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んー……始まりの町の門で出待ちして狩るとか鬼畜行為するわけにもいきませんし、私が死ぬのもスキルを控えに移したところでここでは難しい。
光が弱点のままなら自動回復を控えに移せば死ねたのですが……今は不可能。
むむむ……? 今こそ自分の個人板の使用時では? あそこの人達ならちょっと死んでくれそうです。
3人に協力をお願いして、報酬に1人2万ぐらい渡しましょうか。
では早速、クエストのご協力をお願いします……と。
うん、釣れましたね。早いなぁ。
「ソフィーさん。北門で集合になりましたので、組合に寄ってからそちらへ行きましょう」
「ん」
報酬の6万を下ろしてから北門へ向かいます。
もう集まっているようですね……ほんと、早いなぁ。
「よろしくおねがいしますね」
「「「任せな!」」」
3人とも組合に所持金を預けて来て、装備も耐久設定の無い初期装備で準備万端です。
「初期装備とは言え、ラビットだと時間かかるし……姫様に攻撃して貰った方が早いな?」
「「という事は……」」
「「「カモォン!」」」
「あ、はい」
「1人ずつね……」
「分かりました」
なんでそんなテンション高いのか分かりかねますが、1人ずつ送って差し上げましょう。
ソフィーさんに従いつつ倒していき、3人目を倒します。
「ふぅん……分かった。じゃあ素材は今なら……」
『異人用リザレクトポーションの開発研究』
生きる伝説、ソフィー・リリーホワイトの興味を惹けた。
彼女の欲するアイテムを渡し、恩を売っておくと良いかもしれない。
1.品質A以上のムーンネザーライトを渡す。
2.異人の死亡場面を彼女に3回見せる。
3.指定されたアイテムを集め、彼女に渡そう。
発生条件:蘇生薬の製造法を知っている住人との交渉
達成報酬:異人用リザレクトポーションのレシピ
クリスタルロータス、追憶の水、ホーリープニカですか。全て冥府素材……手持ちで十分ですね。
「進んだー?」
「ええ、ありがとうございます。報酬を渡しますね」
「1回死ぬだけで2万貰える簡単なお仕事です」
住人からしたら相当クレイジーですけどね。
戻ってきた3人に2万ずつ渡し、ソフィーさんと移動します。
移動先は…………おや、メーガンさんのお店ですか?
「来た……」
「……やっぱり来たかい。と言うか、早速捕まえたのかい……」
なぜ哀れんだ目で私を見るのです師匠。
「錬金の知識が必要……」
「お前さんが持ってくるものは難題ばっかりなんだがね」
「異人用リザレクトポーションの錬金レシピ確立。よろしく……」
どうやら調合系はソフィーさんがやり、錬金系をメーガンさんにさせるつもりのようですね。
メーガンさんは溜息ついてますが、やるようです。
「夕方以降、教会に来て……」
「分かりました」
『異人用リザレクトポーションの開発研究』
生きる伝説、ソフィー・リリーホワイトの興味を惹けた。
彼女の欲するアイテムを渡し、恩を売っておくと良いかもしれない。
1.品質A以上のムーンネザーライトを渡す。
2.異人の死亡場面を彼女に3回見せる。
3.指定されたアイテムを集め、彼女に渡そう。
4.夕方以降、ソフィーと接触して受け取ろう。
発生条件:蘇生薬の製造法を知っている住人との交渉
達成報酬:異人用リザレクトポーションのレシピ
ふむ。これで後は受け取るだけですか。
夕方以降という事は……リアルで21時以降ですか。寝る前に回収すればいいですね。
メーガンさんのお店を後にして……さて、夕食まで何しましょうかね?
いっその事、今日は生産して金策に走りましょうか……ああ、いや。ワンワン王でも呼んでお勉強しましょう。そうしましょう。
離宮へ転移してから、ミニ立像でも呼べますかね?
