110 インバムント防衛戦 後
改行やスペース除いて3万5000文字とかいったので分割しました。
2話同時更新です。
「「一回戻るー?」」
「そうしましょうか」
一度船に戻り、回復と消耗品の補給をしましょう。
今度はリーナ達のところに着艦。
「あ、お姉ちゃん!」
「船はどう?」
「壁にぶつかって死ぬかと思った」
「あー……」
今アルフさんの影響で、全金属製でしたね。激突した時のダメージが洒落になりませんか。とんだデメリットですね……。
揺れ自体は他の船に比べてマシ……らしいですね。
「シールドってどういう仕様?」
「チャージ式だねー」
エネルギーを回してチャージしておき、必要な時に起動する。エネルギーが0になるまで起動し続け、冷却と言う名のクールタイムが発生。再びエネルギーを回してチャージする必要があると。
攻撃・移動・防御・基本の4個のモードで、エネルギーの供給具合が変わるようです。もうそれ聞いただけで大体察せるので、詳細は聞かなくても良いでしょう。
つまり、システムのアナウンスに合わせる必要は特になく、いつでも発動できる状態にしておけばいいわけですね。
話をしながらせっせと消耗品の補充をします。双子には【魔化】した物を渡さないといけませんし。
「それにしても静かになったな?」
「ほんとにな」
トモとスグが海を眺めながら言っていますが、本当に静かですね。
逃げていた水棲系もいなくなったので空の敵も解散。そのため荒れる事もなく、晴天の大海原に艦隊が浮いている状態です。ここだけ見れば実に平和。いや、乗っているのが軍艦な時点でなんとも言えませんか?
回復と補給の終わった双子が海で遊び始めたので、私は……海面にでも立ってみましょう。
「一度は夢見る水上歩行……と、言いたいところですが、違うんですよねこれ」
「「やるー!」」
揺れる海面に触れる程度を保つ必要があるので、これが地味に難しい。近くで軍艦が走っているので、波ができているのもありますからね。
私と双子を見ていた、近くにいた人外系の人もやってきて、チャレンジを始めました。種族によって浮遊形式が違うので、難易度はバラバラですね。
「俺はやらんぞ」
「ヒトカゲは火が消えると死んじゃうからね……」
「誰がヒトカゲじゃ」
サラマンダーなので、まあ……火トカゲですね。
水妖精のニクシーが一番楽……というか、正しく水上歩行していますね。他は浮遊で高さを調整して、足動かして演技しているだけなので。
「「むずい!」」
「立つのはなんとかなるけど、歩くのは難易度高いなー」
キューピッドさんが海面を手で触れながら飛んでいますね。割と見るやつ。あれも絵になりますよね。
「『ん?』」
〈〈諸君! クラーケンが来たぞ! 戦闘準備!〉〉
おっと、休憩タイム終わりですか。
少し離れたところに、海中から飛び出してきて……浮いていますね。
見た目は事前情報通り。人のような胴体を持ち、腕の部分に触手が複数。腰辺りからスカートのように、そのままクラゲに。
微かな情報を追加するとすれば、触手が若干赤みがかっています。
[ピエエエエエエエ]
腕の触手を広げて鳴くと、下の海から海水が動き、薄い膜が張られました。
これが登場演出ですかね。
〈〈諸君! 健闘を祈る!〉〉
アトランティックシーネットル・メデューサ。68レベのゲージが表示されました。ボスなので複数本ですね。
それに加え、小さい青いゲージも表示されています。
「まさかのシールドタイプかー?」
「どうせ主砲にぶち抜かれるんでしょ、知ってる」
まあ……そうなんでしょうね。
「取り巻きはいない感じ……でしょうか?」
「「っぽいー?」」
「っぽいー?」
「「ぽいぽいー」」
……双子は可愛いですね。
肝心のクラゲは……空中に浮いていますね。下半身にあるクラゲ部分の触手はかなり長いようで、海中まで伸びているようですが……それ以外は浮遊状態です。
……乾かないんでしょうか。
[ピエエエエエー!]
