表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/32

恋人たちの夜明け;おまけ 未読通知!

「ふぅ……ちょっと見るだけ、な?」


 智士は渋々スマホを手に取った。

 通知;37件。

 グループチャットはすでにカオスと化していた。


セイ:

《おっせぇんだよ返事が!!!!》

《ってかお前、もしかして……。今、誰と、どこで、どんな格好で、一緒にいるん!?》


ぐっち:

《昨日くらいからずっと既読つかなくて怖かったんだけど?》

《事件性あったらどうすんの。いや、事件、起きてるか(ニヤリ)》


Ren:

《いやいやいや……マジで? マジでなん???》

《羊くん、声使う仕事なのに…。ねぇ、声、出る?(意味深)》


セイ:

《……お前、とうとう童貞捨てたんか……》


ぐっち:

《今夜はお赤飯炊かなきゃね(はぁと)》



「はっ!? バッカじゃねーのアイツら……!」


 智士が即座に反応して返信する。


羊:

《童貞のわけねーだろ!! なんでそうなるんだよ!》


 隣でくすくす笑っていた菜緒が、思わず吹き出す。


「ふふっ、そんなに力説しなくても……」



Ren:

《おはよー。羊くん、君の部屋…今何人いるのかな?? 笑》


ぐっち:

《昨日、動画UP止まってたねぇ。滅多に休まない羊くんが。どういうことかなぁ?》


セイ:

《きっちり言い訳しろ!》

《あと、正直に言ってみ……今どこを触ってる最中なん??》


智士は恥ずかしさと怒りでプルプル震えていた。

「あいつら、殺すぞマジで……!」


「ふふふふっ、なんでみなさん、こんな面白いの……」


 菜緒は口元を手で覆いながら笑いをこらえている。


 智士は顔を真っ赤にしながら、猛烈な勢いでチャットを打ち始めた。


羊:

《お前ら、うるっせーよ!!!》

《寝てたわ! あと”一緒にいる”ってなんだよ、知らねーよ!》

《動画も夜までには上げるから黙ってろ!!!》



しかし彼らの爆撃はまだ止まらない。


Ren:

《テンパってるってことは図星だな ニヤニヤ(°∀° )》


ぐっち:

《完全に動揺してる (〃゜艸゜)ププッ》


セイ:

《よし、俺たちは静かにしよう……

 そっと見守る

→見守らない |ω・`)チラッ》



「……ああもう……」


 智士は頭を抱えたが、菜緒がぽそっと呟いた。


「……でも少し嬉しいな。私たちのこと、みなさん見守ってくれてる気がして」 


 そして幸せそうに微笑んで言った。


「日辻さんの仲間って、いい人たちだね」


 その言葉と表情に、智士は少し肩の力を抜いて笑った。


「うん、まあ……うるせぇけど、いい奴らだよ」


 智士が菜緒に唇を寄せ、ベッドの中でふたり、顔を見合わせて笑い合う。

 カーテン越しの朝日がその笑顔をやさしく照らしていた。

読んでいただき、ありがとうございました。

もしよろしければ、評価、感想いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