「ティンダロスの王よ、言語を教えて下さい」
……来ましたね。
「やるのか?」
「ええ、向こうの体が食事の時間までお願いします」
「良かろう」
転移用のミニ立像から離宮の部屋に移ります。
移動の際、侍女達は端で頭を下げて待機。ワンワン王がいるせいか、いつもよりキリッとしていますね。
そしてティンダロスの王から《古代神語学》の授業が始まります。
絵面? 外なるもの絡みの時に気にしてはいけませんよ。
ついでにこの世界での彼について聞いてみましょうか。
まず元となったクトゥルフ神話での設定ですが……。
ティンダロスの王やティンダロスの猟犬。クトゥルフ神話を齧った程度の人でも聞いたことがあるんじゃないかな? という程度には有名な存在ですね。
実は彼らは別の種族です。
『ティンダロス』という別次元、または異世界など……ハッキリしていませんが、土地の名前と思えば良いでしょう。
なので、ティンダロスに住む『ティンダロスの王』と『ティンダロスの猟犬』と言われる別々の存在です。猟犬のトップが王と言うわけではない……ですね。
猟犬とは言っていますが、『人間』にとってそう見えるだけで、犬ではありませんし、そもそもが肉の体を持った存在ではありません。
つまり『ワンワン王』は正しくないのですが、気にしたら負けです。
彼らは時間の角に棲んでいるとされています。は? って感じですが、そういう設定なのです。理解しようとせず、感じるんです。そのまま受け入れよ。
120度までの角は彼らの領域で、そこから亜空間移動してくるわけですね。
人間の部屋って基本箱型なので、角があるんですよ。そこからティンダロスのもの達は不法侵入してきます。
ティンダロスのもの達は時空能力を持っているので、このゲームで言うなら《空間魔法》系のプロフェッショナルです。角と言う限定が付きますが、転移能力あり。
彼らとの接触パターンは大体が時空関係です。過去や未来を覗いたりする時や、移動時ですね。この時目が合ったりすると、絶対殺すマンとして追いかけてきます。
撃退すれば諦めてくれるそうですが、人間が倒すのは……うん。と言う状態。
さて、何が問題かと言うと……ステルーラ様。恐らくクトゥルフ神話で言うところの副王、ヨグソトースだろうという推測がプレイヤーではされています。
ヨグソトースは『玉虫色の球体の集まり』的な描写がされるのですが、そう……球体なんです。本来角であるティンダロスとは相性が最悪なんですよね。
ヨグソトースも時空能力を持っているので、ティンダロスの王とは敵対関係なのです。ヨグソトースが『曲がった』時間。王が『とがった』時間。
でもこの世界ではステルーラ様の使い的な感じなんですよね。
後は……彼らは本来、死体安置所の臭いがして、周囲に吐き気をもたらしますが、このゲームだと無さそうです。
それでこのゲームでは、深淵に彼らが住まう土地があるようです。
種族ごとに合った空間を用意してくれるから楽園だそうですよ。椀飯振舞ですね。スケールが違います。
ということで深淵は物凄く広く、とてもカオスのようです。
基本的に能力などはそのままですが、敵対ではなく友好的。時空渡航者絶対殺すマンではなく、契約違反者絶対殺すマン。
撃退されても諦めず複数で行ったり、もっと上の外なるものが派遣されたりするようなので、ある意味原作より悪化してますね?
ティンダロス関係は猟犬と王、後は……ティンダロスの大君主がいましたっけ。ティンダロスの王の中でも最も強力な存在。
「王よ、あなたに個体名はあるのですか?」
「余か? ミゼーアだが?」
あ、はい。大君主がそんな名前でしたね。大君主自ら言語のお勉強。緩いですね。
……あ、私も王か。相手のこと何も言えない。
相手がどんな存在だろうと、友好的なら何の問題もありません。喧嘩売らなきゃ良いのです。
そもそも相手、レベルカンストしてますからね。瞬殺されますよ。
さて……聞くこと聞いたし、大人しく教わりましょう。
そろそろ夕食ですか。お勉強を終わりにします。
えっと……大体3時間? ゲーム内半日ですね。《古代神語学》が5と言うと……ゲーム内丸1日使って10?