腕を上げると同時に、複数の水柱として海水が持ち上がっています。その水柱はクラゲの周りで複数段の円となり、大量の水弾としてばら撒かれました。
「『おまっ』」
さすがにこの数を全て防ぐのは不可能ですね……その分中ったところで大した事ありませんが。
「どうじでぞういうごどずるのぉー!」
「インバムントの時点で嫌な予感はしてただろ?」
「たりめぇだよなぁ? ここの時点で水系確定やろ」
「ここで水系じゃない方がビビるわな」
……サラマンダーとかクラーテシー系以外は。このバラ撒き具合、水弱点系は船不可避ですかね。
「攻撃全然通ってなくねー?」
「シールドの青ゲージが一応減ってはいますが……」
「どうも徹甲弾はシールドぶち抜いて本体に届いてるっぽいんだよねー」
私もフェアエレンさんと同意見ですね。徹甲弾はシールドを抜いて本体に届いていますが、榴弾はシールドで爆発しているように見えます。
一見徹甲一択な気もしますが……そうではないでしょうね。
『ふ~む。この数での検証は無理だな?』
『まあ無理だな。ただ、多分正解は榴弾だろうな』
『シールドを割るには榴弾で、シールドを無くせば結果的にダメージが増えると』
『おう。他にギミックがあるなら知らん』
私達の攻撃がシールドに吸われていますからね……。飛行系と水棲系の攻撃も本体に当たるようになれば、その方が良いでしょう。
我々も爆発系で攻める方が良いのでしょうか? ピラーの多段ヒットも、あのクラゲのサイズならありでしょう。問題は魔法自体の射程。私自身には問題ありませんけどね。
「ピラー置くついでに爆雷落としてくるかー?」
「エクレーシーならありかな。飛行が遅い種族は辛いと思うけど」
「「無理ー!」」
双子の種族だと厳しいですかね。キューピッドさんもできそうですが、得物が弓なので無理する必要は無いでしょう。私も射程は関係ありませんし、フェアエレンさんに持っている爆雷渡した方が良いですかね。
「家族に……愛していると伝えて欲しい……行ってくる!」
「ニヒルに何言ってんだ……」
ニヒルに決めたフェアエレンさんが、クラゲに向かって飛んでいきましたね……。
味方の攻撃に巻き込まれないように上空へ行き、上から爆雷を投下。そのまま過ぎて下降し、敵に当たるように海面にピラーを設置して、海面すれすれを飛んで帰って来ると。
「ふっ、他愛なし……」
「どうぞ」
「あっはい。この任務が終わったら……思いを告げようと思うんだ……」
「毎回やる気?」
私が持っていた爆雷を持って、フェアエレンさんが飛んで行きました。
さすがの爆雷、ド派手ですね……。
上空は主に《水魔法》が飛んできて、海上の船と海中の水棲組は、クラゲ部分の長い触手に襲われているようです。たまに振り下ろしの長い触手を避けないといけないんですよね。長い触手に当たるとしっかり毒になるようで。
フェアエレンさんが戻ってきましたか。
「結婚しよう!」
「もう一回遊べるドン!」
「ド畜生!」
プロポーズしたキューピッドさんから、また爆雷が差し出されました。同じ任務へと送り出す恋人ですか。
「……浮かばんな。行ってくるわー」
「「ネタ切れ!」」
「うははは!」
フェアエレンさんを見送りつつ、魔法で攻撃。
魔眼でピラーが当てやすくなったおかげか、MP効率がとても良いですね。あまり動かず触手と魔法というのもあると思いますけど。強いて言うなら、魔法を相手に反射しても全く効果がないのが悲しいぐらいですか。下手したら回復しそうです。
〈〈爆発系、または水の弱点属性がシールドに効くようだぞ!〉〉
おや、NPCが情報くれましたね。時間経過かなにか条件付きか分かりませんが、答えが出たと言うならそれで良いでしょう。
「「水の弱点ってなんだっけ?」」
「土と……岩漿と雷だったかな? 木もか」
「私達の中ではフェアエレンさんぐらいなので、気にする事はありませんよ」
「「そっかー」」
しかし爆発系ですか。船は榴弾で良いにしても、魔法だとバースト、エクスプロージョン、マイン、グラディウス……ぐらいでしょうか。爆発系は射程が短めなので、難易度は高めですね。
軽く動いた時や振った触手に当たるようマインでも撒いておいて、ピラーとエクスプロージョンですかね……。バーストは自分中心なので魔眼も意味ありませんし、グラディウスは単体相手ではMP効率が悪い。弱点を突ける事で普通の敵に撃つよりはマシだとは思いますが、エクスプロージョンとピラーを超える事は無い……でしょう。
『どわーっ!』
『シールドはよう!』
『あと8秒!』
『船の耐久ゴリゴリ減るぅ!』
あの巡洋艦、長い触手に捕まっていますね……。
『どう足掻いても間に合わねー!』
『あーっ!』
バキバキ音を立てながら轟沈。
「クラゲ……クラゲとはいったい」
「知らんのか? あれだ」
「異世界怖い」
「ほんとにな」
怖いですね異世界のクラゲ。
MPポーションが無くなるぐらいで補給へ行き、全快したら再び前線へ……を繰り返します。爆雷は使わなそうなので、軍用品はポーションと矢で良いでしょう。
クラゲの張っていた水のシールドが弾けるようにバシャンと消滅。本体に殴り込みです。
「茹でクラゲにしてやんよ!」
「水に火、あんま効かんけどな」
さて、シールドが無くなった以上、使う魔法はいつも通りですかね。対象が大きいのでフラックもありですか。全部当たるならアローやランスよりも、優先度は上がりますね。
シールドが割れて判定サイズが減ったので、マインは使わなくても良いですか。
[ピイイイイイー]
さあ、なんですかね。
水柱が上がって……ん? 水弾ですか? それにしては声が……。
「あれ、声違ったよね?」
「「違ったー!」」
「いや、水弾より柱が多いですね?」
「増えてくねー…………げぇ!」
「『関羽!』」
「やかましいわ!」
フェアエレンさんのに続けたくなるのは……まあ、ちょっと分かりますが。
