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テッドの防具とモチの眷属化

テッドの装備を見直してみた。 アーマードボアのライトアーマーに一応補強の入ったブーツ。ズボンも厚手だけど、今回でボロボロになっている。

そういえばあれがあった。テッドは私より大きいからもしかして…。


「テッド、これ着てみて」

着られた。少しダブついているけど、許容範囲…くっ、悔しくなんてないんだから!

「これってオーガの…!ここまでしてもらったらさすがに悪いわ」

「いえ…私用に作ってとっておいたんですけど、まだ着られなくて…」

「ああ…サイズ自動調節って奴か」

「それの大を付与したんだけど、ギリギリ範囲から外れてるらしくて」

「ああ、お前小さいもんな」

「放っといてよ、バカ」

ブーツは、アーマードボアの皮と、曲がる所にブレードディアの皮を使っている。

ダンジョンからは出ないけど、森に出たのを狩った。


「ブーツも、いいのか?」

「さすがにブーツの換えは持ってきてないでしょ?こういうの作るの好きだから気にしないで使ってよ」

タケノコも当たると大ケガするんだな…超感覚を使わなくても結構分かったけど。テッドはその辺鈍いのかな?


「ありがとう、ユーリちゃん。家に戻ったらちゃんと支払うわ」

「亜空間移動ですぐですし。シーナさんはお仕事とか大丈夫ですか?」

「だ…大丈夫よ」

目が泳いでいる。

「アルフレッド様に離婚されても知らないよ?」

レイシアさんの言葉に、表情がひきつっている。


「アル君は大丈夫よ!ちょっと位のストレス発散は許してもらってるし」

まあ、これ以上は夫婦の問題だし。でも…伯爵家の奥様が長く家を空けてもいいのかな?


「これってどれ位の防御力なんだ?」

「オーガの皮は少し位の傷なら自己修復しちゃうよ。…自分用にはまた狩ればいいし。てか、タケノコに殺されそうになるなんて」

「ちっ…まあ、礼は言っとく。けど!俺だってあともう少しだからな!」

「はいはい。感知系のスキルを鍛えてね。防具とかモコに頼らないで」

「わ…分かってる」

これは今まで守られながら戦って来た弊害だろうか?

まあ、私には予見のスキルもあるからだと思う。シーナさん達も持ってそうだな。


今日は私もテッドに付いていく事にした。何となく、怪我する理由が分かった。

「テッド、見る前に分からない?」

「は?無理に決まっているだろ!」

「ユーリ…ボク達だって明確に分かって動いてる訳じゃないよ?」

「え…!」

「逆にユーリはどうして分かるの?」

「………勘?」

「勘て。まあ、ボク達も似たような所はあるけど、魔化した植物は分かりにくいよ。魔物ならダンジョンの魔物でも明確に殺気が感じられるけどさ」


えー…。何のスキルが関係しているかは分からないけど、もしかして私だけ?

有るスキルだとは思うけど、特に意識しないで使ってたな。


感覚的な事を教えるのは難しい。特にこの右目が関係してたとしたら、教えるのは無理。

そういえばアリエール様に死の魔眼を封じてもらってからはおかしな事もなくなった。


「そういうのって、妖精が教えてくれたりするのか?エーファ兄さんは妖精に罠を教えてもらったりしてたって」

「私の側に妖精はいないよ?今は。微精霊ならいるけど…てか、テッドの側にも少しいるよ?」

「あ…何でだ?父さんがエルフだからか?」

「さあ?でも人族の周りにいるのは本当に希だよ?その微精霊が進化すればテッドにも妖精が憑くかもね」

「でも俺、姿見えないし」


まあ、私が見えるのは右目のお陰だからね。それに私の魔力は美味しいらしいし。

テッドの魔力も美味しかったりするのかな?


「テッドは今日、暇だよね?」

「まあ、今日は休んでろって言われたからな」

「じゃあ、餃子作ってよ」

「は?無理だし」

「種は私が作るから、包んでくれればいいよ。やり方は教える」


エメルもチャチャも今日は出掛けてしまったし、モコはこういう作業に向かない。

「ま、たまにはいいか。細かい作業は嫌いじゃないし」

「じゃあ、ボクは遊びに行ってくる」


餃子は大好評。シーナさんはテッドが包むのを手伝ったと聞いて驚いていた。

「将来冒険者になるつもりなら料理は出来た方がいいわ。ユーリちゃんに頼りきりも良くないし、頑張りなさい」

「収納庫が使える冒険者はどこでも重宝されますから」

「エーファ兄さんみたいに、固定パーティーに入らないで活動するのも憧れるな」

「女神様の使命の事は他人に易々と話せないものね。その点、ユーリちゃん達家族はいいわね。一人前の冒険者としてやれるようになるまでは一緒に冒険させてもらったら?」


「テッドは進学しないの?」

「必要ないな」

「そっか。なら私達と冒険する?」

「いいのか?」

「今更じゃん?独立したいなら、ディスペルは必須だし」

「う…まあ、な。亜空間の快適さを知ったらテント生活は嫌かな」


確かに。隠さなきゃならない時もこれから出てくるとは思うけど、なるべくなら亜空間で過ごしたいよね。

テッドなら、そうかからないうちに亜空間も習得するんじゃないかな。


亜空間内を分けた私達の部屋で、ベッドに寝られなくなってしまったムーンのもふもふにもたれかかる。

(ね、テッドの魔力も美味しいの?)

(うん。だけどユーリの魔力の方が好き。眷属になってからは特にね)

(ユーリが学校を卒業して、テッド君が私達と旅をする事になっても、私達が一番に考えるのはユーリの事よ?)

(私からしてもテッドはオマケみたいな物だよ。眷属のみんなが一番)

(そういえば、モチは進化したけど眷属にはなれないの?)


モチも眷属か…スライムは短命だけど、進化すれば少しは長生きになるのかな…モチの事は大好きだけど、より大切になったモチがもし死んじゃったら凄く悲しい…でも、モチだって大切な家族だ。

「ね、モチ。もし私の眷属になれるとしたら、なりたいと思う?」


「役立つ」

縮んだモチが、掌にジャンプしてきた。


パスを強く意識して、魂を繋ぐような感覚で…よし!出来た!四人も眷属がいるから、私のテイマーとしての腕も上がっているのだろう。

モチは念話を覚えたみたい。私は超音波ブレードってなっている。

超音波の斬撃を飛ばせるみたいだ。モチみたいには種族的に使いこなせないのだろう。


大木を切り倒す位の威力はあるから、結構役にたちそうだ。

(しかし、モチは魔力量が少ない。主の負担にならないか?)

(加護もあるから回復は速いよ。だから気にしないで)

今ならモチの気持ちもはっきりと分かる。でも積極的に戦いたいって願いは聞いてあげられないな。いくら攻撃手段を持ったからって、核をやられたら終わりだからね。

(硬化、出来る)

それも分かるけど…そうだね。もし肩こりや腰痛が出たらマッサージをお願いしようかな。


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