《言語学》系はレベルと言うよりパーセントな気がするので、100まで持ってくのに……リアル60時間ですと? えー……2日と12時間ですか。
MMOと考えると……全然ましか。ちまちま頼むとしましょう。
「そう言えば、《聖魔法》は取ったか?」
「いえ。自分や下僕に使えないので、取っても上げるの苦労するのですが」
「ふむ。信仰は必須ではないが……こちら側に来るならば、あった方が選択肢が増すぞ?」
つまり進化先ですね? その辺り詳しく。後戻りできない事なので、とても大事。
「信仰にも様々ある。具体的なアドバイスは……そうだな、ステルーラ様にも様々な顔がある。お前はどの顔を選ぶ?」
顔? こういう場合の顔と言えば……ああ、なるほど。
ステルーラ様は光と闇を司る神、生と死を司る神、時空と運命を司る神、契約と断罪の神。
これらがそれぞれ顔になるのでしょう。
「そう……ですね。時空と運命も気になりますが、強いて言うなら契約と断罪でしょうか?」
「ほう、なぜそれを選んだ。説明が可能か? しっかりとした意思こそが重要だ」
「なるほど。『約束は守りたい』という具体的なものはありますね。他はこう、難しいんですよね。かろうじてイメージはできますが、時空と運命は難解です」
「ふむ、お前の考えはよく分かった。それで良い。大事なのは神が見ていると信じ、恥じない行動をせよ。より人に分かりやすく言うなら、親に顔向けできる行動を取れ。信仰を難しく考える必要は無いのだ」
見た目あれですが、めちゃくちゃ良い事言ってくるのヤバイですね。目を瞑って声だけ聞いた方が良いのでは。
それはそうと、《聖魔法》は何の関係が?
「これは想いの、内面的な事。そして《聖魔法》含むスキルが外側、肉体的な問題だ。進化にはどちらも重要だからな」
「なるほど。スキルレベルはともかく、持っておけと?」
「レベルも高いに越したことはないが、その通りだ。あることに意味がある。こちら側に来たら聖も普通に効果を受けられるしな」
「あ、そうなんですね」
「ああ、ただ。デメリットとして他の属性が潰えるぞ」
「……使えなくなるのですか?」
「そうだ。光と闇に関してかなりの補正を得るが、他が死滅する。こちらに来るも来ないもよく考えて選ぶと良い。立ち止まり考えるのもたまには良いだろう」
私の場合は光と闇の極大補正、他属性の封印になるだろうと。この辺りは『何から進化したか』『誰の信仰者か』で変わるようですね。
世界の理、輪廻から外れた者達を『外なるもの』と呼ぶので、ステルーラ様の使いだけでなく、シグルドリーヴァ様やハーヴェンシス様の使いもいるんだとか。
他は種族次第だが、私がどうなるかなど分からないので、その辺りのアドバイスは不可能……と。
「では余は戻る」
「ええ、またお願いします」
「うむ」
部屋の角から帰っていったので、一度ログアウトして夕食ですね。今日はお母さんがいたはず。
「お姉ちゃん!」
「はい」
「アプデが来ます」
「はい」
「3陣が来ます!」
「らしいね。人数は?」
「なんかもう、国内のみ無制限開放するらしい?」
「あ、そうなの?」
「それで、9月1日は朝6時から丸1日メンテするって」
「……メンテ終わりは2日?」
「うん、6時ぐらいに終わるっぽい。鯖変えるとかなんとか? 山本さんがまた暇つぶし放送するって」
「じゃあそこで説明あるかな」
山本さんは責任者で、技術者と言うより管理職なため、実はメンテ中暇らしいんですよね。……予定通りに進みさえすれば。
まあ、個性豊かな開発陣を纏めるのは楽じゃないのですが。
ハードウェアの大型アプデですか。
「フレーバーテキスト的に書かれてた種族の基礎ステータス評価、あれをゲーム内で出すって書いてあったよ」
「へー……まあ、そんな細かくは表示されなさそうだけど」
「まあ、大雑把だろうね……」
