毒々ダンジョン
クルークの近くのダンジョンへ、早速入った。
踏み潰すだけで消えるポイズンスライムはほぼ無視で、下層への階段を探す。
耐性は無効ではないので毒状態になる時もあるけど、私かモコがすぐに治して終了。
本当にたまに落ちる毒の小瓶は当然無視。フロアー自体もうちの近くのダンジョンよりも狭いので、すぐに下層への階段が見つかった。
2階層は、ポイズンスパイダー。やはり私達の敵ではないので、下層を探す。
3階層はポイズンスネーク。ここは毒々ダンジョンか!
この調子ならテッドを連れて来ても良かったけど、この場所にゲートを持っている説明はできないんだよね。
4階層はポイズンフロッグ。毒液を飛ばしてくるので一応注意。
5階層まで来て、冒険者の姿を多数見かけた。毒の沼地の所々に鉄鉱石の採掘ポイントが点在している。
鉄は要らない。魔鉄の方が優秀だからね。それでもギルドで買い取ってもらえるから、採掘している冒険者は多い。
六階層はポイズンワーム。何かもうこのダンジョンどうでも良くなってきた。
「ユーリには興味ないダンジョンだね」
「そうだね。地中から出て来るから一応気をつけてね」
「次の階層を覗いたら帰りましょうか?」
まあ、もう夕方だしね。
階段を探しながらだから、結構時間を取られちゃう。
7階層はポイズンアントだ。一応甲殻も落とすし、それも買い取りはしてくれるけど、積極的には取らない。
外に出て、念入りにピュアをかける。ギルドで状態異常耐性がない人は行くなと言われていたけど、正解だね。
戻ってダンジョンの26階層と27階層で今日のストレス発散をする。
相変わらず強い。けど、だからこそ緊張感があって楽しい!
27階層ではあまり活躍できないモコとチャチャだけど、モコは支援魔法で、チャチャはエメルの上に乗って戦い始めた。
丸太のような肉の他にもワイバーンの尻尾が現れた。万能薬の材料になるみたいだ。
私の錬金術の腕で作れるかは分からないけど、材料が揃ったら作ってみようかな。
ワイバーンのステーキ。私のは薄切りだけど、旨味が口の中いっぱいに広がる。
「前も思ったけど、ジンギスカンみたいだな…いや、マトンはもっと噛み応えがあるか」
「羊肉か…グラム単価が高いから食べた事ないな。あれ?ラム肉じゃなかった?」
「ラム肉は草を食べる前の仔羊だ。ラムの方が食べやすいな」
「へえ。料理には詳しくないんじゃ?」
「いや、焼き肉は食べるだろ」
「食べ放題のお店なら行った事あるけど、そんなのあったかな?」
「そういう所にはないな。ほら、単価が高いし」
うーん。SEって給料良かったのかな。
「因みに国家試験に合格しないとなれないぞ?」
あ、顔に出てたかな?
まあ、このミルドラでは全く役に立たない資格だね。
「そういえば、羊の魔物なんかもいるのかな?」
アンゴラは猫だったけど。
「どのようなものですか?」
「毛がモコモコしてて、その毛は脱脂して上着なんかにも使われるよね。それで顔が黒くて…こんな感じ」
ノートサイズの黒板に書いてみせる。
「多分モコモコですね。二本足で立ちますが」
「うわ…まんまだな」
「それは強いの?」
「いえ、弱いですね。上位種もたまに見られますが、そういえばこの国ではあまり見かけませんね」
それは残念。
「交易品を扱う店でなら、毛は売っていると思います。これが服になると高いですが」
輸入品なら高くても仕方ないのかな。アンゴラキャットもモコ以外見たことないし。
翌日、また毒々ダンジョンに行った。7階層をあっさり踏破して、8階層へ。
うわ。キノコのお化けだ。胞子を撒いて攻撃してくる。しかもこれは麻痺毒だ。
麻痺毒の方がみんな慣れていないからか、かかりやすい。
ああ…回復担当のモコもかかってたら駄目じゃん。
麻痺避けの護符は錬金術で作れたはずだ。有り難い事に護符の材料の一つであるママニエキスの入った小瓶をたまに落とす。
火魔法が効くから、私とムーンで狩りまくって小瓶を集める。
仕切り直しか。どうせなら石化耐性を付ける護符と合わせよう。
バジリスクの鱗を売らないで良かった。
ここは状態異常になる魔物が多いダンジョンなのかもしれない。ダンジョンには何かしらの特性があるのだ。
家の近くのダンジョンみたいに食べ物が沢山出るダンジョンばかりじゃない。
「出ようか」
「攻略、止める?」
「チャチャは先に進みたいの?」
「役に立つ事、きっとある」
「?まあ…とりあえずは護符を作ってまた来ようよ。ね?」
「分かった」
チャチャは殴って攻撃する分、敵に近づかないといけない。リスクは多くなるけど、そういう魔物にも対処できるようになりたいのかな?
買い物もしたいので、町に入った。毒消しポーションが沢山売っている。
麻痺消しや、猛毒用のポーションも売ってるってことは、猛毒を使う魔物も出るって事だ。
薬草そのものでも売ってる。ってことは、近くで採取できるのかな?
ギルドで情報を仕入れたら、今の時期は沢山生えているそうなので、それなら採取することにした。
早く帰るより、色々探す方が楽しいし。
麻痺消しの材料も見つけた。草原を散策中に何とモコモコも見つけた!思わず抱きついてしまった私にパンチで攻撃してくるけど、全然痛くない。
「ユーリ!もふもふならボクでやればいいじゃん!」
モコが杖で叩くと、あっさり倒れた。そういえば、モコモコのお肉も売ってたっけ。
テッドの言ってたジンギスカンも気になるし、採取がてら狩ろう!




