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始まりの一歩




「坊ちゃん!坊ちゃん坊ちゃん坊ちゃん!!」


大旦那様の部屋から直行!

テラスでお茶を飲みながら本を読んでいる

坊ちゃんを見つけて私は走り出した。


「うるさいよ馬鹿。何でそんなにお前は馬鹿なの?」


馬鹿のダブルアタックは気持ち的に辛いです坊ちゃん!

でも今の私はそんなことくらいじゃめげない。


「セルヴァ隊長から及第点をいただけました!」


「は?」


意味がわかならないというような表情で私を見る坊ちゃん。

この温度差は辛い!


「先ほど、大旦那様に坊ちゃんの正式な執事となる許可を頂いてきました!」


「え……」


目を見開く坊ちゃん。

え、その反応は何なのでしょうか!?


「ぼ、坊ちゃん、実は本気で私の事嫌いとかそういうのでしょうか!?

だとしたら、私、捨てられるんですか!?」


そんなんなったら私泣きますからね!

私がそういうと、坊ちゃんは唖然とした表情で私を見る。


「お……まえ」

「な、なんでしょうか……?」


手をぶるぶると震わせている坊ちゃん。


「お前は何でそんなに勝手なの!?

信じらんない!ほんと意味分かんないし!!」



おおう……キレられました。キレやすい十代……?


じゃなくて!


「だ、ダメでしたか……?奥様にも止められたのですが……」


奥様が泣いたときは私死ぬかと思いました!

美少女(に見える)を泣かすなんて私果報者!

土下座しようか悩みました……


というかまた逸れた……



「アキはっ!それでいいの!?正式な執事になるってどういうことかわかってる!?」


久しぶりに名前呼ばれたっ!超嬉しい!

……駄目だ。予想外の展開に脳が追いついてない。


「坊ちゃん。落ち着いてください」


私のために!

坊ちゃんは肩で息をしながら息を整え出す。


怖いくらいに静かになって、落ち着いただろう坊ちゃんを見ると、

キッと睨まれた。

……落ち着いてはなかったですね!


「ほんっとうに、お前は馬鹿!もう!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!」


おおう、突き刺さるお言葉です……



「……わかってますよ、私だって。正式な執事になれば、もう戻れないなんてこと」



何に戻れないか、なんて、言葉に出さずとも二人ともわかってる。



正式な執事となれば女としての人生は確実に断たれる。

夜会に出てしまえば、取り返しなんてつかない。



だから、私を女の子として可愛がってくださろうとしていた奥さまは私を止めた。



「僕は、アキが何を考えてるのかわかんない。

それに……自分が何を考えてるのかわかんない。

ちょっと前まではアキはそんなに他人行儀じゃなかった。

ちょっと前まではそんな態度に僕はこんなに心乱されたりしなかったのに……!」


「私の心は二年前となんら変わってませんよ。

言ったでしょう?あなたを裏切らない、立派な執事となる、と」



「ねえ、アキ。僕はお前がわざとセルヴァ殿から許可をもらってないんだと思ってた。

僕は、アキが僕の執事になることを拒否してるんだと思ってた。


アキがこのまま、逃げるんだと思ってた!」


「坊ちゃん……」


「お前は僕が憎くないの!?」


「ジーン!」


ドンッとテーブルを叩きながら叫んだジーンの言葉に私も思わず叫んだ。

久しぶりの呼び方に、ジーンの肩が動く。



「私は!ジーンが拾ってくれてなければ死んでた!

私はジーンのおかげで、この世界の私は生きてこれた!

言ったでしょ、ジーン。私は、あなたを裏切らない!」


「っ!」


「ジーン!私なら、信じられると言ったのはあなたよ」



ジーンの目の前に立って、私はそう言い切った。


重苦しい沈黙が、私とジーンを包んだ。





いろんな過去が渦巻いています。

あえて過去をあまり書かずに書いてきたのですが、

本当に分かりにくくてすいません!


次話で第一章が終わります。

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