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奥様はオタク ~梓と天平 小話集~  作者: 鷹羽飛鳥


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282/287

282 1月はうずく

 あたしにとって、1月はしんみりする季節だ。

 4人、友達が死んだから。

 小学生の頃、同級生のS君(37回)が死んだ。

 事故だった。

 従姉からは、あたしの初恋と言われてる人。

 朝、学校に行って、周りから教えられて知った。

 すぐには飲み込めなくて、信じられなくて、どんな顔したらいいかわかんなくて、乾いた笑いが出た。

 そしたら、「冷たい奴だな」って言われて、更にどうしたらいいかわかんなくなった。

 子供だったし、当然お通夜とかも行ってないから、ちゃんとお別れできないままだった。




 2人目は、就職してから知り合った人。

 ぶっちゃけ、職場の先輩だったりする。

 あたしは職場では正体隠してるけど、彼、リューさんはあたしの正体を知ってる人だった。

 就職して少し建った頃、廊下ですれ違った時に声を掛けられて、いきなり核心を突かれた。

 実は、リューさんは以前からあたしのことを知っていたらしい。

 まぁ、あたしは地元の一部では有名人だったから、そういうこともあるよね。

 そのうち、ゲーム機を持って突然あたしの実家を訪れるというかなり強引なことをして、あたしの友人に収まった。

 父さんなんか、リューさんのことを相当気に入ってたらしい。

 や、まぁ、いい人だったし、外面もとってもよかったからね。

 リューさんは、あたしの秘密は守ってくれた。

 色っぽい関係ではなかったけど、あたしのプライベートの友人と遊ぶ時にも連れていくくらい仲は良かった。

 あたしの結婚後、天さんにも合わせたけど、なんか気が合ったらしい。

 翼が生まれた後も、家族ぐるみって漢字で付き合いは続いた。


 リューさんはストレスをお酒で紛らわせるタイプの人で、お酒で体を壊しちゃった。

 お仕事は続けながら病院に通っていたんだけど、ストレスからお酒を飲むのはやめられなくて、どんどん空をが悪くなって、最期は誤飲性肺炎だった。

 あたしも天さんも心配したし、色々注意もしたけど、“友人”ができることは少なかった。

 リューさんに彼女とか奥さんとかいたら、隣で支えられたのかもしれないけど。

 残念ながら、あたしはリューさんには友人以上の気持ちはなかったから。

 男女間で友情が成り立つ条件は、相手に異性として興味が湧かないことなのよ。

  就職した時にもあたしは彼氏がいたし、リューさんと知り合ってからもあたしは何人かと付き合ったけど、リューさんがその対象になることはなかった。


 なにかしてあげられなかったのかなと今でも思うけど、何もできなかったという事実は変わらない。

 リューさんが亡くなって、もう10年以上経つ。

 職場には、リューさんのことを知らない人の方が多いし、知ってる人でも話題にすることはない。

 お酒で体を壊した人は、うちの職場には何人もいたし、ガンとかで死んじゃった人も何人もいたから、さほど大きなネタでもないからだろう。

 きっと、あたしが死んでも、そうやって忘れ去れるんだろうなって思う。




 3人目は、ダンナ(203回)。

 今年で三回忌だ。

 声が掛かれば、行くつもり。

 ダンナのところ以上に何でも話せる環境は、きっと存在しない。

 あんなに居心地のいい場所は、きっとない。

 天さんの隣にいるのとは違う次元で、あたしの居場所だった。




 そして去年の今日、本名も顔も知らない友人が亡くなった。

 香月よう子さん。

 あたしが「なろう」に来て半年かそこらの頃、お付き合いのある人の活動報告の場で知り合った。

 なんとなく考え方とか感じ方が近くて、馬が合った。

 といっても、せいぜいあちこちの活動報告で話したり感想欄でやりとりするくらいで、突っ込んだ付き合いじゃなかった。

 よう子さんは、体が弱かったみたいだけど、活動的な人で、リアルでやりとりのある人も何人もいたみたい。

 あたしの作品に時々感想をくれて、よう子さんのリクエストで毎日連載を続けたこともあった。

 ある方にイラストを描いてもらえる機会があった時に、どういう理由かよう子さんのキャラとあたしのキャラが並んで描かれてて、それならってことで、よう子さんの許可を取って2人が共演するお話を書いたりもしたっけ。

 細々と8年ほど続いた交流は、去年、唐突に終わりを告げた。

 なんとなく、ずっと続くと思ってた日々が突然終わった。

 知らせてくれる人がいただけ幸運だったんだと思う。

 この1年、ずっと心の中でモヤモヤしてた。

 あたしは、顔見知りですらない。

 1人で一方的に悼んでいるしかないのが、なんかもどかしい。

 それでも突っ込んだ付き合いをしなかったのもあたしの選択だ。

 誰も何も悪くなくても、悲しいことはいつもある。


 1月は、いつも心がうずく。

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