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【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
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Tokyo Final ――東京決戦――

 ウィングタイガーは逆転の好機到来で、いい雰囲気だった。ソキョンはにっこにこの満面の笑顔だ。

 かくして最終的な勝敗は第3レースの、ゲートクラッシャーへと持ち越された。

 ぎろり。

 と、落ち着いたと思ったヤーナだが、龍一とフィチを鋭い眼差しで見据える。

 やれやれと思いつつ、優は余計なことは言わず、第3レースをいかに戦うかをメンバーと話し合った。

「なんか、すげー睨まれてるけど……」

「プロの試合だからね」

 小声で龍一とフィチは話す。試合のライバルからこんなに睨まれるなんて、龍一にとっては初めてのことで、怖さも少し感じたが。フィチは、当然のことと、さらりと受け流していた。

 両チーム、まずはポイントをノートPCに書き出す。視覚化することでイメージもしやすくなる。

 第2レース終わった時点で、龍一11ポイント、フィチ10ポイント、ヤーナ11ポイント。と、ポイントは拮抗し、第3レースで勝てば試合の勝者となれる。

「プレッシャーを掛ける作戦、うまくいったわね」

「そうですね。だけど、紙一重でした」

 どうにかチームでワン・ツーとなったが、紙一重でもあった。そこまでしなければつかめない勝利だった。

「死中に活を求める。言うは易し、行うは難し……」

 フィチは紙コップのレモン水をすすりながら、ぽそっとつぶやいた。

「まあ。でも、負けるくらいなら」

「そうだね。負けるくらいなら、だね」

 負けるくらいなら。ソキョンは龍一にプロらしい負けん気が芽生えてきているのを好もしく思った。

 もちろん、これも時と場合による。今回の場合は特殊な状況で参加者が少ないからこそだった。紙一重の勝利より確実な2位が必要な場合はそうする。それもまたプロのプレーだった。

 レッドブレイドといえば、優がよくまとめて。第3レースいかに戦うかが話し合われた。

「そこまでにしとけ。Dragonびびってるじゃねーか」

 と、苦笑しつつ注意もする。悔しさからヤーナな龍一を睨んでいたが、注意されて目をそらした。

 第3レースはコース各所に置かれたゲートを壊しながら走るゲートクラッシャー。残り時間設定もあり。スタート時は3秒。ゲートを壊せば2秒追加され。それによる残り時間の多さで勝敗が決まる。が、もし同じ残り時間だった場合はタイムで勝負が決まる、

 さらに、距離も5キロと短い。スタートしたと思ったらすぐにゴールだから、短時間決戦となる。

「ゲートクラッシャーの難しさは、余計な動きを強いられることだ」

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