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シタールダンジョン

赤い鳥の事を調べてみたけど、似たのはいるけど、これってものはいない。

ただ一つ考えられるのは、朱雀。でも、あんなに小さな鳥じゃない。色合いは似てるけど、朱雀は唯一種だから、子供はいないはず。

おまけに四神獣だから、こんな所にいるわけない。

魔物の色違いとかは希にあるみたいだし、そのうちの一羽なんだろう。


殺気がなかったのは分からない。鑑定を弾かれたのも。強くなってからは一度もなかった。

雀位の大きさの鳥がそれだけの実力を持ってたって事だ。


まあ、考えても分からない事をいつまでも考えても仕方ない。あの鳥さんにはまた会える気がするしね。


半月たたないうちにムーン達が亜空間に入ってきた。

この国にあるもう一つのダンジョンだ。敢えてギルドで情報収集はせず、中に入っていく。


一階層はゴブリンだ。極たまに小さな魔石をドロップする。

二階層はウルフで、ドロップアイテムは小さな皮。

ドロップアイテムがせこいからか、冒険者達はもっと奥に潜っていると思われる。

三階層に来て、やっとイエローバイパーが出た。小さな肉だけど、そんなに大きな魔物ではないので、これは仕方ないかな。

歯応えがあって結構美味しい肉だ。


まあ、たまに見つかる魔物だし、集めるまではいかないかな。

四階層はレッドスパイダー。毒の小瓶は要らない。

五階層は楽しみだな。また青空だったりするのかな?

と思ったら下は水で、辛うじて通れる位の道が出来ている。


索敵で探ると、魔物は魚みたいだ。一歩踏み出すと、鋭いヒレを持った魚が飛び跳ねた。

これは、昔釣った事がある。イワナーだ。味は岩魚と一緒で、やっぱり魔物。

でも美味しいから大好きな魚だ。狙って剣を振るうと、切り身になって浮いてくる。するとそれを狙って他のイワナーが来るから、捕られる前に範囲指定して収納庫へ。

これ、時空魔法が使えなかったら、なかなか大変なんじゃ?

まあ、網を使えば採れるだろう。


イワナーばかりじゃなくて、ニジアユもいる。鮎というより鱒っぽい味だ。

川魚は嬉しい!

「ふふふ。今日はここで終わりそうね」

まだ夕方前だけど、その通りになりそう。久しぶりの蔓の罠を作り、魚に放つ。そうしておいてから弱い雷を当てると、罠の中身は切り身だけが残る。

みんなもそれぞれのやり方で切り身を集めてくれる。

こんなに美味しい階層なのに、冒険者は一組通り抜けて行ってしまった。


私達は急がないし、美味しい魚の為に今日はここでいっぱい採る!


ここのダンジョンはシタール市の近くで、まだ街には行ってない。家の近くのダンジョンが見付かるまではここが国唯一のダンジョンだったんだね。

夏休みはこっちのダンジョンに来るのもいいかな?


「お前、なにニヤニヤしてるんだ?」

「え?別に…にやけてないよ?」

「さては旨い物の事でも考えてたか?」

また顔に出てたか…うう。

「夕べの焼き魚美味しかったよね?ユーリもいっぱい食べてたよね」

「魚なんてなかなか食べられないのに」

「それはダンジョ…むぐっ」


(何だ、シャケか)

(イワナーとかニジアユだよ)

(!な…シタールまで行ったのか?まさか)

(…まあね。てか、何で中身知ってるの?)

(ポート子爵に色々聞かされて)

(そっか…色々調べられてるダンジョンだもんね)

(テッド、ボクにも聞こえるように話してよ)

(悪い…グループ通信みたいに出来るんだよな)

モコが首を傾げている。私達家族の間ではそっちの方が普通だからね。

(でもさ、ダンジョンの調査って途中まででいいの?)

(その方が攻略する意欲が湧くだろ?それ以上は王様に報告したとか?…わかんないけど)

(どれ位強いの?凄い筋肉の人だったよね?魔法使いっぽい人もいたし)

(さあ?スコルよりは弱いと思うけど)

そりゃ、ムーンは神話級の魔物だからね。


(じゃあ、夏休みはシタールのダンジョンに行くの?)

(何言ってるんだよ。王都が先だろ?まさか忘れてたのか?)

(忘れてはいないけど…違法奴隷って違法なんでしょ?どうしてその人、捕まらないの?)

(相手は侯爵だからな…あとは上手く丸めこまれているんだろ。生活の保障もしてもらえて、いずれは勇者になれるかもしれないとか、そんな甘い言葉で)

(その人…本当に大人?)

(ライアン兄さんの話ではそうだな。二十歳は過ぎてそうな感じだから、上ではもう少し上だったかもな)

(若返ってそれなのか…)


そういう子供っぽい大人、結構いるもんなんだな。


休みの日は忙しい。ダンジョン攻略ばかりしてられない。

みんなと一緒にギルド依頼を受けたり、訓練したりも楽しい。


ムーン達はあれからも少し大きめな依頼を受けたりしている。

遠くに行ったりはないけど、ランクBの役目みたいな物だ。

私も8歳になり、間もなく夏休みが始まる。

夏休みになったらテッドを王都に亜空間移動させなきゃ。

テッドはまだ亜空間も覚えていない。空間魔法に適性があっても子供のうちに亜空間を覚えるのは難しい。

魔法神の加護があるから有利なはずだけど、去年収納庫を覚えたばかりだし、難しいのかな。


難しかった重力魔法だけど、ちょっと重さを軽くしたり、自分に重力を軽くかけてその状態で何でも出来るように練習していたら、重力波を覚えた。

範囲魔法だけど、少々厄介だ。一応範囲指定は出来るけど、その範囲に味方がいたら巻き込んでしまう。

強力な魔法である事に変わりはないけど、使い所が難しい。

術者本人には影響はないから、大タコや大イカを一人でやっつける事も出来る。

その前に脚を切断しなきゃ勿体無いからその分難しくなるんだけど。


テッドはまだ慣性制御と加重しか覚えていない。多分時空魔法や光魔法を優先させた結果だろう。

使える属性が多い人は器用貧乏になりやすい。実戦して覚えるのが難しい今は、使う魔法に優先順位をつけるべきなのかな。

まあ、一番に上げなきゃならないのは聖魔法だ。魂が身体に残っているうちなら生き返らせる事すら可能な魔法。

もう、家族に先に死なれるのは絶対に嫌だからね。


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