表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/226

合体

 二足歩行の牛はミノタウロスだ。美味らしいので、早速焼肉にした。

「ふ…はふはふ」

 本当に美味しい物には、言葉は要らない。視線で皆にも食べるように促す。

(さすがに強い魔物の肉は旨いな。俺も初めてたべた)

(え?ムーンでも敵わない魔物がいるの?)

(俺より強い魔物などそこら中にいる。この辺りの魔物には負けなくても、世界は広いからな)


 まあ、フレイが魔物が弱い場所に落としたんだから、弱いはずだよね。

 オークに混じっていた上位種はハイオーク。

 まだ解体はしていないけど、これも美味しそうだな。

 ベーコンもたくさん作っておきたいし、なるべくなら冬に出掛けないようにしたい。

 

 オーガの皮はかなり優秀。動き易いのに防御力は高い。そして軽い。ミスリルと比べたら全然だけど、銀には相当魔力を込めないとミスリル化しないから、追々かな。インゴット一つ分は出来たけど、これだけじゃ何をするにも足りない。


(冬はユーリと過ごしたいし、海に行ってくるわね)

 海産物はエメルに頼るしかないから、正直助かる。

 

 ユーリはスライム達と畑仕事だ。葉物野菜はもう終わり。キャベツもいいかな。白菜はもう少し。

 薬草ももう収納庫に入れてしまおう。

 ただし今年は念の為に根ごと入れる。生えていなかったら移植してしまえば勝手に増える。

 作っても収納庫に入れてしまえば賞味期限関係ない。けど、従魔達に渡した薬は、時間と共に効果が落ちてくる。

 だからきっと仕事もあるんだろうな。


 収納庫からハイオークを出すと、スライム達が喜んで跳ねた。

(今解体しちゃうから待っててね)

 今日はみんな狩りに出ちゃっているので、ここにはフレイしかいないけど、さすがに手伝ってはもらえないな。

 重力魔法で軽くしつつ、部位ごとに切り分けていく。

 ふむ…普通のオークよりも脂身が少ないな。バラの部分は全部ベーコンにしないでミルフィーユ鍋用に取っておいてもいいかな。

 うん。ロースの所はハムにしよう。


 等と考えていたら、スライム達が目の前で跳ねた。

(どうしたの?お腹いっぱい?)

 三匹揃ってユーリを見上げる。

(うーん?休みたい?…いいよ。朝から畑仕事で疲れたよね)

 ユーリは三匹とも影に入れて、なめし途中の皮もとりあえず収納庫に仕舞う。

 珍しい。いつも過ぎるほどなめしてくれるのに、途中で終わりにするなんて。


 ええっ?三匹揃って進化中?

「珍しいでしゅね。まあ、スライムは種類が多過ぎて神様でも全てを把握する事は難しいでしゅからね」

「ええっ?そうなの?」

「元々様々な環境に適応できるようになっているんでしゅ」

 へえ…謎生物過ぎて面白い。スライム研究者とかいそう。


「それよりユーリしゃん、ムーンしゃんとモコしゃんには文字を教えないんでしゅか?」

「あれ?文字って常識の範疇だよね?」

「普通に育った人族の、でしゅ。魔物に文字は関係ないでしゅから。とはいえ、この世界の識字率はそれほど高くはないでしゅ。読めても書けなかったり。自分の名前位は書ける人は多いでしゅけど」

「文字か…私も上手く書けないし、冬の暇な間の課題かな」

 文字と簡単な計算の仕方位はみんな出来るようにしよう。


「この世界には学校とかないの?」

「ありましゅけど、上の世界みたいに勉強ばかりではないでしゅ。ある程度の魔物と戦う技術を学んだりする方が大事でしゅから」

 そっか。そっちの方が死活問題だよね。

「ユーリしゃんにはあんまり必要ないかもしれましぇんが、依頼相手が貴族だった場合を考えて、礼儀作法の基本も教えてくれるので…確か上の世界の貴族は、もういないんでしゅよね?」

「国のトップの王様とかはいたりするけど、一般市民が会える人でもないし」

 

 貴族とか偉い人って苦手だよ。部長以上の役職の人に相対するのも面倒なのに。

 そういう所は零細企業の社長とかの方が話しやすかったりするんだよね。

 下手に大手だったりすると、交渉も面倒だし。


「ただし、ちゃんと実力は隠して下しゃいね。ユーリしゃんは年齢の割に強いって事を忘れないで下しゃい」

 けど、同年代の友達は欲しいかな。ギルドにも子供はいそうだけど。


 暗くなる前に、エメル以外は帰ってきた。

(うん?スライム達はどうした?)

(うん。三匹揃って進化中)

(えっ…また?次こそは私だと思ったのに)

(慌てる事ないよ、チャチャ。進化しなくても二足歩行もできてるから、人化しても馴染むの早いかも?)

(進化できるかも分からないのに)

(従魔になった順番なら、エメルじゃないの?海に行ってる時間が多いから、絶対とは言えないけど)


 翌日出てきたのは、一匹のスライム。


 モチ スラミー すあま(?)

 合体スライム

 レベル 30

 スキル

 合体 合成 変形 水魔法 薬液生成 分解 

 ジャンプ 体当たり


(え?合体したの?モチ…だよね?でもスラミーとすあまの感覚もある)


 体はモチの色だし、手触りもそう。若干大きくなったかな?野球ボールから、ソフトボール位に。

 スキルに分裂がない。分解は…違うよね?ていうか年齢が?って、合体したから?三匹合体したならもう少し大きくなると思うんだけど…まあ、その辺は考えても分からない。


 誰の名前を呼んでも反応はするけど、やっぱりモチかな。

 明確じゃないけど、モチが一番しっくりくる。

 三匹から一匹になっちゃったけど、なめしのスピードは上がっているからあんまり問題ないかな。


 仲良過ぎて一緒になっちゃったのかな?



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