それより問題は水柱が凍った事。まさかの《氷魔法》です。我々は火と水が無いと取れませんが、魔物仕様でしょうか。
とりあえず……まずすることは、あれか。【マルチロック】も使用してPTメンバーの濡れ状態を解除しておきます。
「【五重詠唱】【洗浄】」
「『ん? ああ、凍結!』」
そうですよ。濡れている時に氷は凍結確率が上がりますからね。
水弱点の種族はさっさと一号の後ろや、船に行って回復が良いのでしょう。まあ船は船で大変だと思いますが、即死の可能性は減ります。
飛んでくる大量の氷をできる限り弾きます。連続で当たると凍りますからね……。
「凍ったらどうなる?」
「知らんのか? 落下して死ぬ」
「あー……海面の落下ダメージか」
「凍結中被ダメ増えるんじゃね? 落下ダメージって打撃だろ……」
「あれ、思ったより殺しに来てる?」
「せ や ぞ」
凍結は特殊系の状態異常なので、私も効くんですよ。
船の方は船の方で、大きな氷柱に襲われているようですね。ツララというか、文字通りの氷の柱……って感じですけど。あれ船の角度によっては穴空くのでは。
『ギャース! 氷刺さったああああああ!』
『この状態で修理しろって鬼じゃね!?』
『助けてえーりん!』
『懐かしいな!』
船は船で突き刺さって大変そうですね。
氷の場合は水弾より飛んでくる数が少なく、威力が高くて凍結の可能性ですか。この数なら弾くのに問題ありません。
「クラゲ、防御低い系ー?」
「思ったより削れるの速いですね」
「船のダメージがエグいんじゃない?」
補給する必要がある分、1発での減りがエグいんですかね。いかに船を轟沈させずに済むかが肝ですか。
[ピイイイイイァァァァー]
「『あん?』」
声と共に氷の撃ち出しが止まり、氷の塊がクラゲの頭上へ移動。同時に船を殴っていた長い触手が動きを変え、氷の塊の方へ向かいました。
「これは……回避の準備をしておくべきですかね。さて、一号どうするか……」
「一号は任せろー」
「キャバリシー……分かりました」
そもそもこっちに攻撃が来なければ良いのですが。
……っていうのをフラグって言うんですよ。
長い触手が頭上の氷の塊を包んだと思ったら、塊が複数に分かれ、それを様々な方向に投げました。
『あーっ! そのコースはダメだーっ! 結界起動!』
直撃コースの船は大人しく結界起動ですね。
一号より遥かに大きい塊を反射やパリィするのはちょっと……無理そうですね。大人しく【ショートジャンプ】で回避します。
「ここより先には通さん! 【インバルネラブル】!」
一号の前に出ていたキャバリシーのプレイヤーが、無敵アーツを使用しました。キャバリシーにぶつかった氷の塊が砕け、キラキラ……ではなく、複数の塊になって海面に落ちていきます。
そして何やらド派手な爆発音が聞こえました。
『超エキサイティン! された船が何隻かいるようだな?』
『あー……爆沈あんのか……』
一隻派手に吹き飛んだようですね? バイタルパートでもぶち抜かれたのでしょう。恐らく機関部ではなく弾薬庫の方だと思いますが。
爆沈は言葉通り爆発して轟沈なので、船の体力がいくつあろうが即死です。弾薬庫や機関部などの、エネルギーの集合部分……重要防御区画内部が爆発するので、どう足掻いても耐えられません。せめて華やかに死んでください。
『エネルギーをシールドに回せ』
『がってんだ兄貴!』
……海賊化が進む。
いやー、仔山羊に比べ順調に削れて行きますね。
[ピイィィィ――]
「『は?』」
叫びと同時に周囲の海水が、クラゲを包むように集まっていますね。海水が巻き上げられるので、船を引き寄せる効果もあるようです。
そして何より……広域殲滅・ヴァプールエミッションと表示されたゲージが。
〈〈総員総攻撃! 攻撃しながらできる限り距離を取れ!〉〉
総攻撃ということはキャンセルできる系ですか? しかし離れる事も指示しているので、チャージ中の攻撃で弱めるタイプでしょうか?
『とりあえず撃て!』
『どっちの弾が良いやら』
『クラゲは力を溜めている』
大量の弾やら魔法がクラゲを襲う中、大量の海水がクラゲに集まり続けます。
クラゲを囲むように6本の水柱が立ち上がり、多数の球体となりクラゲの周囲を漂い始めました。
『攻撃で集まった水が分離してるっぽいエフェクトは出てるが……』
『初見だから判断できんわ』
『それな』
〈〈飛行組は撤退を開始しろ! 距離を取るか船へ!〉〉
……ふむ、指示に従っておきますか。
「下がりましょう」
「「てっしゅー!」」
問題はどれぐらい下がれば良いのか、現状じゃ分からないんですよね。とりあえずこちらの使う魔法の射程外ぐらいにしましょうか。魔法組は何もできなくなりますが……キューピッドさんは曲射が可能で、私も座標指定なら可能ですね。
船がクラゲから距離を取る進路で、砲を撃ち続けているのを見ながら、キューピッドさんと攻撃。座標指定型の射程を視界に変更する……実に良いですね。ぶっちゃけボス1体を狙うにはMP効率悪いですけど。
〈〈来るぞ! 総員衝撃に備え防御を固めろ!〉〉
『クラゲは 魔力を 解き放った!』
[――エエエエエー!]
あ、ここダメですね。
「『退避!』」
「『えっここもダメかよ!』」
クラゲの本体に集まっていた水が収縮され、周囲を漂っていた球体が広がって散らばり、クラゲを中心にバースト爆発ですね。散らばった球体はバーストに巻き込まれると破裂し、勢いが増すようで。
これは……一号の後ろに避難ですかね。一応水の魔法攻撃のはずですから、死にはしないでしょう。一号の後ろに避難しつつ【マジックバリア】ですね。ついでに一号には【ライトエンチャント】をかけて精神でも上げておきましょう。
シールドを張った船達が、バーストのエフェクトに飲まれていきます。
迫ってきたら【マジックバリア】を起動して……耐えるとしましょう!
