表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
190/226

モコの進化

サロモスダンジョンに来た。攻略が途中だって事もあるけど、ここもまたとても美味しいダンジョンだ。

15階層で鯛の切り身を中心に集めて、階段を探す。海の間に細い通路が出来ているような物だから、広くても割とすぐに見つけた。


「テッドは階段の所で待っててね?」

16階層は犬の鳴き声がする。…え?上から来た!

犬に鳥の羽根が生えてて足は鳥?!

「うわ…犬か鳥か、どっちかにして欲しいよ」

倒すと、魔石か骨を落とした。骨は砕いて粉にすると、万能薬の材料の一つになる。

バードックの骨を使うバージョンだと前に作った万能薬と、材料が幾つか違ってくる。


どのパターンも貴重な材料があるから簡単には作れない。

おっと。テッドを呼ぶのを忘れていた。

テッドもバードックの姿に目を丸くしていた。驚くよね。

犬なのか、鳥なのか。それが問題。


さすがに魔物も強くなってきた。けどこのダンジョンの最大の問題はこの広さだな。

でもお陰で揉める事も少ない。鰻の所では、本当は魔法を使ってとどめを刺した人の物になるけど、雷だから広範囲に効く。主張すればその人の物になるけど、揉める事も多い。

私はあんまり気にしてない。自分が使った魔法でも、手の届く範囲の物があればいいと思っている。

朝から晩まで雷魔法で鰻を倒しても、魔力に余裕があるからかもしれない。まあ、揉め事は嫌だしね。


15階層にはそれなりにいた冒険者も、16階層ではいない。これより下は分からないけど、骨はそんなに需要がないのだろう。

素材集めはしないので、倒すのは向かってくる奴だけだ。

テッドもそれなりに倒せているし、さっさと17階層に行きたいんだけどな…


もう、魔石しか拾ってない。やっと見つけたけど、もう外は夜だろう。

みんなで魔法石に触れて、下は敢えて覗かずにダンジョンを出た。


「ユーリ…何か変。影に入れてもらえる?」

「大丈夫?モコ…よし」

人の視線が途絶えた時、さっとモコを影に入れる。

「モコ、どっか悪いのか?」

「ん…進化するみたい」

ムーンの時と同じ位、沢山の魔力を持って行かれてる。


はぁ…できれば男っぽくはならないで欲しいな…どんな姿になってもモコはモコだけど。

いい加減、男性不信も治さないとな。その原因を作った奴は今は奴隷で、私の事も覚えてないのに。


次の日、モコがまだ出て来なかった為、各自自由行動になった。

エメルは海に行くみたいだ。チャチャはテッドと図書館へ。ムーンは聞かなくても分かる。釣りだろうな。表情にはあまり出ないけど、わくわくした気持ちが伝わってくる。

私はモチベッドに寝転がり、だらだらしてる。まあ、燻製を作りながらだからただ寝ている訳じゃないけど。


まだ魔力が出ていく感じは治まらない。魔力不足の症状は、貧血に似ている。

加護のお陰でほぼ、病気知らずだからこの感覚は懐かしくもある。


まるで螺旋のように連なる世界。…この下にも世界があるのか。霧がかかったみたいに何も見えないけど、上の世界は遠くに、懐かしく見える。その上にも世界があり、そこはやっぱり霧がかかったみたいに見えない。

その間には界と呼ばれる空間があり、神や管理者がたくさんいる。

その命を受けて働いているのがフレイのような妖精達。

界の壁は複雑な魔法式のようだ。純粋な力ではない、判別できない圧がかかると穴が開く。


懐かしい…フレイだ。魔法式を構築する練習を、他の若い妖精達と頑張っている。

…こっちを見た?慌ててる?ああ…慌てたから失敗してるよ。

変なの…夢なのに、本当にフレイに会った気がする。

あれ…夢?やばい!燻製が!


はっと目を覚ますと、亜空間内に煙が充満していた。慌ててそれらを収束して、外に逃がす。

いつの間にかうたた寝してたんだな。


やけにリアルな夢だったな。フレイはドジっ子のままだったし、世界の姿を垣間見たような…。

まあ、チップが燃え尽きたので燻製は出来ている。空間が広くて良かった。一酸化炭素中毒で死亡とか洒落にならない。

怠い時は燻製とか料理はするべきじゃないね。反省。


モチも元気そうだ。煙かったりしなかったのかな?…あ。鼻もないや。酸素を吸っているのかも分からないし。


結構な時間寝ていたようだ。夕ごはんは何にしようかな?前に採った海産物の残りが結構あるから、パエリアにでもしようかな。


支度が終わる頃、みんな戻って来た。

「お!旨そう!モコは…まだか」

「まあ、心配しなくても大丈夫だよ」

「モコもムーンみたいに強くなったら…」

「チャチャ、比べる必要はないよ」

「そうよね。私達みんな違う形でユーリの役に立っていると思うし」


後片付けを進んでやってくれたチャチャに任せてモチに寝転がる。


「…そんなに辛いのか?」

パスのないテッドには外見から判断するしかないのだろう。

「日中よりましかな?…あ。モコが出てくる」


え…虎?大きくなったモコは、チャチャと同じ位ある。


モコ(7)

飛天虎 レベル142

スキル

雷魔法 風魔法 水魔法 木魔法 時空魔法

聖魔法 補助魔法 癒しの聖域 毛生え 毛攻撃

罠 奇襲 ソニックウエーブ 爪攻撃 噛みつき

偽装 隠匿 縮小化 状態異常無効 人化 威圧

飛翔


「確かに虎は猫科だけど、いいのか?」

「問題はそこじゃないよ…飛天虎は、聖獣だって。ムーンに続いてモコまで…」

(え?ダメ?ボクの進化はおかしいの?)

「ううん、ごめんね。驚いているだけ。モコ、人化してみて」


おおう…身長伸びたな。ただ、線は細い…というか、しなやかだ。顔つきはまだ子供っぽいし、美少女ぶりは健在だ。

「服は買い直さないとだめだね。オーガのボディスーツはたるみがなくなっていい感じになると思うけど、ブーツも作らなきゃ」

「それ位はボクがやるよ。付与だけユーリにお願いするけど」


飛天虎は通った後に嵐を起こすとも言われている。恵みをもたらす聖獣だ。かなり種族的にも強くなったけど、主に刃向かう様子はない。

音もなく背後に現れて敵を仕留める。気配を完全に断つ事も出来るらしい。

「縮小化って、人化しても小さくなれるの?」

「うーん。無理みたい。本来の姿限定だよ」


小さくなると、元のアンゴラキャット位に縮む。虎柄は消えないけど、クイーンキャットの時と毛質は似てるから、大きめの猫そのものだ。

良かった…このもふもふがなくならなくて。大きなもふもふも捨てがたいけど、抱っこできるこのサイズもいいな。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] こんにちは、お話楽しく読ませて頂いてます。 嫌な人が(元彼以外)殆ど出てこないところが好きです! [気になる点] 主人公がいつも頑張り過ぎててたまに不便になります、、 周囲のみんなが依存し…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