表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
32/56

Chase the mirage! ――彼方を追え!――

 Congrats, you have qualified!

 おめでとう、予選通過です!

 という表示。

「Yeah!!!」

 ソキョンをはじめとするスタッフたちは歓喜の雄叫びをあげた。

 龍一とフィチはハンドルから手を放し。思わず合掌した。予選通過した喜びと、もうKBカーと走れない悲しさが半々。

 とはいえ、嬉しいことは素直に喜んでもいい。KBだって、そうして欲しいはずだ。

 が、龍一は安堵のあまり脱力し。シートにもたれて。

「はあ~」

 と思わずだらしなく息を吐き、それからはっとして照れくさそうにカメラに向かい、無理くりな笑顔をつくり。

「まあ、どうにか、なんとかしました」

 と、親指を立てながら言った。

 フィチも愛嬌ある笑顔を見せ、親指を立て。

「予選通れてよかったです。決勝頑張ります」

 と言った。

 ソキョンは笑顔でうなずき、予選通過者一覧を開き。やや苦笑する。

 順位は、Honey Bearがトップで、Spiral K、Dragonと続いている。

「90点ね」

「き、厳しいっすよ~」

 ソキョンの採点に、龍一とフィチは思わず苦笑し、優佳は笑顔でそれを眺める。

「だって一番はHoney Bearなんだもん」

 龍一とフィチは予選通過者一覧を開き、確認して。

「頑張ったけれど」

「それでもHoney Bearさんが速いのか~」

 これは決勝は苦戦しそうだ。龍一とフィチは、本当に精いっぱい、ギリギリで走ったのだ。これ以上の走りをしろと言われても無理なくらい。

 今度は安堵と悔しさが半々となる。特に龍一は、自分は追われる立場なんだということを改めて感じた。

 ともあれ、ライブ配信の画面はソキョンに切り替わった。

「ライブをご視聴くださり、ありがとうございます」

 と、愛嬌たっぷりに視聴者に礼を述べる。

「無事予選通過し、東京のホテルをキャンセルせずに済みました」

 などと、諧謔を込めたことも言う。

 そう、決勝は現地開催。しかも有観客試合だ。

 東京のとあるアリーナで開催されるPCおよびゲーミング機器の大規模展示会の一角で、有観客にて開催される。

 コロナ禍だが、ワクチン接種もなされるようになり、対処の心得も広まり、感染対策をしたうえで有観客のイベントも開催されるようになってきていた。

「決勝は来週の日曜日。ここでは配信できないけど、大会のオフィシャルアカウントでライブ配信されますから。是非是非ご覧ください。それでは、ご視聴と応援ありがとうございました!」

 愛想のよい笑顔で手を振り、ライブ配信は終了した。

「さあ、旅の支度よ!」

 ライブ配信を終えて、ソキョンたちソウルのスタッフは言われた通り支度をはじめる。

 フィチは、緊張感から解放されて。シムリグから離れて背伸びをし。気持ちを切り替え。ソキョンたちと同じように旅の支度をはじめる。

 優佳もビデオチャットから離れ。ひとまずの休憩と、紅茶でのどを潤す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