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ダンジョン25階層

レイシアさんに剣術を指導してもらった。

自己流だからどうしても変な癖が残っている。それでも、去年より強くなっていると褒められた。

テッドの暗器もレイシアさんに指導されているからか、使い出して一年。しかも学校では片手剣なのに、上手くなってる。


「ふふふ。久々に本気でやりますか?」

何か変なスイッチが入ったみたいだ。似た形の木剣で、亜空間内の広い所で思い切りやる。

涼しいし、広いし、誰に見られる事もない。


楽しい!学校では手加減を覚えたけど、こうして実力のある人との訓練なんて出来ない。

ウォーターバッファローの一件以来、先生も相手してくれなくなってしまった。

魔法戦でも私の魔法の構築の素早さと強度には誰も勝てない。

ここでも手加減だけど、正直つまらない。収穫があるとすれば、テッドの友達になりたがっているボルドとエリーゼに絡まれなくなった位。


「はあ…これのどこに助けが必要なんだか」

アリエール様に言われた事を気にしているんだろうけど、今は本当に必要ない。

落ち人である事は確かだから、うっかり捕られちゃう事もあるかもしれない。かな?

うっかりはすごくありそうだな。けど、私には頼りになる眷属達がいる。

ムーンの多少人の常識に疎い所も町での生活で改善されたし、それなりに町に溶け込んで生活できていると思う。


ふう…さすがに疲れた。みんなまとめてリフレッシュをかけて、水分補給。

「あー。せめて炭酸が飲みたい」

「ね、重曹ってないのかな?」

「さあ?てか、何に使うんだ?」

「炭酸を作るに決まっているじゃん!酸味のある果物からクエン酸は分離出来ると思うし」

「本当に食べる事に関しては凄いな、お前」

「ふふん。もっと褒めていいんだよ?味噌だって今では私の作った物だし。田舎味噌だけど」

「お祖母ちゃんの知恵袋的な?」

「まあ、作り方はお祖母ちゃんに習ったんだけど、それだけじゃないよ?子供の頃から台所に立っていたから」


「前世の記憶があるというのは不思議な物ですね。テッド様も妙な玩具を作ってましたし」

「玩具では絶対に終わらせないからな!」


どうせなら車の魔道具にすればいいのに。冬は寒いし、雨が降ったら濡れるし、人数も乗れないし。

ただ、それだけの物を動かすにはどれ位魔石が必要になるかも分からないな。バイクにしても。やっぱり魔晶石はあった方がいいよね。

同じ魔物の魔石どうしを使ったとしても、全く同じという事はあり得ない。

それを同化させるんだから、難しくて当たり前。前回のように宝箱をあてにはしない。宝箱なんてそれこそ宝クジ以上にあてにならないし、ならばみんなの魔力タンクとして使えるように作れるようになりたいな。


テッド達は午後も訓練を続けるようなので、私達は、ハイオーガとの戦いに慣れる為に24階層へ。

一撃とは行かないけど、動脈を狙って出血多量にして再生を遅らせているうちにやっつけるという方法が一番いいみたいだ。


ソルレーザーで狙い打ちか、剣先から伸ばしたダークソードで突いておいて、後からとどめを刺す。

オーガのボディスーツは私以外のみんなが着ている。

モコがどうにか着られる位だから、私もあと30センチ位かな。

まあ私には身体に纏わせる結界もあるからいざという時でも安心といえる。


階段を発見したけど、どうしようかな…。ムーンは問題なく戦えている。エメルには守りに専念してもらっているけど、傷を付けられないチャチャは相性が悪い敵だ。

モコには完全にサポートに廻ってもらっている。体格の差なのか、力でもモコは劣る。

「少しだけ覗いてみるか?この階層の探索は仕切れていないが、ユーリは気になるだろう」


まあ、何が出るか確認するだけでもいいし。

階層のアクティベートはしないと勿体ないし。


「おお…」

5、15と特殊な階層だったけど、この階層もそうだ。青空が広がっていて、ワイバーンが悠々と空を飛んでいる。

てことは、ワイバーンて食べられるんだよね!

「一匹だけでも仕留めてみる?」

「勿論!」

けど、属性魔法は効かない。

「ワイバーンは竜程は強くないけど、あの鱗があるから魔法は効きにくいし、物理攻撃も効きにくいわ」

ムーンがスコルに戻って、空に向けてソルレーザーを放つ。

頭を撃ち抜かれたワイバーンが落ちる途中で丸太のような肉の塊に変化した。


「ワイバーンて、美味しいのかな?」

「さあ…?強い魔物は大概美味しいから、多分?」

「丁度いい時間だし、夕御飯にしよう!」


「丸太…じゃなくて肉?」

「25階層、ワイバーンだよ」


まずは端の方を薄く切り、塩だけで焼いてみる。

「美味しい!」


何かと比較も出来ないけど、独特の味がある。それに一見固そうだけど、意外と柔らかい。これは…ローストビーフならぬローストワイバーンにしよう!

「俺も!」

「出来るのを待っていてよ」


燃焼石と魔道具を合わせた独自のロースターに大振りに切ってセットして、ソース作り。

味を決めたらあとはチャチャに任せて、サラダ作る。

「凄いですね。ワイバーンまで出て、それを倒してしまうなんて」

「ムーンのお陰です。魔法は効かないし、飛んでるしで」

「さすがに私もワイバーンと戦った事はありません。事実を知れば、ムーン殿はすぐにでもAランクになれるのでは?というか、ユーリさんもハイオーガと戦ってるのですから、Eランクの実力ではありません」

「実際ユーリはボクより強いんだから、ランクも上げればいいのに」


別に、そういう拘りはないんだけどな。ムーン達とパーティーを組めなくなるのは嫌だけど、それさえなければ目立ちたくないんだから。

「ダンジョンのワイバーンだし、ドロップアイテムが肉では売る事もないしな」

「こんだけ旨い肉なら絶対に売らないな。収納庫もあるし」

「えへへ。確かに。容量はまだまだ余っているし」

「ユーリのそれは、無限収納なんじゃないか?」

「さすがに無限じゃないよ」

それに、身体の大きくなったムーンが食べるんだよね。


自分でも倒せるようになりたいな。




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