「『継続かよぉ!』」
「『む、無理ー!』」
サラマンダー系が【マジックバリア】の上からゴリゴリ削られてますね……。
ただのバーストは1回のダメージ判定のはずですが、これ継続ですよ。広がりきるまで内部はダメージ判定出続けるとか、ヤバすぎますね。まさに広域殲滅。
〈〈補給や修理を急げー!〉〉
「『かいふくうううう』」
妖精種はかなり瀕死ですね。得意属性や同属性は問題ありませんが、他の属性は場所が生死を分けますか。次からガン逃げキメるでしょう。
私と一号はまあ、余裕ありますか。種族的に魔法軽減が入りましたし、肉塊一号も私の組織なので、そこは同じです。問題ありません。むしろタンクなのに物理に弱くなった肉塊君どうしたものか。素直にアーマーですかね……。
クラゲの近くかつ駆逐だとシールドが持たないようで、船と船員両方に継続ダメージが発生するようですね。近いほどダメージが高く、継続ダメージが長いという絶望感。
「中々、被害が出ているようですね?」
「最初に逃げ遅れると、吸い込みもあってつらたんかなー?」
「そうみたい。駆逐はシールドを小回しするタイプだから、あれ無理っぽいね」
駆逐のシールドはチャージが早く効果時間や防御力は控えめ。今回の場合、駆逐は足が速いのを活かして、さっさと逃げるのが正解なのでしょう。
「あと、船にいた弱点属性組が撃沈するっぽい」
「「あぁ~……」」
シールド消えた瞬間、中の人が死ぬんですね。
「ここの運営、ノリ良い癖にその辺り容赦ありませんよね」
「確実に『それはそれ』でしょう」
「狩りものショゴスの悲劇は忘れんぞー!」
そういえばあの時の運営、悪役ばりの笑いしてましたね。
さて、今船の空きを探すのは面倒なので、攻撃に移りますか。妖精達が飛んできたら一旦回復しましょう。
行動は出尽くしたんですかね? 水弾と氷弾、広域殲滅に触手での物理ですか。ああいや、タイダルウェイブがまだ来ていませんね。クジラでチュートリアルしたんですから、クラゲでも来るでしょう。
……来ましたね。
「タイダルかー」
「となると?」
「上に球体できてますね」
さすがに円を書くように泳ぎはしませんか。
……なんか、腕部分の触手に水が集まっていませんかね。
[ピ・ピイイイー!]
「『うおおおおおお!?』」
まさかの両腕からビーム発射。
「『ええい! 回るな回るな!』」
「『む、無理ぽ……』」
ああ、大量のサラマンダーが……。
上空の水の球体から大量の水弾と、クラゲの両腕部分から発射される高水圧ビームによって、ゴロゴロ落ちますね。
「見ろ、人がゴミのようだ」
「そこでムスカはずるなーい?」
「なお、落ちてるのは味方の模様」
ゲージが溜まると水弾とビームが止まり、艦隊に大津波が襲います。
……ん? なんか、まだ本体と手に水が残っていますね。
「『おん?』」
両手の触手部分にあった水が凍りました。実に嫌な予感がします。【洗浄】使っておきますか。
「『冷凍ビーム来たぁ~!』」
「んまっ……つぁ……ちょぎっ……!」
「……今筋肉いたか?」
「筋肉なら凍って落ちてったよ」
「そうか」
冷凍ビームが縦横無尽に駆け巡り、触れたところを凍らせていきます。大津波が途中で凍って襲っていますね……。あの氷が船に当たったら結構なダメージになりそうです。
ちなみに、船に冷凍ビームが直撃するより、周囲の海面に当たった方が厄介そうです。特に駆逐が大変そうですね。
「『凍結確率がエグいんだけど!?』」
これも継続系のようで、即行で凍結しますね。氷像が落ちてく落ちてく。……やはり即死ですか。
体が小さい妖精種が完全にオワタ式と化してますね。凍結までが早すぎる。
「瞬間氷結ゴキジェット!」
「『誰がゴキブリだ!』」
「まあ俺もなんだけどな! あぶねぇ!」
「とんだ自虐だ」
妖精種が賑やかなのはいつもの事として、一号が問題ですね。死にはしないと思いますが、HPが結構削れます。触手ガードは優秀ですね……。トカゲの尻尾のように凍った先を切り離す事で、全体が凍るのを防げています。問題は切り離しが欠損扱いなので、HPがゴリッと減ることです。
私も自分で切り離しできるんでしょうか。後で試しましょう。
「一号ステキ!」
「一号を回復するだけの簡単なお仕事です」
タイダルウェイブが終わると、冷凍ビームも終わりました。
船組より空組の被害甚大ですよ……。もう空母復活して貰った方が立て直し早そうですね……。
この防衛戦、《古今無双》と《魔素侵食》などのスキル上げが大変捗り、良い感じですね。いやまあ、その分大変ですけど……突っ込んでくるゴブリン張り倒しているより楽しいので良いです。……種族によって分かれそうですけど。
「おお、クラゲよ。このまま死んでしまうというのか。情けない」
「『一向に構わん! 早々にくたばれ!』」
「お前らどんだけ嫌いだ」
……妖精種からの熱い声援が。
正直、ばら撒いて来る攻撃ばかりなので、狙ってきてた仔山羊より厳しいんですよね。食いに来る前半戦といい、妖精種に厳しい。
[ピヒャアアアアー!]
