109話〜ガルドとシグムラカン
シグムラカンはブラット達の元に来るが……
ここはシェイナルズの森の中の空き家。ブラット達はコトネ達を待ちながら話をしていた。
フェリアは何かを感じ辺りを見渡した。
「これは……レオルド。そこにブルーノアはいますよね?」
「……フェリア様。この感じは……はい!今、ブルーノア様も、この気配に気づかれ一時避難をしています」
フェリアとレオルドはそう言った後、ガルドを見ると目を閉じ腕を組んで何かを考えているようだった。
「ガルド様は何を考えて……まさか!?」
「でも、いつの間に……しかし、何故すんなりと受け入れられたのでしょうか?」
「確かに……でも、何の為にガルド様に?」
「これは、何者かが結界を張ったようじゃな」
そう話をしているとブラットとサアヤは、その会話の意図が見えず、
「フェリアにレオルド。さっきから、何を言ってるんだ?それに、親父に何かあったのか?」
「確かに2人の会話の意図が見えないのだが。いったいガルド様に何が起きたというの?」
フェリアはレオルドとドルマノフを見ると頷き、ブラットとサアヤに話し出した。
「いつの間にかは分かりませんが。神が、この場に来ています。何故か分かりませんが、ガルドと話をしているようなのです」
「神が親父と?」
「フェリア様。その神とは、いったい?」
「それなのですが。ブルーノアは警戒してしまい隠れ、レオルドと私でその気配を探っているのですが、何故か結界が張られているようで確認する事が出来ないのです。ただ、気になるのが、何故ガルドがその神の呼びかけに応じたのかなのですが」
「確かに、何の為に……」
「フェリア様。やはり、結界が邪魔をしているせいで、何度呼び掛けても応答がありません」
そう言うと5人はガルドを心配そうに見つめながら考えていた。
……ほんの数分前の事。
シグムラカンはシェイナルズの森の中の空き家に着いた。
“さて、ブルーノアとフェリアはいるようだな。では、話かけるとしよう。説明しなければならないからな”
シグムラカンはフェリアとブルーノアに声を掛けようとした。
“おいっ!?お前。シグムラカンだったよな?何でアンタがここにいる?”
“ガルド、お前は相変わらずのようだな。神を神とも思わぬその態度。まぁ慣れたがな。それで何故結界を張った?”
“何故かだと……アンタの思惑が気になった。上位の神である、知識を司る神のアンタが、このタイミングで何の為にここに来た”
“仕方ない。話さなければ、お前はこの結界を解いてはくれないだろうからな”
“ああ、そういう事だ。ただ、アンタの話の内容次第じゃ、俺はアンタをどうするか分からねぇがな”
“ふぅ、そうだな。分かった話そう。まあ、隠す事ではないからな。それに、この結界が張られている今の内に、この事を先に話した方がいいだろう。ガルド、フェリアから聞きある程度の事は知っていると思うが。グランワルズの事なのだがな。グランワルズは現在上位の神々の元を訪れ探りながら、ブラットに力を貸して欲しいと説得をして歩いている”
“なるほどな。それでか、アンタはブラットと契約をする為、ここに来たって事か”
“ああ、だが我はまだグランワルズの話を全部信じた訳ではない。それ故にキリア城に行き、クレイデイルと話をして来た。魔族王から見たブラットがどのように写って見えているのかが気になったのでな”
“なるほどな”
“それでなのだが。クレイデイルは城の図書館でブラットの力の事で悩んでいた。何か分かるのではと図書館に行き調べていたが、分からなかった。奥の部屋に何かあるのかもしれぬと思い鍵を開け中を覗いた。だが、そこにはスプリガンが眠っていた”
“おい!?スプリガンって、何でそんな所に……”
“ああ、確かにな。ただ言えるのは、そこにある書物を見られたくない魔族の者の祖先。もしくは、魔族王の祖先が、守らせたと考えるのが普通だろうな”
“ああ、そうだろうな”
“それでだが、我もクレイデイルもブラットの力がどのようなものなのかを知りたくなった。スプリガンには悪いとは思うが、あの部屋からただ出す訳にもいかない。それならばと我とクレイデイルは考え、クレイデイルはスプリガンをどうにかしたい。我はブラットと契約をするか否かを決める為の参考にもなると思い、今から話す計画を立てた”
“何をするつもりだ!まさかとは思うが、ブラットとスプリガンを戦わせるつもりじゃねぇよな”
“だとしたらどうする?”
“俺は反対だ!ブラットはまだ自分の力が何なのか、それに、自分の事もまだ理解してねぇ。そして、その覚悟も本当にはしてねぇ筈だ……俺もそうだったように。いや、俺と違い戦い方を知らねぇ”
“ふむ、なるほどな。だいたいの事はクレイデイルから聞いていたが、かなり深刻なようだな。ガルド、お前に問う。英雄王であったお前が、何故に戦い方を教えなかったのだ?ただ、争いから遠ざけたかった為か?”
“いや、それは違う。ブラットは俺とカトレアの子だ。確かにとんでもない力を持って産まれたとしてもおかしくない。だが、自分でも分からない。多分なんだが、もう何も失いたくなかったのかも知れねぇ”
“ほう、ガルド。昔と比べ随分と弱気になったものだな。やはり、何かおかしい。お前がこの我に弱音を吐くなどな”
“それは、どういう事なんだ?”
“ガルド。お前から他の者の魔力を感じる”
“他の者の魔力?まさか、気づかねぇ内に何者かが何らかの術か何かを俺にかけたって事なのか!?”
“恐らくは、そうだろうな。ただ、それが誰かお前は考えたくはないだろうが、近くにいた者と考えた方が妥当だろうな”
“ああ、アンタに言われるまでもなく。クッ、そうだろうな。それで、俺にかかっている術は、今すぐには解けねぇのか?”
“今すぐには解けるだろうが。ただ、それを解けば本来のお前に戻る。それはいい事なのだがな。ブラットや昔を知らない者達から見れば、どう思うかなのだがな”
“だが、これを解かねぇとブラットも俺も周りの連中も前に進めねぇんだよな?”
“ふぅ、まだ間に合いそうだな。流石と言うべきか英雄王ガルド。その術に完全には支配されてなかったらしい。では、今からその術を解くが覚悟はいいな?”
“ああ、覚悟はとうに出来てる。早くしろ!?”
“そう焦るな。では……”
シグムラカンは本を開き左手で持ち右手をガルドに翳し呪文を唱えた。
シグムラカンの右手から眩い光が放たれガルドを覆った。
“うわぁ〜、うっ、こ、これは……はぁはぁ、クッ、はぁはぁはぁ……”
ガルドを覆っていた光が消えた。
“どうだ?調子は……”
“ああ、最悪だが……なるほどな。俺の力もその術のせいで、半減してたって事か”
“そうなるな。さて、今ので恐らく、外の者達がお前の心配をしているだろうからな、早くこの結界を解いてくれぬか”
“そうだったな”
ガルドは結界を解き目を開けた。
すると、そこにはガルドを心配してブラット達は見ていた。
「親父、何があったんだ?」
「いったい、何があったのですか?」
ブラットとサアヤが心配そうに覗き込みながら聞いた。
(さて、こいつらにどう説明する?今何があったかを話さねぇとなぁ)
そう考えてた後ガルドはブラット達に何があったのかを話し出した。
読んでくれてありがとうございますヽ(^o^)
さて…この後どうなるのか?
では、次話もよろしくお願いします(*^ω^*)







