海と祝福
レベルアップのコール…はいいけど、何で?みんな揃って食事中に。
「どうしたんでしゅか?ユーリしゃん」
「今、レベルアップしたけど、エメルもここにいるし…何で?と思って」
「ご飯を食べていたからいるだけでも上がりましゅよ?本当に僅かでしゅけど…やっぱり常識がちゃんと入ってないでしゅね」
うーん。命を取り込むって事かな?魔物を倒しても、その命のエネルギーでレベルアップしてるとか?
それなら少し納得かな?ダンジョンでは誰が倒しても均等に経験値が入るとか、従魔との経験値シェアも。
という事は、大人になってもレベル1とかはあり得ないんだ。
「大人で魔物を倒した事のない人は、どれ位のレベルになるの?」
「強い魔物の肉だと上がりやすいでしゅ。この世界は肉を食べる人が多いので、10は超えてましゅね」
むう。そんなもんか。
従魔達とシェアしているけど、こんな生活だから魔物と接する機会も多い。そういう事になるんだろうな。
まあ、ゲームでもそうだけど、レベルが上がるにつれて必要な経験値が高くなってくるだろうから、最初の1年が凄いだけだと思う。
それでも家族がいる普通の家庭は2歳で魔物を倒す事もないんだろうな。
私は中身アラサーだけど、魔物がいない世界から来たからレベル1だったのかな?
今日は、海に遊びに行く事にしている。中身がアラサーといいながらパンツ一枚で遊んで恥ずかしくないのは、年齢に中身が引っ張られてるからだろうか?
誰もいないのも確かだし、従魔相手には恥ずかしくない。
ペットと一緒だから?話もできるけど、相手は人じゃない。
お風呂は入れるようになったモコだけど、海は嫌らしい。
ムーンとチャチャも、遊んでいないし…あれ?遊んで喜んでいるのって私だけ?
まあ、エメルは楽しそうだな。
ここのアサリは、大振りだけど咬む。肉の欠片を置いておくといつの間にか集まってくるから、罠を仕掛けておく。
崖側の岩場に、海草が生えている。
テングサ 便秘薬に使われる
うわ…確かに効果はあるかもだけど、私にとってはゼリーや羊羹の材料だ。
うん。採っておこう。今なら牛乳寒天が作れるからね。
さて、アサリは集まったかな?
(ユーリ、何だかあなた、遊びに来たというより、採取に来たみたいね)
(あはは。遊び慣れてないから)
(それも悲しいわね。子供なんだから、もっと何も考えないで遊んだら?)
(いやさ、中身がアラサーだと、素直に遊んでられないよ)
(今日は息抜きに来たのよ!いっつもユーリ、働いているじゃない)
「そうでしゅよ?ユーリしゃん。今はもう3歳と思った方がいいでしゅよ」
単にこういう事が好きっていうこともあるんだけどな。
記憶はあるけど、確かに今の私は大人じゃない。楽しまなきゃだよね!
(私はみんなといられてすごく楽しいよ!ありがとう)
(こちらこそ。ユーリがいい主で良かったわ)
悪い主もいるのかな?
テングサもアサリも結構取れた。砂抜きしたら、どうやって食べよう?酒蒸しかな?それとも味噌汁?
ちょっと早めだけど、トマトが生った。これもリリアナ様の祝福のお陰かな?収穫量も増えるらしい。有難い。
一つ食べてみた。皮がちょっと固い?酸味も強い。
品種改良前のトマトは、酸っぱいと聞いたことがある。ショッピングで買ったトマトは甘かったんだけど、何で?
まあ、こっちのトマトも好きだな。
キュウリももうすぐだし、食べ比べてみよう。匂いが青臭いから品種改良前な気がするけど、料理の仕方次第だよね。
ワイルドな味だね。
他にも味が違う野菜があるかもしれない。そういうのを料理するのも楽しいな。来年は違う野菜を育ててみよう。
トマトは湯むきして、オリーブオイルをかけて食べた。
うん。熱をかけた方が美味しいかも。ピザに乗せて食べよう。
それにしても、色々と料理をすれば祝福や加護が貰えるなら、料理人とかは簡単に貰えそうだけど?
「ね、フレイ。祝福や加護ってそんなに簡単に貰えるものなの?」
「そんなことないでしゅよ。リリアナ様の祝福は、落ち人は貰いやすいでしゅけど、1年で祝福を貰えたのは最短記録かもしれましぇんね。ユーリしゃんは、色々な種類の料理を作っているので、気にかけられたのだと思いましゅよ」
そうなのか。でもそれを広めたとか、そういうのはしなくてもいいのかな?
祝福や加護は狙って貰える物でもないし、そういう行動をしたからといって得られる物でもない。
貰えてラッキー位に思っておこう。本当は教会でちゃんとお礼言わないとだめみたいだけど、しばらくは無理だから、心の中でお祈りしておこう。
これからも今までのように料理はするし、それが神様には嬉しい事なら、一石二鳥?




