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ランクは上がっても気分は下がる?

夏休みが終わる前に、コーベットの田んぼを見て回った。うん、凄くいい感じだ。

「テッド様、ユーリちゃん、どうです?」

「もう少し稲穂が垂れたら収穫ですね。さすが本職の方。私の拙い説明だけで立派に育ててくれてありがとうございます」

もしかして下の世界には稲の病気とかないのかな?天敵はイナゴ位?


「新米は学校に行ってからか」

「そうだね。休みの日にはなるべく来るので、精米機の魔道具を使う時には声かけて下さい」

「確かに小麦とはまた違うみたいだからな。けどこれから学校だろうに」

「精米は自分の目で見て止めないと駄目なので。好みもあるからどのタイミングで切ればいいかは色々ですけど」

「なるほどなあ…まあ、あれだけ美味しけりゃ、すぐに広まるだろうよ」


うん。増えるといいな。炊き方の指導はしてあるから、その後の心配もないし。

「俺は詳しくなかったけど、ユーリの知識は凄いな」

「ふふん。もっと褒めてくれてもいいんだよ?」

「…ちっ。すぐ調子に乗る。農業と料理以外では勝つ!」

「一回も勝った事ないくせに」

「ゴブリン退治の時は数で勝っただろ!」

「収入では私が勝ってたもん」

「ぐぬぬ…」


テッドの家に寄って、夏休みの話をした。

「楽しかったみたいで良かったわね。ただ、蜂蜜が少ないのが残念だわ」

「お、俺だって15階層まで行きたかったんだけど、…レイシアに止められた」

「止められたって事はテッドにはまだ無理だったって事よ。でもかなり進歩したじゃない」

「来年は行く!」

「はいはい。期待しているわ」


「ポート子爵には会えたかい?」

「一応。挨拶だけはしといたよ」

「うん。助かる。娘さんも転校続きで苦労しているんだから、優しくしてあげるんだよ」

テッドはあからさまに嫌そうな顔をした。


「女は面倒だから嫌だ」

「ユーリちゃんとは仲良しなのに」

「こいつに女扱いは必要ないからな」

「そんなの期待しないけど、酷くない?」

「ワイバーン倒して喜んでいるような奴は女子じゃない」

「ワイバーンも出るのか。発見されていなかっただけで、相当古いダンジョンなんだろうな」


「ダンジョンに新しいとか古いとかあるんですか?」

「あるよ。新しいダンジョンは階層も浅かったり、魔物もそんなに出なかったりする」

あんな美味しいダンジョンの側に落ちた私は幸運だったんだね。毒々ダンジョンみたいなのだったら苦労してただろうな。


「明日にはリロルに行くんだろう?二人共、今日はゆっくり休むんだよ」

「じゃあ、また明日ね」

宿の手配はしてくれているはずだし。まあ、どうせ寝る所は亜空間だけど。


収納庫持ちは入寮も楽でいい。

「コレット、早いね」

「ああ。ユーリ、ちょっといいか?」

校舎裏手の訓練場で、コレットは木剣を構える。

「遠慮は要らない。手抜きなしで来てくれ」

そう言われても、全力なんて出せない。

「くっ…怪我位でゴタゴタ言うつもりはない!ユーリ、頼む!」


剣をギリギリで躱し、木剣を払おうとしたが、身体を捻って躱されたが、本当にギリギリだ。

「やはりユーリの剣はまっすぐだな。だが、人相手にも多少手解きを受けたか」

「コレットとは真逆かもね。でも、夏休みの間にレベルが上がった?」

「そうだな…それでもユーリには敵わないか。分かってはいたが」

そうだね。でもコレットも強くなった。


寮に戻ると、何やら騒ぎが起きていた。

「ユーリ!セリカさんを突き飛ばしたって…あれ?コレットと訓練してたの?」

イリーナが私達を見付けて走り寄ってきた。

「何かあったの?」

「うん…セリカさんの勘違いだと思う」

「あなた、私を突き飛ばしておいて、どういうつもりですの?」

「は…いつ?」

「10分程前に、階段の踊り場ですれ違った時にわざと突き飛ばされたわ!」


「それはない。私達は中庭にいたのだからな」

「き…騎士の娘が友達だからといって嘘をついて庇うの?」

「本当に私だった?」

「白髪の女子なんてあなたしかいないわ!」

モコ…は、男子寮か。ていうか、白髪のおばあちゃんじゃないんだから…銀色、だよね?


「キュア」

「?!な…治せばいいと思ってますの?」

「いや、とりあえず擦りむいているみたいだから、治しただけ」

「まずは謝りなさいよ!結婚前の令嬢を傷物にしておいて!」

「いや…私じゃないし。てか、転んで擦りむいただけで結婚出来なくなるの?」


うん。大変だね。キュアで治せば傷は残らないけど。

そんな事言ったら私なんて一生結婚出来ないね。怪我なんてしょっちゅうだし。

「ユーリは先程まで私といた。ユーリでない事は確かなのに、怪我の治療の礼をする方が先だろう?」

「う、うるさいわね!悪いのはユーリなのに、何故私が責められているのよ!皆さんもそう思うでしょう?」


みんな戸惑っているみたいだ。私もどうしたらいいか分からない。

見間違いか、それとも私が気に食わないとか?夏休み前とかも特に関わり合いになった訳でもないし…そういえば、悪役令嬢って言われたな。あれ?モブだっけ?

まあ、とりあえず気をつけよう。単なる被害妄想って感じでもないし。


ギルドで夏休みに集まったアーマードボアの皮やブレードディアの角、7階層の方の蜘蛛の糸も売った。

「これは新ダンジョンの…!ありがとうございます!そういえばユーリさん、ウォーターバッファローの件の後処理があるんですよ」

肉は家族用にしちゃったから、ギルドにも卸して欲しかったとか?


「魔物のなすりつけ行為に当たると判断されたので。けど、その時の話が、あなたがウォーターバッファローの群れを殲滅させたとか。出来ればもっと早くに処理出来れば良かったんですけど」

「ええと…確かに夏休み中はずっとダンジョンに行ってましたし…何かあるんですか?」


「ごめんなさい、責めているんじゃなくて、事実確認は取れたので、あなたのランクをCまであげる事に決定したわ。残念ながら規定で10歳前の子供はCランクまでしか上げられないけど」

「いや…別に上げて欲しい訳じゃないですけど…逆に目立ちたくないから、低くても」

「駄目です!あなたのお父さん達のランクも上げたいのに、上げられなくなるんですよ?」

「はあ…でもお父さん達はどのみちこの辺でしか活動はしないですよ?」


「ダンジョンまで行ける時点でCランク以下はあり得ないからいいんです!お父さん達にも伝えて下さいね?」

「はあ…じゃあモコは?」

「テストを受けてもらいます。のでお兄さんにも伝えてね?まあ…学生なのでやっぱり出来る依頼は限られてしまうけど」

そこはお姉ちゃんでいいよね?…じゃなくて、試験に合格したら、モコ達は高ランク冒険者?


これから色々活動する時に同パーティーとして活動できれば問題ないかな?三人だけで遠くに行ったりとかはしないと思うし。


新しくなったカードを見て、またテッドが悔しがって訳分からない勝負を挑んでくるんじゃないかと思うとちょっとだけ気が重い。


でも、テッドも一緒にダンジョンに行ってたからランク上がるかも?




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