話しながらのんびり食事を進めます。
あ、そうだ。
「そう言えば、蘇生薬ができそうだよ?」
「えっ、えっ?」
「明日1日生産して……寝る前に委託に出して、掲示板にレシピ公開かなぁ」
「って言うと《錬金》なの?」
「《調合》系か《錬金》だってさ。特定住人で異人用リザレクトポーションの制作クエストが発生するようで、それが寝る前には終わりそうなの」
「クエストかー! そう言えば掲示板で募集してたね。それで死んでくれか……」
「発生条件は多分魔女との接触かな?」
「お姉ちゃんが銀髪美少女といるって情報あったけどその子?」
「うん。世界的に有名な子で、不老の天才魔女だって。下手に手を出すと社会的に消されそうだから気をつけた方が良いよ。レベルも高いし」
「不老……合法ロリとな!?」
「実年齢は聞いてないから分からないけどね」
可愛いは正義。
ついでに魔女の名前などについても教えておきます。
蘇生薬レシピ出す時に掲示板にも乗せましょうか。知らないと少々厄介な事になりそうな気がしなくもないので。
「いくらで売るの? 欲しいんだけど」
「値段は明日サルーテさんとかに相談する予定。材料的に安くはなるはず?」
「へー、できたら買いに行こ」
「まあ、お昼食べた後かな。PT以外には内緒ね?」
「お姉ちゃんが寝るまでね」
「学校の支度するのも忘れないようにね? そろそろ始まるんだから、制服出しておきなさい」
「ふぇーい……楽園が後4日で終る……」
「どうせすぐ冬休みでしょ」
お母さんの言う通り、そろそろ出してタグを外しておきますかね……。
食事を済ませ、お風呂など夜の行動も終えて、時間を見てログイン。
教会へ直行し、ソフィーさんを呼んでもらいます。
「ん、これが報酬……」
早速受け取った2枚の紙を確認します。
〈《調合》の基本レシピ『異人用リザレクトポーション』を覚えました〉
〈《錬金》の基本レシピ『異人用リザレクトポーション』を覚えました〉
〈クエスト:『異人用リザレクトポーションの開発研究』が完了しました〉
「確かに受け取りました。ありがとうございます」
「どう扱うかは任せる。無くさないように……」
「はい。家にでも置いておきます」
教会へ納品するホーリープニカを持ってくる際、ソフィーさん用の素材も持ってくると言う依頼を受けました。
しばらく教会に住み着く気満々ですね? まあ、普通に買い取りなので問題ありませんが。侍女に周期を教えて用意してもらいましょうか。
そうすれば私はこちらに物を運ぶだけですからね。
「ではプニカの納品時に他のも持ってきますね」
「よろしくお願い。んふー……いい夢見れそう」
「はい、おやすみなさい」
ご機嫌なソフィーさんを見送り、早速私は離宮へ。
ソフィーさんから受け取った2枚の紙には、『ソフィー・リリーホワイト・ソルシエールから、ムーンネザーライトの報酬として、アナスタシア・アトロポス・ネメセイアへ』や『作った主張はするが、それ以外の販売権などは全て譲渡』など書かれていますね。
つまり簡単な契約書も兼ねているようで。
作ったのは私! でも他は好きにしてと言うことですね。
お仕事欲しい病を発症している侍女さんに、教会に持って行く分の素材集めのお願いをしておきます。
今まで暇すぎて死にそうだったのでしょう。もう死んでますけど。
更に、明日から使うリザレクトポーションで使用する分も頼んでおきます。
多少早いですが、寝るとしましょう。
おやすみなさい。
朝起きたらログイン……ではなく、今日は体を動かす日ですね。弛むのはごめんなので、適度に体を動かさねば……。
運動と食事などを済ませてから、午前中のログインです。
「おはようございます。材料は錬金部屋へ運び込んであります」
「ありがとうございます。足りなければまた言うので」
うちの侍女は優秀ですね!
