104話〜封印を解きし者とは

　ここはシェイナルズの森の中の空き家。ブラット達はコトネ達の来るのを待ちながら話をしていた。

「そういえば、親父は何でティールの街に来ようとしてたんだ？」

「ん？ああ、そうだった。ブラット、お前に用があって追いかけたんだが、色々とあって忘れていた」

「親父が俺に用って？」

「今のこの状況で、この話をするのは言いづれぇんだがな。歪みの洞窟の事なんだが。問題が起きていた洞窟の近くまで行って来たが。あれは、新たに出来た歪みの洞窟じゃなく、俺が昔に封印した洞窟の１つだった」

「それは、どういう事なのですか？」

「かつて俺は、封印石を使い歪みの洞窟を全て封印石の中に封印した。そして、ある場所に封印石そのものを封印をした。その場所を知っている奴は、一部の人間しか知らねぇ筈だ。かつて俺と旅をした仲間以外な」

「そうなると。その封印を解いたのは、ガルド様と一緒に旅をした仲間となりますね」

「ああ、そうなるな。レオルド、お前は知ってるよな？あの洞窟の封印を解いた奴が誰か。いや、恐らく……俺も検討はついちゃいるが、信じたくねぇ。アイツは、あの洞窟の恐ろしさを知っている筈だからな」

「ガルド様、お気持ちは分かりますが、あの封印を解いたのは間違いなく……しかし、この事は今ここで話さない方がいいでしょう」

「レオルド、何を隠しているのですか？」

　レオルドは辺りを見渡し、

「そういえば、マリエスは？」

「マリエスなら、確か外にいた筈だけど」

「やはり、今話すのは危険かもしれませんね。ブルーノア様にも確認を取りましたが。マリエスは現在外にはいないらしい。恐らくは、今の話を皇帝マグドに伝えに向かったのでしょう」

「どういう事なんだ？んー、ここで話が出来ねぇんじゃ……もし仮に封印が出来たとしても。また他で封印を解かれたら元も子もねぇ」

「そうですね。ここでは無理ですが、新たに作った城ならば、結界を張る事は出来ますので、ガルド様も私どもと一緒に来られてはいかがでしょうか？」

「んーそうだな。それがいいのだろうが、他の連中はどうするんだ？それに、カトレアを置いて行く訳には行かねぇしな」

「それならば、来たい者だけを、お連れになればよろしいかと」

「そうだな」

「んー、それで親父が俺に用って、その事と何か関係があるのか？」

「あー、ああ少し話がズレたが。歪みの洞窟を封印するには特別な封印石が必要なんだが、昔はシェイナルズ近郊の山でも封印石が取れた。だが、今は魔族領土エクスダールでしか取れねぇ。それも、何処にあるかは、ある魔法道具を使わねぇと分からねぇ」

「ん？でもそれと俺と何の関係があるんだ？」

「まぁ、最後まで聞け。俺は訳あってエクスダールには行けねぇ。カトレアとビスカと相談した結果、お前にその封印石を取って来てもらおうという事になった」

「……えっ？えぇぇーーーー!?ちょっと待ってくれって……てか、俺が魔族領土エクスダールに行く？はい？何で？それに封印石がどんな物かも分からないのに、どうやって探すんだ？」

「それならば、いい物が城にありますので、それで探されてはいかがでしょうか？」

　ブラットが考えていると、

「俺は1人で行けとは言ってねぇ。恐らくは、あそこにはレヴィかカトレアか魔族と関係している者と行かねぇとならねぇだろうからな」

「では、その話も踏まえ。これから向かう城で話をされた方がいいのではないのでしょうか？」

　レオルドにそう言われ、ガルドとブラットは頷いた。

　そして、コトネ達を待ちながらこれからの事をまた話し出した。