「『あ?』」
おや、また初見が来ますね。メイルシュトロームですか。タイダルウェイブに並び、こちらも有名な水魔法と言えますかね。大津波に対して、こちらは大渦潮。……正直大津波の方が強い気がしますが。
〈〈渦の逆向きに進路を取れ!〉〉
声と共に飛び上がったクラゲは、そのまま着水し潜ってしまいました。
「おっ、俺ら高みのぱてぃーん?」
「だと良いがな」
だと良いんですけどねぇ……。
クラゲの潜ったところを中心にして渦巻き始めました。きっと水中で仁義なき戦いが繰り広げられている事でしょう。
「「中心に爆雷ー?」」
「ああ、それは良いかもしれませんね。船に取りに行きましょうか」
渦から逃げようとしている船へ行って軍用品を補充し、ついでに回復を待ちます。回復しきったら爆雷を抱え、軍用品インベントリに爆雷をしまい、飛び立ちます。
渦巻いている中心の上空まで行き、双子とキャッキャしながら落とします。
「いとも容易く行われるえげつない行為」
「はて、なんの事か。……当たってるのか分かりませんね」
「「ねー……」」
爆発によって水柱は上がっているのですが、それが当たっているのかはなんとも。
まあ、どうせ他にやることも見つかりませんし、とりあえず爆雷落としますか。マイン落とすよりはイベント用の爆雷落とした方が強いでしょうし……。
暇だった飛行組でキャッキャしながら落とします。
「ボールを相手のゴールへシュウウウウウ!」
「超エキサイティン!」
「「うぇーい!」」
「『なんやあいつら……』」
やけに楽しそうなのがいますね。
『これ魚雷垂れ流せば勝手に当たんねー?』
『まず味方の船に当たるからやめろ』
『で、それがなにか問題?』
『主任はお帰りください』
『重雷装でやんじゃねぇぞ!』
『振りか?』
『振りじゃねぇよ! 主砲ぶち込むぞゴルァ!』
確かに渦巻いているので、魚雷を入れれば最終的にボスに当たるでしょう。完璧な作戦です。……不可能だと言うことを除けば。どう考えてもまず味方艦に当たる。
「キロメートル規模の大渦潮、壮観ですね。なんと素晴らしい観光名所でしょう。ただ見る条件が厳しすぎるので、☆3です」
「レビュー風は笑う」
「クラーケンの出現時かつ、体力を削り、更に何らかの飛行手段を持っている事。どう考えても過疎るわー」
「『戦いのついでにオススメです』も、付け加えるべきですか」
「「そういう問題ではない」」
残念です。
それにしても、船と中心の往復が面倒ですね。……良いこと思いつきました。
一番中心に近い……まあ、渦に食われそうで危ない船ですけど。その船へ行き、PT枠は空いているのでリジィを召喚します。
「リジィ、あの渦の中心に向けてこの爆雷を投げてください」
棺のリジィは話せませんが、首を振るぐらいは可能です。表情は動きませんけど。とりあえず渡しまして、私は上に飛び《死霊秘法》の【テレコンダクター】で脳内指示を出し、投げてもらいます。
要するに、弾着確認射撃をしよう……というだけですね。とりあえず投げさせて、ズレていたら修正して再び投げて貰います。まあ、船が動いているのでピンポイントは難しいですけど。
「なるほど。しかし投擲はない!」
「使わんからなー」
んー……揺れるし動くしで、さすがに難易度が高すぎますか。となると変えましょう。私が渦中心の上空へ行き、私に向けて投げさせます。これなら見えるので、スキル補正も考えれば精度は上がるでしょう。
飛んできた爆雷はマインと同じ方法で対処します。【念力】を使用して直接触れず、魔力で動きを止めたら後は離すだけ。魔法のマインと違って、爆雷は勝手に落下していきます。
何回か投げて貰い、下で爆発してるのを確認。多少逸れた物は私が修正して落とせば良い。
「うん、これが効率良いでしょう」
「で、この爆雷意味あんのー?」
フェアエレンさんの疑問は聞かなかった事にします。
「『ってか、長くね?』」
このメイルシュトローム、いつまで続くんですかね? まさかの耐久でしょうか。
「あー……爆雷もっと落としてくれってさ」
「なに、ちゃんと意味あったの?」
「やっぱ水中でバトってるっぽい」
水中だから水のシールドの回復が早すぎるようですね。近接するには渦に入らないといけませんし、かと言って遠距離は《水魔法》を使っても意味がない。
結果的に、爆雷でシールドを削るのが一番効率が良さそう……と。
「クラゲだし、やっぱ水中が一番強いのか」
「まあ、クラゲだしな……」
「風景と同化してる大量の触手が乱舞してるっぽい」
「しかもメイルシュトロームのせいで流れも速いらしいな」
「地獄で草」
よく見れば分かるけど、流れが速いからよく見えない。そして触手に捕まると毒になる。早く振りほどかないと状態異常強度が上がってくので、毒で死ぬと。《危険感知》系が無いと厳しいようですね。あっても反応できるかはまた別ですけど。
とりあえずリジィと連携して爆雷をポイポイします。
「重雷装が速度調整して魚雷垂れ流してるね」
「最後尾が重雷装と駆逐ばかりですね」
『おーい! 飛行組ー!』
フレンドリーファイアを考えるとまあ、そうなりますか。
そして、船が何やら呼んでいますね。
『すまないが補給物資をくれ! できれば補給艦を呼びたくねぇ!』
「『あぁ~しょうがねぇ』」
『姫様ー! 補給しないと爆雷無くなんぞー!』
おや、ポイポイしすぎましたか。仕方ありませんね。リジィを一度止めて、補給しますか。
ふむ……一号が運べると楽なのですが。今は出番ありませんし、連れて行ってみましょう。物は試しです。
補給艦まで行き、軍艦用補給BOXという箱を受け取り、一号に触手を2本伸ばさせ、そこに乗せます。
……消えないのでいけますね。触手を出せるだけ出させて乗せまくります。更に自分でも触手を出し、両腕を触手にして他のプレイヤーに乗せてもらい、足を触手にして2個ほど掴み、飛び立ちます。
「姫様が自分の体を有効活用しすぎてて笑う」
「しれっと人外ムーブしてくな」
「ああいうの見ると、やべー種族なの再認識するな」
あなた達とて人外でしょうよ! まあ、妖精やら天使に比べれば確かにあれですけども。便利ですよ、触手。あなたも、生やしてみたいと、思いませんか?
