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強いお姉さん

やれやれ、やっと静かになった。スキルは体感した方が覚えるっていうのは分かるけど。しかも冬にはユーリ、元いた所に帰るから、届くかも分からないからだけどさすがにウザい。


覚えれば便利なのは分かるし、覚えたいとは思うんだけど。


まあ、父さんがちゃんと信じてくれて、協力してくれるって言ってくれて、でも心配もしてくれて嬉しかったけど。


考えてみればアイツはそういう使命がある訳じゃないんだよな。目立つような事しなければバレる事もない。

つい俺が面倒見なきゃと思ってるけど、忠実で強い従魔がいるんだから、大丈夫だよな。


まあ。バカやるような奴でもないし、そこまで心配は要らないかな。


それにしても悔しいな。こっちは生まれた時から魔法の練習はしているのに、習得率はユーリの方が高いとか。

実戦で使ってきたからだろうな。レベルでも負けてるだろうし。

あー。悔しいな。サバイバルしたい訳じゃないけど、俺も森で修行すればあれ位強くなれんのかな?



冬の間は薬草が生えないので、薬草採取はどんどん受けてほしいと言われた。

ムーン達も、ランクフリーの食肉採取の仕事を受けていて、本当は肉の方がランク的には上がりが速いけど、2ランク以上離れなければ別にいいんだ。

エメルは春までに人化に慣れてから冒険者になるって言っていた。

せっかく進化して強くなったのに、シールドトータスとして私の側にいたら却って目立ってしまい、私を危険にさらすかもしれないのも嫌だし、私の側にいなければ守れない。


守ってもらわなくても森の魔物よりこの辺の魔物の方が弱いから負けようもないんだけど。

大人に比べたらまだまだだろうけど、最近手足も伸びてきて、歩幅もリーチも少しは伸びた。

体の感覚が変わると動きも変わるから、毎日の訓練は欠かせない。

なんて、言ってる事がアスリートみたいだけど、命がかかっているから気は抜けない。

薬草を採取し終えてストレッチを充分に行い仮想敵相手に剣を振るう。


「やっと見つけたと思ったら…」

気配もしなかった。メイド服を着たその人は、剣を抜く。

「お相手、宜しいですか?」

は?

殺気は感じられない。でもこの人は、強い!

迷う前に剣を振られ、咄嗟にかわす。

「あなた、は…」

手加減されていると思う。しかも、私よりも少しだけ上で、敵うと見せかけている。

影から出たがるエメルを、私は押さえた。


この人は多分、敵じゃない。

「ユーリさん、本気で来て下さい」

私は考えて、前にモコとの剣の練習で作った木剣を出す。

メイド服のお姉さんは、自身の剣に鞘を付けた。

再びの打ち合い。ミスリルでないなら、誤って殺してしまう事もないだろう。まあ、骨位折れるかもしれないけど。というかこの人なら、逆を考えなければならない。


動きの良くなった私に、合わせてお姉さんも剣を振るう。

左手の剣が弾かれた!剣はもう一本あるけど、右手での防御は考えていなかった為に、動きが乱れる。

「参りました」

「私の方こそ、名乗りもせずに失礼しました。私はアルフレッド様の配下でレイシアと申します。テッド様に最近できたご友人だそうですね?幼い見かけに反したその実力、何者ですか」


深緑の髪。金の瞳には、縦長の瞳孔が見える。

こんな特徴的な人、お屋敷では見たことなかった。

「本当にテッドのお父さんに仕えている人なの?見たことなかったですけど」

「先日まで所用でお側から離れていたのです。あなたの噂を聞き、是非とも見極めなければと」

「見極めなければって、只の友達に何言っているんですか。ていうか平民の子供に敬語まで使うなんて」

「魔法の天才であるテッド様以上の使い手だとか。魔法は確認できませんでしたが、訓練の様子を見て、剣の腕も只者ではないと。実際、思った以上でした。何者ですか?」

「と言われても、只の5歳児としか…」

「魔族で、年齢を偽っている訳ではないと?」


「人族です。サバイバル生活してたので、レベルは多少高いですけど」

というか、今の立ち会いを見られていないか心配だ。

「レイシアさんこそ、只のメイドには見えませんけど」

「シーナ様と同じパーティーで冒険者をしていて、シーナ様が引退した時に、護衛兼メイドとして雇われたのです」

「はあ…私は怪しいですか?」

「いえ。失礼しました。ある意味テッド様と同種の力は感じますが」

「えええ…まあ、テッドは危なっかしい弟みたいなものですけど」

生意気で短気。とりあえず何でも話せる友人。そんな所かな。


「レイシアさんは何族なんですか?」

あれ?今は瞳孔が普通だ。さっきは確かに縦長だった。

「ああ…感情が昂ると、まだだめですね。竜人族です。言いふらさないで頂けると有難いのですが」

「別にいいません。その代わり」

「言っても信じてもらえないでしょう。元Bランクの冒険者と互角に戦った等と」


「いえ。互角じゃないですよね?」

「私は身体強化位しか魔法は使えません。更に魔法も使うなら、Bランク相当の実力があるんじゃないですか?」

「仮にそうだとしても、身の丈にあった仕事をしますよ。それに私はまだまだ実力不足です」


「そうですね。まっすぐな剣では魔物が相手ならともかく、人相手だと見切られてしまうでしょう。もっと考えて攻撃した方がいいですね」


喋りながら歩いているうちに、ギルドの前まで来た。

レイシアさんとはそこで別れた。


不思議な人だったな。会った事がなくても私がユーリだと確信していたみたいだし。村の子の顔は全員覚えているとか?


(竜人族は、獣人よりも魔族に近いと言われてましゅね。数が少ないので、滅多に会える事はないと思うでしゅ)

(あれはきっと偽装のスキルだよね?ばれたくないのはどうしてかな?)

(貴族は亜人を嫌うので、アルフレッドしゃんに迷惑がかかると思ったんじゃないでしゅか?)


けど、知ってて雇っているはずだし、それにムーンやモコは獣人だと思われているのに、偏見はなさそうだった。

チャチャは耳が殆んど出てないし、尻尾もないから一見人族に見える。

アルフレッドさん自身がエルフだから他種族に対して偏見がないのかもしれないな。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] 領主の配下というか、使用人が! 来客の子供!に真剣で切りかかるって頭おかしいねー 子供に、人と敵対する前提の話をしてるし。
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