表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
140/226

アルメリア皇国へ

あの程度の事で罪が赦されるとは思っていなかった。多分、担当妖精だったのをいい事に、ユーリと契約して付きまとっていたのも良くはなかったのだろう。


時空妖精になる為に一度はこなした修行だけど、決して楽にはいかない。

それに問題があった時に冷静でいられるような修行もしなければならない。

「ユーリしゃん…元気でやっているでしょうか」

修行を終えて時空妖精に戻れないと、会いに行く事もできない。


担当した人だから、現状を知る事はできる。

神々から加護を頂き、より一層輝きを増した魂は、問題なくこの世界にも溶け込んだ。

強くて優しい。きっと上の世界でもそんな風に生きてきたのだろう。


僅か数年だったけど、一緒にいられて本当に楽しかった。

会えなくても、ずっと応援している。


本当は会いたい。あの綺麗な魔力をまた貰いたい。


アルフレッドは、書類仕事に区切りをつけて、キースと、彼の下で働く事になったマイクからハーブティーを貰って、一息ついた。

妻のシーナは今、お茶会という名の女の戦場で戦っている。

末息子も今はダンジョンで戦っているだろうか?

人族なのに妖精に好かれる稀有な少女。テッドにも色々と驚かせられたけど、あの子はそれ以上だな。常識外の存在。

あの子と比べると、テッドでさえ普通の子供に見えてしまう。一緒に遊んでいる時は年相応に見えるけど。


落ち人は、後から魔法を覚えられる。キースに指導してもらいながら彼も幾つかの魔法を覚えた。レベルも幾つか上がり、最近やっと笑顔も見られるようになった。


隣国は、奴隷には人権がない。物扱いだ。うちの国はそんな事はないはずだから、ソータという落ち人もそう酷い扱いはされていないと思う。

自由に生きられないのには代わりないが。


テッド達に救う使命があるのならいずれは解放されるだろう。

その後はマイクさんのようにはいかないだろう。同じ国内でもあるからリスクが高い。テッドはきっとそこまで考えていないだろうな。



テッド達とは夕御飯までに戻ると約束して、アルメリア皇国の端に来た。

お化け屋敷からはもう、あの嫌な気配はない。

この近くには人の住む町はないので、南に向かって歩く。

ムーンに乗って人気のない山道を下る。


気温が幾分低く感じる。お陰で動き易い。街道が見えた所でムーンから降りて、みんなに人化してもらう。


しばらく歩いて見えてきたのは割と大きな町。ギルドカードを提示すると、すんなりと通れたけど、私のギルドカードと、私の顔を見比べたのは何でかな?

「ここはアルメリア皇国の北端の都市クルークだ。あんたらもダンジョン目当てか?」

「ダンジョン!教えて下さい!」

「ギルドで聞け。というか、こんな小さな子供連れの冒険者も珍しいな」

「私、ちゃんと戦えますけど?」

失礼しちゃう。


ギルドで情報を仕入れたけど、そんなに美味しい物はなさそうだな。私はレベリングの為に連れて来られたと思われた。

まあ、年齢で考えたら仕方ないし、私もいちいち否定しない。面倒だし。


規模的にはリロルと変わらない位だけど、リロルの方が活気があるな。

ダンジョンの近くの町は発展するのでは…いや、いつまでも発展するのはあり得ないか。


とにかくダンジョンの近くにゲートを開こう。

町からも近いし、場所的には最高だと思うけど…何で?


もうすぐ夕方だから、一階層だけ覗いたら帰ろう。

…あー。ポイズンスライムか。そんなに強い毒じゃないけど、毒耐性のない冒険者には嫌だろうな。おまけにスライムだから経験値も低いだろうし。


「どうするの?ユーリ」

「ん。帰るよ。町のお店も閉まってるだろうし、後でゆっくりと買い物とダンジョン攻略はするつもり」

「そうだね。ボク今日は親子丼が食べたいな!」

久しぶりの料理だな。材料もあるし。

「分かったよ。じゃあ帰ろう」


ご飯を食べながら、聞いてみた。

「レイシアさんて、アルメリア皇国に行った事はありますか?」

「いえ…その隣の魔族の国、ワーフォレストになら行った事はありますが」

「どんな国なんですか?」

「…脳筋の国、ですかね。王も地方領主も血筋で選ばれるのではなく、最も強き者が王に。領主も一緒です」

「うわあ…」

実力主義、なんだ。


「そこの王は魔王だけど、人族に喧嘩売ったりはしてないんだろ?」

「そんな事に興味はないでしょうね。あの辺りは魔素も濃く、魔物も強い物が多いです。そこを治めていく力こそが彼らの誇りです」

魔物が強いのか…気をつけよう。


「アルメリア皇国の南端には朱雀様の聖地があります。聖地巡礼をする冒険者もいますが、相当腕が立ち、それこそ何年もかける覚悟が必要ですね」

「ぶ…」

聖地巡礼で別の事を思い出した私は、まだまだ足を洗えていないな。

補助魔法を作って頂いてまでビデオ鑑賞する私だから、無理。


朱雀って鳥だよね。もふもふしてるのだろうか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