スピード出すと確実に落とすので、ゆっくり船に納品して回ります。一つで最大値の25%回復のようなので、一隻に4個で最大補給ですね。他のプレイヤーも持ってくるでしょうから、2個ほどリジィのいる船に配達。
ついでに【念力】で使用したMPも回復させて、爆雷投下再開です。
「『ん!? 撤退!』」
渦中心の上空一帯が危険領域になったため、【ショートジャンプ】で逃げます。
[ヒャアアアアアア!]
クラゲが飛び出してきて大渦潮が止まり、クラゲが水面に浮いて……触手がピクピクしています。
「『…………?』」
「『特殊ダウンか!? ボコれー!』」
多分そう……なのでしょうね。行動後硬直にしては無様です。
飛行組が総攻撃を開始、恐らく水中も頑張っているでしょう。少し遅れて船も主砲や魚雷攻撃を開始です。
『波動砲充填しておけば良かったぜ!』
『波動砲言うな』
『違うのか?』
『違わんな』
『せやろ?』
『せやな』
収束魔動砲ですか。確かにチャンスですが、チャージが必要ですからね。次があれば超弩級組はチャージして待ってそうです。
それでもゴリッと減りましたね。ようやく半分ってところですか。
「「起きそうー?」」
「そうですね。下がっておくべきでしょう」
「「分かったー!」」
双子が言うように起き上がりそうなので、離れておきましょう。立ち上がり攻撃とかあったら堪りませんし、起きたらすぐに触手が動き始めるはずです。
リジィも一旦送還しましょう。
「お前達下がるの早くねー? まだ行けるってー!」
「いや、既にやべーの見えてるし」
双子が言った時点で、海水がクラゲに集まり始めてますからね。なんかチキンレースしている人達がいますが、勿論放置の方針で。
「『ぐわーっ!』」
知ってた。
クラゲが起き上がると同時に水のバーストを発生させ、シールドが復活しました。
「どうするあれ」
「いや、放置確定だろ。選択肢無いわ」
「あの位置は起こせんな」
「起こしたところで触手にぶん殴られて死ぬのが分かりきってる」
ボスの足元で死なれると起こせませんね。空母にでも行ってもらいましょう。
[ピエエエエエー!]
水弾……ですね?
「あれ、変化無しー?」
「無さそう……だね?」
「手抜きかうんえー」
スキル上げのためにもできる限り弾きたいので、私としては良いのですが……おやおや? 微妙に変化してきましたか?
「「なんか変わってきたー」」
「お、良いぞうんえー」
放たれた水弾は最初の方より遥かに大きくなり、ランスと似たようなものが飛んでくるかわりに、数は減りましたね。威力重視になったのでしょうか。
「良くないぞうんえー!」
妖精種が当たったら消し飛びそうな感じなので、フェアエレンさんの手のひらがクルックルしてますね。
正面から極太が飛んでくるのに加えて、今度は船も狙って射撃しているようで、海面に着弾した物はピラーのような柱を出現させます。つまり、着弾地点の上空にいてもダメージがある。
「これ船の近くダメだね」
「下も気にしないといけないとかむっり」
既に鳥系の敵などがいないため、離れて構わないでしょう。随伴理由が無くなりましたからね。
私としては飛んでくる数が減ったため、むしろ楽になりました。
「『ん?』」
水弾を発射する複数段の円が、今まで無かった動きをしていますね。フラフープ状態だった円がそれぞれ数カ所に集まり……レーザーとして放たれました。
「わお」
「撃つ方向はランダムかな?」
「かもしれんなー」
[ピイイイイイー]
「『は?』」
おや、あれは氷のはずですが、随分と早いですね。
「魔法攻撃頻度激増しちゃった系ー? 【洗浄】」
「私はむしろ嬉しいのですが……【洗浄】」
「怒りモードがあれなのかな? 【洗浄】」
「「【洗浄】!」」
凍って落ちるのはごめんですからね。
さて、こっちの挙動はどうなっているのか……。
「『おいマジかよ!』」
こっちが威力下がって数増えたパターンですか。水と氷で最初の方と逆になったんですね。そして明らかにこっちの方が、たちが悪い。
「こんなところにいられるか! 一号の裏に帰らせてもらう!」
「死亡フラグなんだけど?」
さすがにフェアエレンさんも避難しますか。
数が増える……手数が増えるので、一号もちょっと怪しいですね。状態異常は手数を増やすのが一番手っ取り早いですから、回復間に合うと良いのですが。
「一号ヤバくなーい?」
「『頑張れ一号! お前が砦だ! お前が死ねば俺らが死ぬ!』」
「一号は聖でも良いんだったね?」
「肉塊の時なら大丈夫ですよ」
「じゃあバフかけておこう。【リラックス】【リジェネレイト】」
《聖魔法》55の【リラックス】と60の【リジェネレイト】ですね。HPMPの自然回復量を上昇させる。徐々にHPが回復する状態にする魔法です。
【リジェネレイト】の効果に【リラックス】は乗りませんが、一号の自動回復系スキルに【リラックス】が乗るので、組み合わせとしては強い。私も欲しいのですが、《聖魔法》は取るのが遅かったので、まだ覚えてないんですよね。
耐え……られそうですね。一号の後ろに避難している、主に火系統の妖精種達に応援されています。中の人いませんよそれ。
「あ、シールド割れた」
「今回早かったですね?」
「効果的なのが最初から分かってたからじゃねー」
爆発か水の弱点属性が連射されてましたからね……。
ゲージもラスト1本ですか。
[ピイィィィ――]
広域殲滅!
