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料理の日

 誤字報告ありがとうございます。

 ムーンがまた、しきりに匂いを嗅いできた。

(もしかして汗臭い?)

(いや…主はここに来る度に匂いが変わるな。むしろ惹かれる匂いだ。今なら匂いだけで従属する魔物もいるかもな)

(えええ…)

 自分では分からないけど?…ああ、でも女神様はいい匂いがしそうだな。

(どっちにしろこれ以上は必要ないよ)

 ご飯を作るのだって大変なのだ。しかもムーンやチャチャは、私が与えるだけじゃ足りなくて、自分で狩った獲物も食べている。

 チャチャも今はお母さん熊と同じ位の大きさだから、仕方ない。

 舐めてくるムーンの首筋をもふもふしてやると、気持ちよさそうな顔をする。


(それで、問題は解決したのか?)

(うん。もう大丈夫)

(ユーリ…目の色が)

 手鏡を出して見ると、両目とも銀色になっていた。

 女神様が治してくれたのかもしれない。オッドアイは目立つから。

 緑に見える偽装を訓練してたけど、もう必要ないかな?

 でも、偽装は目に止まりにくい効果もあるから、訓練は欠かさない。…あーでも、もし何か臭うんだったら鼻のいい魔物にはばれる?

 隠蔽で気配を消しても臭いは…


(ね、そんなに臭う?)

(そんなに気になるか?むしろいい匂いだ。まあ、俺は鼻が利くからな)

 そりゃ、一応女子としては気になるし。でも人間の鼻じゃ分からないかも。


(何があったかは知らんが、界の管理者に会ってもフレイがここにいるって事は、現状何も変わらないんだな)

 そうなんだけど、そんなはっきり言ったらフレイが落ち込んじゃったよ。

「私は…ユーリしゃんが大人になっても、おばあちゃんになっても界の妖精には戻れないかもしれましぇん」

「ええっ?そんなになの?」

「…ユーリしゃんが迷惑になったら自力で魔素を取り込める場所を探すので大丈夫でしゅよ…」


「全然邪魔じゃないよ?だから頑張って。私で力になれるなら、一緒にシャンドラ様に謝ってもいいし」

「嬉しいでしゅ…でもそういう問題じゃないんでしゅ」

 言いたくないなら聞かないつもりだったけど、このままでいいのかな?


 もう夜中のはずなのに、スライム達以外はみんな起きて待っていた。

(寝てて良かったのに)

(何言ってるのさ!少しだけパスが途切れてすごく焦ったんだから!)

(みんなでユーリの所に行く話しもしてた)

(心配したのよ?何かあったんじゃないかって。すぐに戻って元気なのは確認できたから、待つ事には決めたけど)


 あー。スキルを封印?する時に意識が途切れたからかな?

(寝てるとは違うの?)

(全然違う。ユーリ、何かあった?)

(むしろ大変な事が解決したんだよ。心配かけてごめんね)


 私としては女神様の言葉を信じるしかないから何とも言えない。

 みんなを撫でて安心させて、ベッドに寝転がると、みんな集まってきた。

 暑いけど、寝転がった途端に眠気が襲ってきたからそのまま寝た。

 今日は大変な一日だったな。

 …ムーンは何か察しているのかもしれないな…。


 いつもの習慣で、夜明けと共に目を覚ました。モコのもふもふが暑い。

 

 そのまま畑に行くと、スライム達は既に雑草除去の仕事中だ。

 ん…甘芋がいい感じだな。もう収穫できそう。スイートポテトとか作ったら、エメルが喜ぶかな?芋羊羹もいいな。

 

 豊作だ。魔法で畝を直して次は白菜にしようかと考える。

 水田もちゃんと根付きそうだ。去年は台風らしきものはなかった。今年はどうか分からないけど、気象に関する知識はフレイも曖昧にしか分かってないみたい。

 

(ユーリ、お腹空いた)

 そういえば作り置きは全然なかったんだよね。

(ちょっと待っててね、畑の方を先に終わらせたいから)

(ええー?何もないの?)

(ゆで卵とか、生肉なら)

(うー。なら、せめてマヨネーズ頂戴)


(モコ、我が儘を言うな。ユーリが人の町に行ったら、毎食は望めない)

 ムーンが音もなく現れた。


(一応町の外に住めるようにしたいけど、亜空間は知られたくないから、時間かかるかもしれない…それに私、まだ子供だから)

 絶対思うようにはいかないと思う。

(そうだよね。ごめん。ボクも今はまだ人化を一日中維持出来ないし、人の姿で戦う事にもなれていない。ユーリに…妹に頼っちゃだめだよね)

 妹か…。モコの方が年下なのに。

(頑張って、お姉ちゃん)

(お兄ちゃんだよ!)

 細かい事は気にしなくていいのに。


(ユーリ、何か足りない物はないか?)

(ムーンが食べたい物中心でいいよ。あとはキノコもあると嬉しい)

(じゃあボクはピザが食べたいから…モーモーかな?人の姿で戦ってみるよ)

(大丈夫?エメルにサポートしてもらった方がいいんじゃない?)

(エメルはさっき、海に行く話してたから。大丈夫だよ。危なくなったら元に戻るし)


(チャチャも起きた?私の手伝いお願いしていい?)

 頷くチャチャに、昨日山で仕留めた岩トカゲを出す。


 鑑定 ロックリザード 背面の硬さに反して内部の肉は柔らかく美味


 よし!解体しよう!

 普通の解体用ナイフじゃ解体は難しいので、ミスリルのナイフを使った。

 チャチャにひっくり返してもらったりしながら解体を進める。 

 残念ながら食べられない魔物もあったけど、数時間でも結構狩れた。


 スライム達も早速なめしに来るけど、ロックリザードの皮は素材としてはどうなんだろう?柔らかいから防具には向かなそう。

 あれ?モチ。後ろの岩の部分まで食べるの?…っていうか、野球ボール程の本体なのに、絶対それ以上食べている。

 君たちの胃袋はどうなっているのかな?普段はそんなに食べないのに。まさか異次元とつながっていて、食いだめができるとか?


(食べ過ぎてお腹壊さないようにね)

 お腹がどこにあるのかも不明だけど。

(ユーリ、今日は料理?)

(うん。そのつもり)

 何気に器用なチャチャは、かき混ぜたりとか、手袋をはめて生地を捏ねる作業は出来る。

 流石に包丁を扱うのは無理だけど、結構役に立ってくれる。


 チャチャに裏ごしをお願いして、ユーリは外に出てトマトを収穫する。

 うん。タイミングピッタリ!

(ユーリ!ピザ焼いて!)

 余程食べたかったのか、3階層のアイテムばかりだ。

(今から焼くね)

 具材は、ロックリザードに軽く下味をつけて、アスパラも乗せた。

 チャチャに裏ごしをしてもらった甘芋のスイートポテトも一緒に焼く。


 モコが帰る前にもたくさん料理した。5階層に行けばたくさん手に入れられるジャガイモ、ニンジン、タマネギでシチューや肉じゃが。

 従魔達が大好きな肉料理もめいっぱい。勿論ロックリザードも焼いたり揚げたりと、しばらくは料理しなくてもいいって位作った。


 私以外みんな食欲旺盛だから、料理しない訳にはいかないけど、家を空けて山の魔物に慣れていく位はできそうだ。

 

 スライム達はお留守番になっちゃうけど、本格的に山を越える時は勿論連れて行く。

 まだ本当に麓位しか探検できていないから、収穫の合間を狙って挑戦するつもりだ。


 出来れば来年の春には越えたいな。





 

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