モコと新しいスキル
モコは、進化して強くなった。力も強くなったし、今まで爪が立たなかった甲殻類の魔物にも爪でダメージを与えられる。
モコの毛は今まで罠に使われる事が多かったけど、罠にもできるし、毛針のように突き刺して攻撃する事もできる。
そして驚いたのが、自分の毛を操って服を作ってしまった。
モコ、女子力高し。
ただ何度か毛生えのスキルを使わないといけないから、暇な日にだ。
単なる布の服と違って付与も幾つか付けられる。
洋服の問題は解決してしまったけど、人化に慣れれば姉妹で通る?
モコの白い毛と私の銀の髪は多少似てるけど、こんな美少女じゃない。
そうしてまだ、モコは人化に慣れていない。二足歩行も慣れないどころか、維持にも問題がある。
まあその辺は慣れだと思うし、私だって偽装に慣れたとは言えない。
モコにはまず、人の姿に慣れて貰おう。それに、人の姿でも戦えないと。
武器を聞いたら、私と同じがいいらしいので、ブレードディアの角を加工してやる。
これで慣れて双剣スキルが取れるかどうかはモコ次第だ。
今はまだ、スライム相手に練習してる。いや、スライムじゃ練習にならないよね?せめてゴブリンとかじゃないと。
まあ、冬の今は魔物も数少ないから仕方ない。
よし。私が相手になってやろう。
斬れると危ないから、湾曲した木の剣を風魔法で四本作る。
「モコ、私が相手になるよ」
「えー、手加減してよ?」
振り方もよく分かってないみたいなので、そこから教えてやる。
「あ…無理」
猫に戻ってしまったモコは、自分の服を収納庫に仕舞った。
モコは聖魔法のレベルは低いけど、いきなり収納庫から使えた。多分種族の差なのだろう。
私もまだ、聖魔法は覚えたばかりなので、モコに負けないように頑張ろう。
エメルは風魔法を器用に操って材料を切れるようになった。チャチャも、鍋をかき混ぜるのは手伝ってくれる。
二人とも料理に興味があるのかもしれない。ちょっと嬉しいな。
ムーンはマイペースで、出掛けない時は寝ている。
けど気配を隠すのが上手くて、気がつくと居なくなってたりする。律儀にお土産を持って来てくれるのは嬉しい。
今日は、ワニ南蛮だ。玉葱を刻んだ時にエメルがダメージを受けていた。
(食べるのはいいけど、葱は切るのが嫌ね)
(風魔法で、こんな風にバリアを作れないかな?)
(あら、いいわね!でも切るのにも風魔法使うのに、大丈夫かしら)
(あれ?二つ以上の魔法を同時に使うのってやった事ない?)
(ない…っていうか、普通出来ないわよ)
(えー?普通に出来るよ)
確かに並列思考を取ってからは楽になったけど、その前からやってたし。
そう。右手と左手を使い分けるのに似てるかもしれない。
エメル達は魔物だから、こういう感覚はないかもしれない。
代わりに魔物は、呪文を唱える必要がない。連続撃ちも可能なのだ。
あ、私も呪文使ってないや。てか知らないし、イメージで何とかなるんだからいいよね?魔法は空想…いや、私の場合妄想かもしれない。それで何とかなる。
て事は魔法は妄想と相性がいいのか。ある程度イメージがしっかりしてれば発動しちゃうもんね。
妄想は得意だ。
伊達に中学、高校とオタクやってた訳じゃない。
(狩りに行ってくる)
(はいはーい)
ムーンが出て行った後に土魔法で隙間を埋める。
ムーンは冬の方が元気だな。昔の仲間とかに会ったりしないのかな?恋人がいたりとか。
雪の中を走るのが楽しそう。風を切って走る。あ、イタチがいる。すかさず仕留めるムーン。上手いな。
あ、食べちゃった。…あれ?てか何で見えてるの?
「うわああっ?!」
普通の視界に入り込んでる!
(どうしたの?ユーリ)
『スキル 超感覚を得ました』
(あ、モコ…何でもない?かな…)
「ユーリしゃん?」
「あ、新しいスキルみたい。超感覚だって」
「んー。超感覚なんてスキルないでしゅよ?」
「…へ?何か遊びに行ったムーンの姿が見えて…」
うん。視覚に併せて感覚も広がる感じ。凄いな。
「うにゅ。シャンドラ様の影響でしゅね」
「ああ。そうかも」
緊急避難的な感じで新しいスキルを作ったのかな?
まあ、それなら助かる。スキルとして使えるなら、切る事も出来る。
久々に出たな。まあ、もう慣れたけど。役に立ちそうなスキルだし。
「ちょっと心配でしゅね。ユーリしゃんはそういう物と相性がいいのかもしれましぇん」
そういう物って…厨ニ的な?そんな病んでないし!
「まあ。そんな怖いスキルでもないし、魔物もいち早く察せるからいいじゃん?」
「うにゅ」
フレイは心配症だな。