「『全力でボコれ!』」
「生きて帰れると思うなよ!」
「このタイミングだとそれ俺らじゃね?」
総攻撃を仕掛け、集まる海水を少しでも減らしておきます。
〈〈飛行組は撤退を開始しろ! 距離を取るか船へ!〉〉
「『ガン逃げ』」
広域殲滅・ヴァプールエミッションに関しては、HPによる変化は特に無しですかね。
[――エエエエエー!]
「あぁ^~」
「生きろ難民」
最初よりは攻撃できたはずですが、正直変化が分かりませんね……。大変痛い。
「逝きかけましたー」
「欲張るからー」
「退きません! こびへつらいません! 反省しません!」
「しろ」
飛行速度が速いフェアエレンさんが、欲張ってギリギリまで攻撃して死にかけて、キューピッドさんに回復されてますね。
妖精は弱点属性じゃない魔法攻撃ならそれなりに耐えますが、あくまでそれなりで、他の攻撃に比べたら……ですからね。防御力というよりHPの問題ですから。
回復を済ませて、船は必要なら補給をして、再び距離を詰め戦闘。
船組が補給を終え参戦するとHPがゴリゴリ減っていきます。
[ピヒャアアアアー!]
メイルシュトローム来ましたか。
補給艦へ行って、補給物資を持って行きましょう。
『ふはははは! 収束魔動砲充填開始!』
『収束魔動砲充填開始! ……ってなんじゃこりゃ』
『えー……機関部以外はいらんな!』
エネルギー配分でしょうか。機関部止めると大渦潮に食われるので、それ以外しか無いでしょう。
補給物資の配達ついでに、渦近くの船にリジィを召喚して、私は渦の上空へ。
「ぽいぽいー」
「「ぽいー」」
まあ、可愛く言おうがやってることは爆雷の投下なんですけど。
頑張れ水棲組。
そろそろ……出てきますかね? 残りHP3割ほどになりますが。
『はよ出てこいや! 撃たせろ!』
『あくしろよ!』
『おい水兵。海賊になってんぞ』
『そんな事ありませんことよ!』
[ヒャアアアアアア!]
『っしゃ来たあああああああ!』
『……ほんとかおい』
どう考えても海賊船かと。
『正面向けろー! 面舵いっぱい!』
『面舵いっぱい!』
『収束魔動砲バレル展開!』
『バレル展開! 魔動スタビライザー自動展開!』
スタビライザーまであるんですか!?
『急速水冷システム準備完了!』
『戻せ!』
『舵中央!』
『発射シークエンス開始!』
『射線を友軍艦へ共有! 退避されたし!』
『甲板上の船員は艦内へ! 繰り返す! 総員艦内へ!』
艦橋の前に魔法陣が複数展開され、艦橋に近い大きな魔法陣と、少し小さな魔法陣の間に、大量の魔力が吸い込まれて球体となっています。少し小さな魔法陣の前にも複数の魔法陣が展開され、それがバレルなのでしょう。
戦艦の左右10箇所から魔力が噴出されているのが見えるので、恐らく船を安定させるための魔動スタビライザーでしょうね。
他の超弩級戦艦も似た光景なので、集中砲火する気満々ですね。まあ、やってきた感じここぐらいしか無いと思いますけど。
「酷い光景が見えそうな気がする」
「確実にクロスファイアです。本当にありがとうございました」
さて、そろそろ放たれそうですね。HP残るんでしょうか……。
『収束魔動砲、テーッ!』
『マスタースパーク!』
『滅びのバーストストリーム!』
「何という統一性のなさでしょう……」
『ふはははは! 凄いぞ! 格好良いぞ!』
「社長がうるせぇ……」
「「凄いぞ格好良いぞ!」」
「双子に感染したわー」
〈〈ワールドクエスト:インバムント防衛戦、完了〉〉
〈〈クエスト評価を確認中…………〉〉
〈〈防衛対象の被害…………0%〉〉
〈〈クリア評価…………Sクリア!〉〉
〈〈更にパーフェクトクリアとして、報酬にボーナスが追加されます〉〉
〈〈無傷で守りきったため、住人からの異人に対する評価が上昇しました〉〉
〈種族レベルが上がりました〉
〈下僕のレベルが上がりました〉
しかもクラゲ消し飛びましたね……。
「おぉ……クラゲよ。死んでしまうとは情けない……」
「いや、あれは死ぬと思うけどね……」
極太ビームのクロスファイアでしたからね……。超弩級戦艦が反動でノックバックしてましたし。
「評価が随分シンプルだこと」
「「町の被害だけー?」」
「そのようですね」
まあ、軍艦の轟沈数や使用弾薬数、更に使用軍用品数とか出されると、金額的にかなり厳しい評価になりそうですからね……。こうなりますか。
〈〈異人の諸君、感謝する! 帰ろうではないか!〉〉
帰りますか。
「あれ、姫様目玉増えてねー?」
「おや? ……7個になっていますね。ああ、戦闘中にスキルレベルが40になって増えたのですか」
《揺蕩う肉塊の球体》のスキルレベルが上がって、球体のエフェクトが増えたため、《アイちゃんズ》のお目々ちゃんが増えたようです。と言うと、反撃確率70%ですか。100%が近い。
「そういえば防衛戦の場合、スキルは終了時じゃなかったね。確認しないと」
「「確認するー!」」
んー……パッシブ系がじんわり上がったのと、アーツと魔法が何個か……ですか。
《超高等魔法技能》が15になり【並列詠唱】を。《時空魔法》が10になり【クイック】を。《狂える無慈悲なもの》が40になって、出せる触手が5本になりましたね。マクロ更新しないと。
【クイック】は定番で、スロウの反対ですね。
「おほーっ! 【並列詠唱】キタコレー!」
「ドラクエごっこできるね?」
「懐かしいの持ってきたなー? ダイだっけ、ロトだっけ……」
「ロトの方だねー」
「あれか。右手にルーラ、左手にルーラ、オクルーラか!」
「それそれ」
【並列詠唱】……2種類までの魔法を同時に使用できる……ですか。
んー?
