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ポンコツ王太子のモブ姉王女らしいけど、悪役令嬢が可哀想なので助けようと思います〜王女ルートがない!?なら作ればいいのよ!〜【WEB版】  作者: 諏訪ぺこ
第三章

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171.女官にだってお休みはある

 サリュー様の言葉の意味を考える。サリュー様には、何か呪いに心当たりがあるのだろうか?それとももっと別の意味がある?

 ウィズ殿下経由で渡すことも考えたけれど、たとえウィズ殿下が渡したとしてもサリュー様は持ち歩かない気がした。それでは意味がない。


 私はどうしたらいいかな?と考えながら、元来た道を戻る。一応仕事中だからね。それに手すりを乗り越える時にカゴも置いてきてしまったから、ちゃんと回収しないといけない。


 それに誰かに拾われていたら問題だ!!早足で元の場所に戻り、辺りを見回す。カゴはそのままあるし、誰も廊下にはいない。勢いをつけて手すりを乗り越え、カゴを回収する。


「よし。みんなに合流しなきゃ」


 ささっと、裾を整えて楚々としつつも早足で歩く。そして集合場所にたどり着くと、先輩侍女の二人がすでに待っていた。


「お、遅くなってごめんなさい!」

「いいのよ。最初はそんなものだって」

「そうそう。さ、次の仕事に行こう?」

「はい!」


 返事をすると、二人はニコニコ笑いながら私を次の仕事場まで連れて行ってくれた。次の仕事は貴重品の掃除。一つ一つ丁寧に磨き上げていくそうだ。

 とても繊細な細工品。こんな駆け出しの女官が触っても大丈夫かと聞くと、流石に最初は触らせないわよ〜と笑われてしまう。


「最初はね、見ながら覚えてもらうの。これ一つで、金貨百〜百二十枚は吹っ飛ぶから気をつけてね。しかも作れる職人が限られるから、壊れると次の納品まで年数待つのよ」

「わあ……」

「王家だからって先に献上しなさい!って言わないところが、ラステア国の王族の良いところよね」

「これだけ素敵な細工なら欲しい方はたくさんいらっしゃるでしょうしね」


 繊細な細工品、壺や、箱、それに髪飾り。それらを丁寧に磨いていく。私は先輩侍女が磨いている間に、空いている棚の拭き掃除だ。

 それが終わったら、目録を見ながら数があっているかチェックする。中には不心得者がいて、持っていこうとする人がいるらしい……


 チェック体制が三人と言うのにも訳がある。二人だと共謀する可能性や、口止めが容易だが三人だとそれが難しくなるらしい。らしい、と思う原因は三人でも二人が共謀したり、みんなで共謀したりはあるんじゃない?と思うからだ。


「あー確かにね。でもこの掃除をする人は、札の違う場所から選ばれるから」

「札の違う場所?部屋の札が違うとしずらいんですか?」

「うーん……同僚って意識はあるけれど、部屋が同じ子とはやっぱり違うかな?」

「そうね。部屋が同じだと家族的な意識が生まれるもの。色々話すでしょう?」

「仕事中にあまり話してると女官長に怒られそうですものね」


 思わずそう言ってしまうと、そうそう!と二人は楽しそうに笑う。みんな仲良さそうだけど、同室の子は一緒にいる時間も長い分ちょっと違うのだそうだ。


「まあでも、ここの掃除って女官長がその日に選ぶって話だからね。共謀防止というか」

「その辺も色々考えられているんですね」

「まあ、一般から広く応募すると事情を抱えた子も入ってくるし。そんな子達にしてみればこの部屋は宝の山だもの。魔がさす、ってあるでしょう?」

「そうですね……」


 ファティシアに貧民街があるように、ラステア国にも色々と事情があるのかもしれない。そしてその事情は私には理解の及ばないものもあるのだろう。

 魔がさす、とはそう言うことなのだ。


「さ、全部あるし。最後は女官長にチェックしてもらいましょう?」

「そろそろいらっしゃる時間だしね」

「身だしなみも大丈夫?」


 私達は互いに身だしなみもチェックして、女官長が来るのを待つ。貴重品の掃除をする時は、最後のチェックが入るまで持ち場を離れてはいけないそうだ。

 そして女官長からのチェックを受けてようやく貴重品の掃除は終了する。掃除が終わった私達は休憩時間だ。


 休憩場所にはお茶を飲むだけでなく、お菓子も置かれている。なかなか至れり尽くせりだ。うちの国でもこういうの取り入れるといいかもしれない。

 お茶休憩はあるけれど、お菓子は持ち寄りのはず。良いところは見習わないとね!出された月餅を頬張りつつ、戻ったら提案してみようと思う。


「わあおいしい!」


 月餅の中に入っているごまあんが美味しくて、思わず声を上げる。すると側にいた侍女達が思い思いに声をかけてきた。


「カティア家だと家の場所が王都から離れてるものね。王都とは違うお菓子がたくさんありそう」

「そ、そうですね!」

「今度カティアの領地にあるお菓子も教えてね」

「はい」


 実はカティアの領で暮らしていないのでわかりません。とは言えないので、今度カティア将軍に聞いてみよう。いや、将軍がお菓子を知っているだろうか?

 可愛いものは好きだけど、甘いもの好きかどうかは聞いていない。それにお酒をよく飲んでいたし、もしかしたらしょっぱいものの方が好きかも?


