238 ビオレUのディスペンサーを買ってみた
「なあ梓、お前のほしがってたビオレのディスペンサーに限定でドナルドが出るんだってさ」
「ドナルドの顔でも描いてあるの?」
「よくわかんないけど、ドナルドの帽子が付いてるみたいだ」
ドナルドというのは、もちろんアメリカの元大統領じゃなくて、ディズニーキャラのドナルドダックのことだ。
それくらいわかってる。
でも、ディスペンサーにドナルドダック?
ここで言ってるディスペンサーは、ビオレUの手洗いソープの自動噴射機のこと。
要するに、機械の前に手をかざすと泡ソープが出てくるってやつだ。
それがドナルドバージョン?
「なに、それ?」
「ネットで調べれば、出てくるんじゃないか?」
そりゃそうだ。
調べてみると、確かにあった。
でも、これ…ドナルド?
ディスペンサーのデザインは、直径10cmくらいの円筒形で、てっぺん辺りから噴き出し口が伸びてるんだけど、それをくちばしに見立ててドナルドにしたらしい。
本体にも、セーラー服っぽい青の塗装して、くちばしの上側だけ黄色に塗って、蓋の上に帽子くっつけて。
でもさぁ。
「ねぇ、これ、帽子の下からくちばし生えてるみたいじゃない?」
「ん~、まぁ、そうかも」
「目とかないからさぁ、ちょっと不気味だよね。
子供が見たら、ひきつけ起こすくらい」
「そんなに不気味か?」
「しかも、ノーマルより千円くらい高いよ」
「そうだな」
「てなわけで、ノーマル買うね」
「ああそう」
ふっふっふ。気付いてない、気付いてないわ。
なし崩しにディスペンサー買うことになったことを。
てなわけで、買ってきました、ディスペンサー。
電池入れて、はい、テスト。
お~、出る出る。
「ちょっと泡の量多いね」
「電源ボタン二度押しで、泡の量減らせるらしいぞ」
「じゃ、減らす~」
「じゃあ、ここに置くから、うっかり泡出しちゃわないよう気を付けてね」
「うっかり持ち上げたら噴き出しそうだな」
「横から持たないとダメよ~」
それにしても、何かに似てんのよねぇ、このディスペンサー。
ドナルドじゃなくて。
カモノハシにしては、立ってるし、キョロちゃんにしてはくちばし薄いし。
なんだろなぁ?
…あ!
オムカエデゴンスだ!
ちょっとググると、画像があった。
うん、なんか似てる。
へぇ、「スパイダー」って名前だったんだ、知らなかった。
「梓、そのパソコンの絵、なんだ?」
「オムカエデゴンス」
「? なに?」
「手塚治虫のキャラよ。
ヒョウタンツギとか知らない?」
「ヒョウタンツギなら知ってるけど」
「それの仲間よ」
「なんか、このディスペンサーと似てると思わない?」
「ん~、似てるかな?」
「似てるって!」
その夜。
「わっ!?」
さっそく天さんがディスペンサー持ち上げようとして泡を出した。
お約束守る人だなぁ。