雇った住人は畑などの収穫もやってくれるそうですが、雇う際に所有スキルで値段が違うらしいですよ。
鉱脈の採取は私のスキルレベル上げも兼ねているので、頼んでいませんが。
先に鉱脈分の回収をしてから、生産に入ります。
クリスタルロータスとホーリープニカ、更に追憶の水で合成……と。
あら……魔石がないから魔力暴走はしないけど、難しいですね? どうせ沢山作る予定なので、そのうち慣れるでしょう……。
[回復] リザレクトポーション レア:Ra 品質:B
HPを65%回復させた状態で対象を復活させる。掛けるだけで良い。
蘇生を受けた対象は、リアルタイム10分間、蘇生を受けられない。
異人専用。
Bですか。補正を考えると微妙ですね。素材の品質的にA級乗ってもいいと思うのですが……まあ、慣れればそのうちできますか。
作るぞー。
〈《錬金術》がレベル30になりました。スキルポイントを『2』入手〉
〈《錬金術》のアーツ【状態変化】を取得しました〉
ん、上がりましたか。どれどれ……。
【状態変化】
アイテムの形を液体、固体、気体のどれかへ変化させる。
なるほど、状態変化。色々応用ができそうですね。ですが後回し。
リザレクトポーションを量産している感じ、品質は復活時のHPに影響があるようですね。恐らく品質CでHP50%蘇生です。
品質1個でプラマイ5%なので、S+で100%蘇生ですかね? 未だにS級ができませんけど。
素材が全てA+で錬金部屋でできないとか、何かが足りないのでしょう。住人がくれるのはあくまで基本レシピですからね。
液体状のポーションにするのだから、最初から全て液体にすれば良い? 【状態変化】してみますか。
素材を錬成陣の上に置いて【状態変化】により液体化。
錬成陣の上で3つの球体が浮いているので、そのまま【合成】を開始。
ふむ……こちらの方がスムーズですね。これで何回か試してみましょう。
素材の補充を頼みつつ、引き続き生産を続けます。
[回復] ブレスポーション レア:Ep 品質:S-
HPを100%回復させた状態で対象を復活させる。掛けるだけで良い。
蘇生を受けた対象は、リアルタイム10分間、蘇生を受けられない。
異人専用。
お? 名前が変わりましたね……。Breathではなく、Blessでしょうね。息ではなく祝福。ドラゴンのブレスは前者。このポーションは後者。
S-で100%回復ですか。回復数値が飛びましたが、以降別のが変わる……となると、蘇生受付時間が短縮されそうですね。
リアル11時ですか……。
エルツさん、ダンテルさん、サルーテさん、プリムラさん、ニフリートさんがログインしていますね。
複数に連絡を取ります。
『おう、複数とはどうした?』
「少しトッププレイヤーの知恵が欲しくて、値段の相談がしたいのですが」
『珍しいねー? ヤバイものできたー?』
まあ、プリムラさんの言う通りある意味ヤバイものでしょうか?
「蘇生薬ができました。いくらで売ったものかな? と思いまして」
『ほんとに!? 姫様って言うと《錬金》かー!』
「《調合》系レシピもあるので、サルーテさんに教えておきますね」
『良いの!?』
「1人だと制作間に合いませんからね。物が物だけに独占は面倒なので、1日先行しようかな……ぐらいですね」
皆に妹に言った流れを説明しておき、アイテムの品質による変化と、SSを2個見せておきます。リザレクとブレスですね。
『『『『『おぉ! S級!』』』』』
「素材を全てA+で揃えました。全て冥府品なのでそれが可能だったので」
『何使うの?』
「クリスタルロータス、ホーリープニカ、追憶の水です。レシピはこれです」
サルーテさんには素材を提供しましょう。名前が変わるのは品質だけが条件なのか気になりますし。
『じゃあ今から取り行くね!』
「家にいるので」
『おっけー』
『値段、値段ねぇ……3個の相場いくらだったか?』
『あの3個なら安いけど、基本的に品質C止まりだから……』
『制作難易度も問題でしょう?』
『そうだな。姫様《錬金》だとどんなもんだった?』
エルツさん、プリムラさん、ニフリートさんが話す中、ダンテルさんの問に答えましょう。
「そう……ですね。魔石を使う物とは別方向でそれなりに難しいかと。後は《錬金術》の30アーツ使わないとS級届きませんでしたね。必須なのかコツなのかは不明ですが」
『ふぅむ……』