 休憩が終わればまた後半の仕事。あとで将軍に聞いてみようかしら?なんて考えながら、仕事が終わった足で将軍の元へ向かうのだった。



***


 なぜカティア将軍の部屋に向かうのか?それは(ルー)が女官として働いているからだ。女官は自宅から通うことも了承されている。そしてルティア()は賓客として王城で暮らしているわけで……将軍の執務室に一度立ち寄って、ルティア姫に戻る必要があるのだ。


 ラステア国でも私のような明るい茶色の髪色は珍しくない。将軍の部屋にいく少し前に、リーナに私のフリをして来てもらい入れ替わる。

 ルーは身代わり人形という、人形を使い将軍と一緒に帰宅するわけだ。


「すごく不思議な感じなのだけど、この身代わり人形はとてもよくできているわ」

「そうでしょう?持ってくる時はサイズを変えられるし、人形師の腕がとても良いと簡単な言葉も話してくれるのよ。まあ同じ声にするには元になる人の声が必要だけどね」

「へえーすごい!これもラステアの魔術の一つなんですか?」

「そうね。私は魔力を流すだけでいいのよ」

「つまりうちの国で言う、魔術式みたいなものが人形にも組み込まれているのかしら……?」

「ああ、そうなるのかしら?人形師は一子相伝と聞くし、私達の知らないなにかが組み込まれているのかもしれないわね」


 なるほど。属性はなくとも、術式は様々あるのだろう。それはそれでとても気になるが、一子相伝という技であれば教えてもらうことは不可能だ。

 それに解体して元に戻すことも難しそうだし、これはそう言ったもの、として眺めるしかない。


 リーナも同じように私に似せた人形をジッと見ながら何かを考えている。やっぱり珍しいものね。ファティシアにはないものだし。


「リーナも気になる?」

「ええ。これならルティア様にもしものことがあった時には身代わりにできそうです。ですが、どの程度動いてくれるのか、と言うところが気になりますね」

「そんな身代わりになってもらうようなことはないと思うけど……」

「念には念を入れて、です」


 私達の会話を聞いて、ネイトさんが「お高いですよ〜」と言ってきた。た、確かに!!こんな精巧な人形だもの。高いわよね。

 私達はお互いに顔を見合わせ、それじゃあ無理ねと諦める。流石に身代わりにできるかもしれないから、と購入するには無理があるからだ。


 私の動きを一分の隙もなくそのまま再現してくれるならともかく、簡単な動きと声を真似るだけでは許可は降りないだろう。

 それよりもそんな事態に陥らないように気をつけるべきです!と怒られるに決まっている。それに私が危険な目に遭うと言うことは、リーナも同じ目に遭うと言うこと。いくら身代わり人形がいてもリーナを危険な目に遭わせたくはない。


「ルーちゃん欲しいならあげようか?」

「……おねえさま。そう言う甘やかしはダメです」

「ええっっ!!なんで!?なんでダメなの!?!?」


 私がキッパリと断ると、将軍はどうして!どうして!!と私の肩を掴んで揺さぶる。だって高いと聞いて、ぜひ買ってください!とはいえない。


「お姉様、この人形は高いのですよね?ネイトさんが高い、と言うならきっと物凄く高いはずです。そんな物をホイホイあげるなんて言わないでください」

「確かに普通に買うと高いけど……私の兄の一人が人形師だから大丈夫よー」

「え、でも人形師は一子相伝なのでしょう?」

「叔父の一人がそうなの。で、子供がいなかったから人形に興味のあった兄の一人が養子に行ったのよ。うちは十人兄妹だしね。あ、ルーちゃんいれると十一人か」


 さらりと私を足しているが、カティア家はどうやら子沢山の家系なのだろう。将軍以外にも軍人をしているお兄さんがいて、今は地方に魔物討伐の遠征に行っているそうだ。残りの兄妹は領地で軍人をしたり、手に職をつけて働いていたりと様々に暮らしていると言う。貴族、というよりは庶民よりなのだとか。


「将軍の家は、軍人が多いですけど地元愛も強いので領地で働いてる人が多いですよね」

「そうね〜家族仲も良いから、領地から出てくる時はお菓子たっくさん持ってきてくれるし」

「おかし……!」


 私がボソリと呟いた言葉に将軍がすかさず反応した。


「ルーちゃん!明日はーおやすみよね?」

「そ、そうですね?」

「ならお家に帰ってみんなに会わない?いろーんなお菓子あるわよ〜」


 昼にどんなお菓子があるの?と聞かれたばかりだし。いろんなお菓子、と言われて興味が湧かないはずがない。私はチラリと隣にいるリーナを見る。


「り、リーナ?」

「……ユリアナに怒られますよ?」

「一緒に怒られては……」

「お断りいたします」


 そうよね。ユリアナが怒ると怖いけど、でも女官のお仕事の一環だと言ったら少しは……そう考えて、私はユリアナに怒られるために一度部屋に戻るのだった。




いつもご覧いただきありがとうございます。

あと三十分ほどでコミックス1巻が各DLサイト様で配信されるかと思います!

本屋さんにも明日には並んでいるかと!!どうぞよろしくお願いいたします!!

一部DLサイトさんでは書籍も発売開始になりますよ!!

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