「これ別の属性はダメですね」
「なんでや!」
「【共振魔法】があるからですかね……」
「あー……ガッデム!」
別属性使えたら一人で共振できてしまいますからね。
「……何に使うんだー?」
「アローとかをわざと避けさせてマインとかに……ですかね?」
「ボールで怯んだところにランスとか?」
「できんのー? 試すか……」
フェアエレンさんが右手にボール、左手にランスを出し、右のボールを投げてから左のランスを飛ばしました。できるようですね。
「できるやん。まー選択肢が増えたのは良いことかー」
「できないよりは良いでしょ」
できるとできないの差は大きいですからね。
「「これで解散ー?」」
「あー、どうしようか」
「姫様予定はー?」
「特にありませんね」
「よし、このまま狩り行くかー!」
「「行くー!」」
フェアエレンさんと双子がやる気なので、せっかくなので行きましょうか。このメンバーだとタンクが私と下僕ですね……。《細剣》とか3次にしたいですし、丁度いいといえば良いですか。
港に帰還!
「お姉ちゃんこの後はー?」
「このメンバーでそのまま狩りかな」
「お、じゃあ僕達もこのまま行くか!」
スケさん、アルフさん、クレメンティアさん、ミードさん、駄犬さん、モヒカンさんですか。
「ギャハハハ! このPTで狩りとか、一部が熱くなるなぁ!」
「なぜ一部を付けたぁ!」
盾はアルフさんとして……火力4人と搦め手のクレメンティアさんですか。属性も闇、火、水、土、植物と豊富ですね!
「……こちらよりバランスは良いのでは?」
「……そっちが酷すぎるだけだと思うんだ?」
クレメンティアさんのツッコミに、何も返せませんね。
「どんぐりの背比べ……」
「たとえどんぐりでも……数字はしっかり出るんだよ……」
「いやまあ、うん」
妹よ、数字は嘘つかないんですよ。
「こっちは回復がいるもんねー! なお双子」
「双子は逆に死ぬな」
「「聖は無理ー!」」
「グダグダで草」
実際酷いバランスのPTしてますね。これで防衛戦で一切問題無かったというのがまたあれです。いったいどうなっているのか。
「まあ、こういうのも良いでしょう」
「せっかくですから、楽しんできましょう」
そうですね。たまにはこういう状態も楽しいでしょう。ミードさんの意見に同意しつつ、狩場を決めないといけません。
「いや、このPTさ、下手に属性あると辛くない?」
「弱点は突けんなー?」
「とはいえほぼ光と闇なので、元からあまり関係ありませんよ?」
「ふむ? 付与はあるけど物理……ほぼいないか」
「「おまかせー!」」
「エレンさんの弱点は火と……風か。となると北は無しかな?」
「北はマジ無理。タンクの姫様が選んでいんじゃねー?」
「私だと遺跡ダンジョンになりますが?」
「……マジで?」
「ああ、ジェダイか……」
遺跡ダンジョン、結構高難易度らしいですね。私は相性が良すぎるので、しょっちゅうソロでも行くのですが。
あそこ飛行系に厳しいらしいですよ。対空は射線通りまくりますし、ショットガンわんこがいるので、妖精とかヤバいらしいです。
「……見てみたいし行くかぁ!」
「まあ、妖精のエレンさんが良いなら良いんだけど……」
「「行ったことあるー」」
双子は既に普段のPTで行きましたからね。
ただ今回アルフさんがいないので、汎用抹殺型のミサイル対策を考える必要があるぐらいですか。んー……リジィは無しで、一号盾2枚ですかね。
では狩りに行きましょう。
夕食まで狩りして、後は生産でもして終わりですかね。
メイルシュトローム
海上は大渦潮、海中は水棲とバトル。海上と海中でクラゲの動きが変わる。
一定ダメージを与えて特殊ダウン。
中心に近いほど船体に継続ダメージがあり、中心は渦に船体を引き千切られ即死。
だんだん渦の速度が上がって行き、船体への継続ダメージ範囲が広がっていく。
最終的には船では逃げれない速度になり、大破する。
広域殲滅・ヴァプールエミッション
水蒸気の放出。
参考
なのはA's 闇の書の意思 デアボリック・エミッション。
はやても3期で使用。はやては遠隔発動するので、どちらかといえばアインス。




