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朝の風景2

この国の貴族は、朝食を各々の部屋で食べる事が多いらしい。


その代り、夕食はそろって召し上がることが多い。

大旦那様は多忙であるため、時折姿を見せないが、多くはご一緒されている。

なんというか、微笑ましい。しあわせ家族をここに見た。



私はしがない雑用係なので、休憩時間にささっと自室で食べる。


たまに他の使用人とも食べるけど、時間があまりないので、やっぱりご飯は一人で食べることが多い。


使用人の分も料理長たちキッチンの面々が作ってくれるので、ご飯は本当においしい。

……でもたまに味噌と醤油。和食が恋しくてたまらない。

あれらの中毒性はやばい。海外に行くときに必須だと兄が言ってた理由がわかる。


でも兄が作ると結局味噌も醤油も関係なく兵器になるから意味無いんじゃ……と思ったりもするけど。



「なあ」


味噌と醤油に思いをはせていると、坊ちゃんからお声がかかる。

「何でしょうか」


反抗期な坊ちゃんからお声がかかることは珍しい。

というか私、坊ちゃんは反抗期だって決めつけてたけど、もしかしたら私が嫌いなだけかもしれない。……ショックすぎる!!


「今日の昼もお前は城へ行くの?」


「ええ、私はまだまだ、坊ちゃんを守ることができない未熟者ですので」


私は坊ちゃんのお目付け……というかお世話係だが、圧倒的に足りないものがある。

それは学力(文字の読み書き含む)と、……剣術だ。


前の世界ではなかなかの運動神経だと自負していたが、その自信はこちらの世界に来てから打ち砕かれることになった。


あとは個人的に魔術を習っている。魔法って異世界特権だよね!!



私は坊ちゃんのお付きとなるには実力が圧倒的に足りない。

だから行儀見習いという名目でお城へあがり、稽古をつけてもらっている。



私は坊ちゃんの世話係としては半人前で、すべてが中途半端なのだ。完璧な所作ができず、公式な場では他の立派な執事の人に任せている。


立派な坊ちゃんの世話係となれるよう、努力は惜しまないように、と思っている。



坊ちゃんの世話係……それは私がこの世界にきて初めて与えられた役職なのだ。


坊ちゃんに嫌われてたらどうしようもないけどね!!


「剣術のほうは、セルヴァ隊長からもう少しで及第点が頂けそうですので、それさえ終われば城に上がる時間は減ることになるでしょう」


「……そう」


嫌なの!?私がもっと屋敷からいなければいいとかそんなの!?

昔はもっとかわいく懐いてくれてたのに!!


「どうかなさいましたか?」


「僕の言いつけはちゃんと守ってるのか?」



「もちろんでございます。私はアキ、あなたの執事です」



小さかった彼との初めての約束。

私はこちらの世界にきて、男になった。



だから私は、侍女にはならない。



いや、正直どっちでも良かったけど。


というか、私が普通に男として過ごして違和感がないこの世界が悪いと思う。

誰も気づかないってなんでやねん!!


もちろん、大旦那様と奥さま、そして私の後見人は知ってらっしゃるけどね!

何の問題も出ないことが問題だ……


一人称も「私」で素となにも変わらないのに……なんでやねん……



雑用係・世話係・お目付け役・執事と統一してなくて分かりにくくてすいません!

あんまりわかりにくいようだったらまた統一させていただきます。

アキは執事ですが、半人前なので扱いは雑用係です。アキ個人的には世話係・お目付け役としてジーン坊ちゃんの保護者みたいにありたいと思ってます。

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