〈サルーテが訪問してきました〉
やって来たサルーテさんに、侍女達が持ってきた素材を持たせて送り出します。
『ちゃちゃっと作ってみますか』
『品質高い方が復活直後の事故死が減るな』
『だな。とは言え、現状で一気に半分持ってかれる事は無いだろうが……』
『アイテム使ってすぐ回復魔法が不要と言うのは、戦闘中だとでかいぞ?』
『それもそうか』
ゲームではお決まりの、ようやく出てきた蘇生薬ですからね。実に悩みます。
クールタイムがそれなりに長いので、1人2個か3個持っていれば良さそうです。むしろそれ以上死ぬようなら狩場が合ってないでしょう。
バーサク系スキルの保険にはなりますか。使い勝手が多少マシに……。
『おわーっ! まじか。失敗した』
『難しい感じ?』
『1回見たし、大丈夫なはず。慣れがいるかも?』
《調合》系と《錬金》系は言うまでもなく、違う作り方ですからね。アドバイス何かは不可能です。頑張ってもらいましょう。
『あの変化の仕方で、この書き方なら……このタイミングかっ』
『素材と制作難易度的に……Cで600ぐらいか?』
『お、えーまいー。素材品質による完成品への影響も調べたいけど、ひとまず後回しかな……』
『A-か。C50だからA-75だな? 50ずつ上げて850か?』
エルツさんのを採用すると……S-で1000ですかね。
『A級とS級はもう少し上げても良いんじゃない? 作るの難しいでしょ?』
『品質による完成品への影響次第ではもっと上がるだろうな。その辺のルールまだはっきり分かってないからなぁ……』
ニフリートさんのも一理ありますね。
ダンテルさんが言うように、素材の品質が完成品に影響するルールがまだ不明です。この辺りのルールを探るには、冥府素材便利かもしれません。
「8割回復のAで1000に飛ばしますか?」
『【再現】がB級までだから、A-から上げて良いと思うよー?』
『ビープラから200ずつ上げる? えーまいで1000。結構判定シビアだよ』
プリムラさんに言われて思い出しましたが、そんな【再現】ルールありましたね。【再現】使うと入手経験値も減るので、ほとんど使わないため忘れていました。
サルーテさんのだと……Cの600スタートでB+までは50ずつ。A-から200上げて1000。A+で1400ですね。
「S級はもっと上げますか? 全快復活ですが」
『上げて良いんじゃないかな? 400で1800ぐらい?』
「S+で2600ですか。まだS-なので期待ですね。ではこの値段設定で、今日寝る前に委託に流しましょう」
『私も出しちゃって良いの? 数日遅らせても良いんだよ?』
「いえ、蘇生薬作り続けるのは今日だけで十分です。是非作って下さい。今日だけでも稼ぎはかなり出るでしょうし、1人3本制限でもかけます」
『なるべく行き渡らせるのが目的ね。姫様が寝た後すぐ売れるだろうから、その後私が出そうかな。素材確保や制作時間考えると、それでも十分売れるはず』
『持ってて損がないアイテムだからな。リザポは常備薬』
リザポは常備薬。非常によく分かります。持ってて安心リザレクトポーション。
『そういや姫様。俺らはたまに生産者会議的なことしてるんだが、参加するか?』
「私ですか? 《料理》スキルも抜かれたので、トップというわけではありませんけど」
『トップ組であればトップである必要はないさ。俺らも分からんしな。扱ってる素材帯が重要でな、《料理》だけでなく《錬金》もあるだろ?』
「ああ、なるほど。素材は重要ですね」
『会議とか言ってもやってることお茶会だけどねー』
『情報共有と息抜きが主目的だからな。そんなもんだ』
『料理アイテム買って持ち寄って、新しい新作や庭自慢!』
『やるのは土日どっちかで、一週間前にやりたいやつが招集。勿論参加は強制じゃないからリアルの用事を優先してくれ。会場は招集者の家な』
「それで庭自慢ですか」
参加するのは特に問題ありませんね。料理も自作すればいいですし、断る理由が特にありませんので、参加させてもらいましょう。
『じゃあ次からは姫様も声かけるようにするか』
『『『『おっけー』』』』
『姫様、冥府に宝石ないかな?』
「宝石ですか? 固有のならムーンネザーライトがありますね」
『あるの? 是非とも売って欲しい』
『私も欲しいー! 杖に使えるかな?』
「では侍女に頼んでおきましょうか」
