しい。




