表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
17/56

Chase the mirage! ――彼方を追え!――

 予選で使用されるのは、ジャパンカップに合わせたわけではなく、ラリーマスターズ4の大会を開催したいという主催者の問い合わせが来た時に、丁度ケニー・ブレイクのミラージュカーの完成が間近で。

 大会でこれを使用してみないかとコードの方から逆にオファーすると、主催者はそれを快諾し、予選でプレーヤーと競わせることになったのだった。

「ケニー・ブレイク、KBは言った。『いつか僕を追い越すシムレーサーが出るのを楽しみにしているよ。歴史の1ページがめくられるというのは、素晴らしいことだからね!』と。この大会で、歴史の1ページをめくってほしい」

 コードは主催者にそのメッセージを送ったのだった。

(そういやあ、ヴァイオレットガールは、『オープンホイールにKBが来なくて助かったわ。まあ、寂しい感じもするけどね』なんて言ってたなあ)

 龍一は、Forza Eでのライバルの女性シムレーサー・ヴァイオレットガールがそう言ってたのを思い出す。

 彼女はディオゲネスというゲームオリジナルコースの市街地サーキットのワールドレコードホルダーだった。大会では勝ったものの、タイムトライアルでは勝てないままだった。

 ともあれ、龍一は表示されるKBカーに目をやった。

 マシンは3ドアハッチバックのフォード・フィエスタ。もちろんラリー仕様で後ろのハッチにリアスポイラーが追加されている。

 緑と黒が彼のイメージカラーで、ホイールは緑に塗られ、ボディに緑と黒のクラック(ひび)が入り乱れて走ってるような模様を施された、遊び心あふれるパンキッシュなデザインだった。

 そのKBカーのタイムはヤーナのレコードタイムよりコンマ3秒速い。トップ3に入るのも至難の業なのに、KBカーに勝つとなれば、その困難さの上がり具合は……。

 ともあれ、かなり厳しい条件だが、事前に告知されていたことであり、参加をするということはそれを承諾したということだ。だから「厳しいよ」なんて泣き言は言わない。

 それどころか。

「KBとバトルができるって!? 幻でもいい、KBと走りたい!」 

 と、予選落ち覚悟での参加者が多く集まったのは、コードとしても主催者としても嬉しい誤算だった。

「もしかしたら誰も予選通過できず、通過してもひとりだけで、決勝が開催できない事態になるかもしれない」

 という危惧の意見もあったが。

「いや、信じよう、歴史のページはめくられると」

 との、希望を信じる意見が多く。大会は開催されることになった。

 予選はオンラインのリモート。決勝は現地開催のオフライン。

 予選チャレンジは3回まで許されている。

 その予選にチャレンジできるのは、この日曜日だけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