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ライバルとの決着?そして冬に

 川風呂にゆっくりと浸かり、そろそろ屋外風呂は無理だなと感じた。

 入っている間はいいけど、家に着くまでに体が冷えちゃうんだよね。

 そのままふっと罠の方を見ると、細かく動いている。

 何かかかったか、それとも奴か。


 奴だ。また餌の持ち逃げをしようとしている。

「ザリビー覚悟!」

 ユーリは雷魔法を打ち込む。と、多くの魚が浮いてきた。

 あはは。やっちゃった。

 蔓で編んだ網を投げ、一網打尽にする。

(ごめんなさい。命は無駄にしない)

 毒入りの魚は捨てるしかないけど、そうでない物は収納庫に入れる。

 全部取るのは無理だったし、川の表面に浮いた魚を回収したから、今の一撃で奴がやられたかどうかは分からないけど、かなりの電力だろうし、まあ間違いなくやったと思う。

 

 私は宿敵との戦いに勝利した。けど正々堂々と戦った訳じゃない。

 ちょっとむなしい。

(ユーリ、裸で濡れたまま外に長くいると風邪を引く)

 まあ、そうだね。健康体は状態異常を防ぐものだ。


 帰り際に罠を仕掛け直して、ムーンの背に乗った。

(ボクもユーリを乗せたいな)

(いや、さすがに潰れるよ?)

 私の身長と同じ位の大型猫でも、跨がると足がつく。

(なら私が抱っこする)

 いや、歩けるけど。チャチャは大きいから眺めがいい。

 4歳児なら抱っこもありだろう。


(ユーリ、収納庫は後から覚えられるかな?)

「適性があれば可能でしゅ」

(それはどうやって調べるの?)

「教会で適性診断というのをやってもらえましゅ…ただ、従魔でも魔物相手には…」

(私にも適性ってあるのかな?)

「得手不得手はあると思いましゅ」

 うーん。重力魔法なんかは結構使っていても新しい魔法覚えるの遅い気がするし、槍よりも双剣の方が使いやすい。そしてムーンにあげた大剣は、体格の問題もあると思うけど、振れる気がしない。

(アオナとか、摘んでマジックバッグに入れても出した時には萎れてたり、潰れてたりするから。ユーリの作ってくれるお弁当も、いつも冷めてるし)


 そうなんだよね。容量が大きくても収納庫に入れるとそのままの状態だけど、マジックバッグは潰れる。

 収納庫は多分、ドラ○もんのポケットみたいなものかもしれない。まあ、焦って違う物を出しちゃったりとかはないけど。

(努力する甲斐はあるかもね。実際収納庫は便利だし。多少出し入れに魔力は使うけど、すぐに回復しちゃう程度だから)

「時空魔法は、何もない所に空間を意識するんでしゅ」


 ああ。最初は全く使えない魔法だったもんね。モコはその辺どうなのかな?

(モコは収納庫使えるけど、座標指定とか固定とかは使えるの?)

(一応使えるよ?見えない空間を意識する事も進化したら自然と分かるようになったし)

(それは羨ましいな。俺には進化の感覚さえ分からないのに)

(体がムズムズして、きつい感じ。けど、ユーリの側にいると楽だった)

(全く分からんな)

(人化も、ムーンに教わった方法は私には向かないと思う)


(焦らないで。私の従魔だと目立つっていうなら人化したムーンの従魔って事にすればいいんじゃないかな?)

(それは嫌)

 即答なんだ。

(主はユーリでしかあり得ない)

 そりゃそうだけど。まあ、ムーンがステータスボードを取ったとしてもテイムのスキルはないもんね。


 何度か山へも行って、ミノタウロスも倒した。驚いた事に、ムーン一人ではミノタウロスは強敵で、倒せないそうだ。

 雪がちらつき始めたから、大急ぎで作物を収穫して、冬ごもりの準備をした。


 今年の冬は亜空間で過ごすから楽だ。

 もうお風呂も作ったし、零れるお湯対策の為に亜空間の一部を分けた。

 分けても部屋を区切った感覚とはちょっと違って、出入りには私が扉を開かないといけない。

 外に開くのとは違うから、固定も出来ないけど、多少の不便は許容しないと。

 

 因みに出入り口を固定しても隙間風が吹き込む事はない。

 不思議だけど、完全な別空間だからかな。


 今年の冬は、みんなに文字を覚えてもらう。エメルとチャチャは石板に書く事は出来ないから、読むだけだ。

 お金の価値はフレイに聞いた。銅貨一枚で10円位で、大銅貨で100円。銀貨、大銀貨と上がって、金貨。その上は白金貨になるそうだ。


 まあ、物の値段は違うし、一概には同じと言えないけど、何とかなると思う。

 肉は狩ればいいし、低ランクのうちは町の外で野菜を育ててもいいかも。


(みんなどう?覚えられそう?)

(私は何とかなりそうよ?計算も、桁が大きくならなければ)

(俺は…書くのがどうもな…)

(ねー。覚えなきゃダメ?)

 モコは飽きたんだね。

(私は、読むだけなら)

 私も勿論書く練習はしている。それと、飽きないように木片で絵と文字を書いたかるたも作った。


 ムーンの一人勝ちだと思っていたら、どうやら私の視線を辿っているようだ。

(ムーン、ずるい)

(戦いの基本だろう。それだってちゃんと読んでから取っているからな)

(ならムーンが読んで?)

(ユーリ、レタスとキャベツの違いが分からないよ)

(それは文字を読んでないからでしょ?ちゃんと覚えて)

(うう…) 

 

 時々ムーンが狩りに行ったり、ダンジョンに潜ったりもした。

 そんなある日。

(ユーリ…私、変)

(どうしたの?)

(体の感覚が、邪魔)

(うーん?健康としか伝わらないけど)

(ユーリの側にいると楽だから、進化かな?)

(じゃあ、影に入って)

 うわ。もうすぐ春というここに来て本当に進化するなんて。

 四本腕のキラーグリズリーになったらどうしよう?けど、どんな姿になってもチャチャには変わりないよね。


(あーん。私だけ進化出来なかった)

(いや…俺も進化した訳じゃないんだが)

 結局エメルは人化を覚えられなかった。チャチャが進化して人化を覚えられるかは分からないけど、チャチャにとっては大きな一歩だ。腕が四本になっても受け容れよう。


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