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アクセサリー作りと、サロモスダンジョン

ジュエルシェルはとても美味しかった。アミノ酸の旨味?

酒蒸しにしただけなんだけど、アサリよりはるかに美味しい。

素材が極上だとそれほど手を加えなくても美味しい。レッドコークやミノタウロスキングのように。


どれもそれなりに集めるのは大変だから普段は普通の素材で、たまに高級食材を使うようにしよう。


外の雪もだいぶ溶けてきた。雪狼のマントは大きめに作ったから来年も着られるだろう。

「今日からしばらくは物作りしようと思うんだ。みんなは好きな事してていいよ?」

「ボクの亜空間移動で好きな所に連れて行くよ」


「そうね…ユーリがクリームを作る実がもうないわよね?」

「なら、私も行く。ミノタウロスもあそこには出るし」

「俺がいなくても大丈夫か?」

「平気。ムーンは釣りしてて」

うん。それがいいんじゃないかな?


私は早速図書館へ。宝石を使ったアクセサリー作りは素人だ。宝石は物によって向いている付与が違う。作る前に調べておきたい。


ふうん…結界も自動付与出来るんだ。誰でも微弱な魔力は纏っているし、守ろうとすれば、かなり強い力になるだろう。

魔力追跡…私達にはパスが繋がっているからいいけど、テッドがまた一緒に旅する事になれば付けておけば便利かな?

迷子札みたいだけど、伯爵家のお子様を預かるのなら必要かな?

面白そうだから作っておこう。


腕に付けるなら、サイズ自動調節に入りそう。エメルはネックレスなら何とかなるかな?

魔物の姿になっても付けていられないと意味ないし。


閉館時間までいて、亜空間に戻ったらムーンだけがいた。

「嬉しそう。いっぱい釣れた?」

自分の収納庫からムーンの収納庫を覗いて見ると、たくさんのメバルがいた。

「旨い魚かは分からないが…」

「とりあえず煮付けにでもしようか」


顔には出さないけど、尻尾が嬉しそうに揺れている。

「手伝う」

「なら、一緒に作ろうか」

私は低い方の作業台へ。ムーンは普段エメルやチャチャが使っている台の前に立った。

ムーンはちょっと不器用だ。でも、こんなお父さんみたいなムーンもいいな。


強くて頼りになるムーンは、魔法抜きでは私達の中で一番の戦力だ。そして一番の大食いでもある。

「細々とした事は向いてないが、ユーリと料理を作るのは楽しい」

「ふふ。私も」

男の人は嫌だと思ってたけど、眷属は別だね。


次の日も私はアクセサリー作りだ。自動結界の付与が上手く行かない。付与に使う魔石の質が問題みたいだ。

チャチャ達が狩ってきてくれたオーガの皮も、一回り小さい上位種がいたので私用のボディスーツを作ってみるつもり。

オーガクィーンは、小さいながらかなり強いオーガだったらしい。チャチャやモコは進化前だったらヤバかったっていうし、無理はしないでほしいな。

植物性ミルクの実を集めて山の奥まで入っていって、気がついたら囲まれていた。


流石に遠すぎて念話も届かないし、結構ピンチだったようだ。

モコに乗って飛んで逃げれば良かったのに。


こんな風に無理しちゃうのは私の為に小さいオーガを狩る為。

無茶は絶対にしないでって言い聞かせたけど、私の為になるなら平気で無茶をしそうだ。

なら私はせめて、いい防具を作って付与を付けよう。


その皮は今、モチがなめしている。サイズ自動調節大を付ければ私にも着られるかな?

過信は禁物だけど、今の私は死ににくい。モコの聖魔法はかなりの腕前だし、チャチャも進化した事で聖魔法、暗黒魔法を覚えやすくなっている。

チャチャの影響を受ける私も暗黒魔法が習得しやすくなっている。


あとは重力魔法と時空魔法かな?焦ってはないけど。ルーン様の加護もあるし。


どうにか思惑通りのアクセサリーが人数分出来た。

もう雪もとけて少しずつ暖かくなってきた。

「みんな、今日はこのアクセサリーを付けて久しぶりのダンジョン攻略に行くよ!」

「あら…私だけネックレスなの?」

「戻った時にも使えるようにだよ」

「考えてくれたのね?ありがとう。ユーリ」

「危険を感じたらアクセサリーを意識して。普段から薄い結界は纏えているけど、意識するだけで強力な結界になるから」

「私の護りは強力だけど、さすがにムーンのホーリーブレスなんかは防げないものね」


「私のボディスーツも完成したし、守りはかなり強力になったけど、過信しすぎないでね?今まで通り、いのちだいじにだよ?」

頷くみんなを見て、ダンジョンに向かった。


18階層は、海そのもの?かなりの深さがあり、辛うじて歩ける位の細い通路がある。

そっと足を踏み出すと、大型で鋭い角?が生えた魚がジャンプして襲ってきた。

「もしかして、カジキ?」

けど、どうやって倒そう?他に冒険者の姿はないけど、蔓の罠では捉えられないだろう。

まあ、魔法しかないか。


みんなには空間固定した足場に乗ってもらって、強力な雷を落とす。

おおー!いっぱい浮いてきた。他の冒険者がいないからこそ出来る荒業だ。

半分近くがブロックの赤身だ。あとは…カジキブレード?剣に加工された状態で採れた。細身の長剣で、私達の中には使う人がいない。

こんな長さの剣が良ければミスリルで作った方がいいし、他に使い道もないから売ろう。


なかなかリポップしないので、今のうちに渡ってしまおう。

カジキマグロの赤身か…えへへ。


見通しがいいから階段もすぐに見つけた。みんなが渡り終わってもまだカジキは復活しない。

まあ、また絶対に来るからいいけど。


19階層は炎を纏った大型の怪鳥で、エルダーバード。一匹のみでボス扱いなのかな?扉も閉まったし。

他のみんなが牽制してくれている間に、ムーンと二人で絶対零度の魔法を放つ。

凍っても生きている?!…なら、空間断裂だ。動きが止まっているから狙いやすい。

ドロップしたのは消えない炎。燃焼石は使い続けると熱を発しなくなるけど、この炎ならずっと使えるだろう。

錬金術の素材としても使えそうだし、不思議な事に収納庫に入れても消えない。

勿論直接は触れないけど、触れずに出す事も出来る。


「下もボス部屋だろうし、戻ろうか」


亜空間に戻って、早速刺身にする。

「これはカマトロとは違うんだよね?」

「そうだね。でも赤身も大好きだよ」

「そういえばユーリ、春になったら北へ旅するんじゃなかったの?」


うーん。忘れてはないけど、もふもふはしてないだろうし。でも遅くなって拗ねられたら厄介だし。

ダンジョンはまあ、いつでも行ける。それに旅は色々な発見があるから楽しいし。


「じゃあ、準備が終わったら行こうか」

それほど準備しなきゃならないのもないけど、というか旅の醍醐味は現地の食べられる魔物だよね。

ソイズの町でも冬だったから買い物もしてないし、カジキブレードを売ったら出発しよう。



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