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エメル、やっと進化へ

ダンジョンで魔鉄も補充して、どうにか収納庫の中身も揃ってきた。

町にいる間はMPは余り気味だったから、銀をずいぶんミスリル化する事に成功した。

モコが普段使っている短剣をミスリルにしたんだけど、偽装の付与が付けられない。

私の付与のレベルが足りていないんだと思うけど、コツがあったらアオさんに聞いてみたい。


お土産の食事も、今回はこの世界風の物だ。その他に、植物性生クリームを使ったプチケーキを作った。

喜んでくれるといいけど。

(ムーン、麓までお願いね)

風のように音もなく走るムーンの背中に乗って、いつものように連れて行ってもらう。


「ユーリしゃん、今更でしゅけど、存在の違う方とそんなに会っていると、どんな影響があるか分かりましぇん」

「何か不味いかな?」

「過去に例がないので何とも言えましぇんが…」

「そんなに度々ってほどでもないと思うけど?それに今回は銀も欲しいし」


銀を採りながら錬成して、収納庫に仕舞う。時空魔法のレベルが上がったからか、含有量が多い場所も掘れるようになった。

午前中いっぱい使って、納得のいく量を掘れた。これだけあればムーンの大剣もミスリルにしてやれるかな?

本当はチャチャのも作ってあげたいけど、ガントレットの先にはミスリルの突起をつけてある。今はムーンの武器を優先させるべきだろうな。でも、その前にミスリルに加工する必要があるんだけど。


採掘が終わるとタイミングを測ったようにアオさんが来た。

早速お弁当を広げる。

「うん。美味しい。町でいい経験をしてきたようだね」

「そうですかね?」

まあ、一応友達はできた。生意気だけど。


「偽装の付与って難しいですか?」

「ユーリは偽装のスキルを持っているからそんなに難しくはないと思うけど、あとは経験かな?魔石はたくさんあるよね?」

「まあ、それなりに」

魚の魔石はうっかり見逃しちゃったりするけど、ダンジョン以外で魔物を狩ればもれなくついてくる。

「いつも付ける付与はどうしても似たような物になってしまうけど、たまにはあり得ないような付与も使ってみるとか。とにかく数を増やしてごらん?」

「やってみます」

あり得ない付与か…例えばナイフに打撃強化とか?ふふふ。

どうせ魔鉄はたくさん採ってきたんだし、色々やってみよう。

それに所構わずならモコの抜け毛でもいいんだよね。


帰りにまた、たっぷりとフルーツをもらって家に戻った。


家に戻ると、エメルが待っていた。

(ユーリ!私、進化できるかもしれないわ!)

(本当?)

とりあえずマジックバッグを預かって、影に入れた。

おお!本当に存在進化中ってなってる。エメルはどんな進化をするのかな?

ギルドの魔物図鑑には亀の魔物は多く載ってなかった。海の魔物はあまり狩れないし、仕方ないんだろうな。

因みにモコのクイーンキャットは、やっぱりレア種みたいだ。

チャチャのモノクロームは載ってなかった。

雪狼は、普段戦っているウルフとかシルバーウルフなんかより、強い種族みたいだ。

近接戦闘でも素早く力強い。離れても強力な氷魔法とソニックウエーブが怖いって書いてあった。うん。敵にはまわしたくないかな。

正面からやりあったら、勝てる自信は絶対ないな。


うん。海老も蟹もいる。っ!

まだ生きていたらしい。蟹に指をちょっきんされた。まともにはやられなかったけど、棒を挟んでみたら真っ二つだった。

もしかしたら指、持っていかれたかも。

マジックバッグには生きていても入っちゃうから怖いね。


(ただいま、ユーリ…この血、ユーリの?どこか怪我したの?)

(平気。もう治したから)

クリーンをかけるのを忘れていた。こらモコ、私の血を舐めちゃだめだよ!

(ええっ?クリーンかけちゃったの?)

(当たり前でしょ!)

(ユーリの血は甘くて美味しかったのに)

怖っ!てか甘い?…もしかして糖尿病とかになってないよね?

「フレイ、もし私が病気になったら知る方法ってあるのかな?」

「ユーリしゃんは健康でしゅよ?病気に強い体に作ったので」

「糖尿病とかないよね?」

「ユーリしゃんは自分を鑑定できるじゃないでしゅか」

あ…良かった。異常はなさそう。


(モコ?怖い事言わないでよ)

(怖いかな?血には魔力かたっぷり含まれているから、美味しく感じるのは当たり前だと思うけどな)

それはそれで怖いかも。

「大丈夫でしゅよ、ユーリしゃん。契約が続く限り従魔は主を傷つけられましぇんから」

(ボクがユーリを傷つけるなんて事、あるわけないじゃないか!酷いな)

別にそれは疑ってない。

(でも、血が美味しいとか普通に怖いから言わないで)

(ん?分かった)

って、本当に分かってるのかな?


あ。モコの抜け毛発見。

よし、これに…重力軽減付与!

モコの毛が、ふわふわと宙に舞う。

(うわ!何これ!えいっ!)

モコが自分の毛を追いかけてピョンピョン跳ねる。

思わぬ所で猫じゃらしを作ってしまったみたいだ。

重力はゼロじゃないから、放っといてもそのうち落ちてくるのに。


「うにゃあっ!」

うん。図体の大きさを考えなければ本当に只の猫だな。


(何に興奮しているのかと思えば…)

ムーンとチャチャが帰ってきて、モコを呆れて見ている。

(まだまだ子供)

うん。子猫だね。

(エメルがやっと進化できるんだよ!)

(らしいな。まあ、俺は進化しなくても人化を手に入れられたから、拘らない)

素っ気なくしてるけど、内心モヤモヤしてるみたいだな。

(ムーン、その大剣は使い易い?)

(そうだな。氷を纏わせれば攻撃力も上がるし、大きさも丁度いい)

(なら、ミスリルで似たような剣を作ってみるよ)

(ミスリルって、主が銀から作り出しているあれか?いいのか?貴重な物だろう)

(いいの。みんなの武器とか防具を作る為に加工しているんだから)

(しかし…売ればかなりの額になるのでは)

(ムーン、嬉しいくせに)

(チャチャの言う通りだよ。そのミスリルの大剣でうちの最強でいてね)

(わ…分かった。感謝する)


(チャチャのガントレットも、先だけじゃなくてオールミスリルで作るつもりだからね)

(うん…嬉しい)

でもその前にエメルがどうなるかな?人化できるようになるかな。

きっとなるよね!エメルもなりたがっていたし。


どんな姿かな?待ち遠しいな。



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