ニフリートさんとプリムラさんですね。用途はアクセと魔法触媒でしょう。
『そっちは雇うわけじゃなくメイドさんか』
「お仕事欲しそうにしているので、素材言うと取ってきてくれるんですよね」
『流石城。便利過ぎるな』
「S級は無いので、そこは自分でやれって事でしょう。水以外はかなり用途が限られてますし、楽できる分そんなもんですね」
『ゲームだからしょうがないな。何でもかんでもできると、すぐやること無くなっちまうし』
まあ、そうなるとすぐ飽きが来るので仕方ありませんね。あれが足りない、これが足りない言っている間が一番楽しいと言う。
『そういや魔鉄だが、師匠に聞いてみたがダンジョンが主な産地だってよ』
「ダンジョンですか……」
『ダンジョンはマナ濃度が濃いらしい。ダンジョンだと魔鉄は簡単に採れるが、ダンジョンに潜って生きて帰ってくる事自体が難しいんだと』
「では世界的にはレア鉱石扱いですか?」
『まあそうなるな。それなりの値段するようだぞ。加工にも魔力持ちの施設が必要だしなぁ。ちなみに、魔力を持った金属の有名所がミスリルだそうだ。魔力持ちとしては、魔鉄は産出量が多いから1番安いってよ』
「濃度をもっと上げ……いや、私自身のレベルを上げれば大鉱脈からミスリルが出そう?」
『だな。俺も期待してる。大鉱脈は所有者依存だからな』
ベースレベルとスキルに依存して採れるものが変わるので、ミスリルが適正レベル帯になれば採れるはずですもんね。楽しみにしておきましょう。
「そう言えばサルーテさん」
『なにー?』
「今始まりの町に魔女が来てますよ」
『なにー!?』
「蘇生薬と同時に情報出す予定ですが、先に教えておきますね」
こちらでも妹に言った魔女周りの事を教えておきます。
ソフィーさんは弟子を取りそうにないですけど、他の魔女も来てるっぽいんですよね。ルシアンナさんが『リリーホワイト様まで来ましたか』とか言ってましたし。
『ふぅん……名前がねぇ』
「見習いだと名には付かないらしいですよ」
『長いから……ではなく、見習いはまだ魔女じゃないからかな? 情報ありがとう。頑張ってみるよ』
値段も決めましたし、教えておきたい事も言いましたし、このぐらいですかね?
『そうだ、姫様ちゃんとイベントポイント交換したー?』
「あー、まだ残っていますね。これと言って特になくて」
『ハウジング系は? お茶の苗木とかもあるよー?』
「え、そんなのあるんですか。茶葉は交換しましたけど」
『検索にハウジングでジャンル検索できるよー』
「ほんとだ……紅茶向け……緑茶向け……果実の苗木に薬草の種もですか」
『消滅するから余るならそれに使っちゃいなー』
「そうしましょうか。変質しない事を祈りましょう……」
『あー……土地が特殊だったねー。そこまでは分からないやー。あはははは』
とは言え、プリムラさんが言うこっちで残りを使ってしまうのは十分ありですね。
「畑の管理は可能ですか?」
「勿論。庭師が居りますので」
「無いよりはあった方が良いか……交換しておきますかねぇ」
マナ濃度が濃い事を考えると……MP回復系素材でしょうね。
フレーバーテキストで判断するより、庭師に相談した方が早いですか。後でそうしましょう。
「では、お昼にしてきますね」
『おうよ』
通話を終わりにして、一度ログアウト。
そして妹とお昼を食べつつ、リザレクトポーションができたから家に来るように言っておきます。
お昼を終えてログインしたら、妹にリザポを売り、プリムラさんとニフリートさんにムーンネザーライトを販売。
ログイン中はひたすらリザレクトポーションを制作。
夕食後に後は寝るだけにしてから組合へ。そこで料理や御札、魔粘土の料金を回収してリザレクトポーションを並べます。
そしたら今度は掲示板に書き込み、今日の予定は無事完了。
何事もなく、予定通りに1日が終わるのは平和な証。
実に良いことです。おやすみなさい。
作中9月の公式イベント。40レベの主人公進化データとイベント。その他生産品と必要データが多いですなぁ。
楽しいけど本編の執筆が進まない罠。
そろそろリアル側の日数を飛ばしていかないと、MMOにしては早すぎる現象が発生しますね。
ちなみにクトゥルフに関してはマレウス・モンストロルムを元にしています。
それ以外のものと違うというツッコミされても、『へぇ』としか返せませんのであしからず。




