ダンジョンはお休み
今日は、各自休みの日だ。私はチャチャと一緒にピザの生地作り。
テッドは、新しい武器で色々やっている。
シーナさんはお菓子作りしているし、エーファさんはトレントの枝を削っている。
エメルは夕べのうちに海に行ってしまったし、ムーンとモコは揃って狩りに出掛けてしまった。
あとは上に乗せる物を用意すればいいだけだし、夏のうちしか採れない昆布を採りに行こうかな。
「チャチャ、私は昆布を採りに行くけど、チャチャは休んでいていいよ?」
「行く。行きたい」
護衛は要らないけど、行きたいと言われると私が拒否できないのが最近分かったみたいで、それで押しきられてしまう。
「チャチャは暇なだけだよ?」
「行きたい」
「分かったよ。じゃあ行こうか」
外に出ると、この暑い中でレイシアさんに教わりながら鋼糸を練習しているテッドがいた。
「亜空間の中でやったら?」
「いえ。安全な場所ではスキルも身に付きませんから。お出掛けですか?」
「昆布を採りに行くんです」
「海?!俺も行きたい!」
「残念でしたー。昆布は淡水で育つんだよ」
「コンブーですか?湖が近くにあるのですか?」
「たくさん採って来るので大丈夫ですよ?聖域から流れる水の湖なので、かなり冷たいですし」
「…分かりました。お気を付けて」
「俺も行きたい!ずるい!」
「そんなに私とかチャチャの裸見たいのー?テッドのスケベ」
「はあ?!み…水着とかは?」
「持ってないもん!じゃあね!」
チャチャは入れないけど、テッドが来るとなるとレイシアさんもついて来るからね。
それに、水着を持ってないのは確かだし。まあ、年齢的には恥ずかしくないのかもしれないけど、微妙かな。
姿が見えなくなってから、チャチャが乗せてくれた。
チャチャも入れれば楽しいんだけど、聖水と同じだから、無理だよね。
そんな貴重な水に入っていいものかとも思うけど、私にしたら昆布も貴重な食料だ。
呼吸補助の魔法で採るのは楽々だし、魔物に荒らされないから、たくさん生えている。
ウエットスーツ、欲しいな。体温が奪われる。
あ、でも結界を体にぴったり纏わせれば寒くないかも?
素肌に纏わせるイメージだと、パンツは濡れちゃうけど、どのみちドライで乾かすから問題ないし。
維持がちょっと難しくなるけど、この方法は慣れれば最強かも!
昆布を採って岸に上がったら、パンツが脱げた。結界のせいで抵抗がなくなるみたいだ。
…え。てことは服も脱げちゃう?
クリーンとドライをかけて纏わせた結界の上から着てみる。
…だめだ。これは使えない。でも昆布を採る時とか、あとは海の中ではいいかもしれない。海の魔物にもやられたりしない!
ダンジョンのシャケもこの方法なら狩れる!やったー!
採ってきた昆布にもドライをかけて、パリッとさせてから収納庫にしまう。
(ユーリ、今はどこにいる?)
聖水を汲んでいたら、ムーンから念話が届いた。
(湖の近くだよ)
(そうか。戻ったらいなかったからな。チャチャと一緒なのか?)
(うん。用事は済んだから帰るよ)
フレッシュチーズとトマト、それとバジルっぽいハーブを見つけたので、マルゲリータのピザと、照り焼きチキンのピザ。それとエメルの採ってきた蟹を乗せたピザも作った。
「うわ、もしかして蟹か?」
「そうだよ。シーナさん達も抵抗がなければどうぞ」
「美味しそう…ね?テッドも食べてるし」
シーナさんは恐々と一口かじった。
「あら!凄く美味しいわ!海の虫だと思っていたけど、意外」
「へえ。亀の従魔がいなければ食べられないのが残念な位、美味しいね」
良かった。好評みたいだ。
「テッドも抵抗なく食べてるって事は、上の世界では食べていたのね?」
「ああ。値段は少し高いから、なかなか食べられなかったけど、大好きだ」
「…うーん?魔物がいないんだから、グリーンジュエルクラブも魔物じゃないのよね?」
「種類はありますけど、蟹です。また今度は違う料理を作ってみますね」
「俺、鍋がいいな。亜空間の中でなら、それも有りだろ?」
むう。確かに。
「でも白菜がないよ?去年のは使い切ったし」
「蟹さえあれば、あとは何でもいいよ!」
「こらテッド!我が儘言わないの!」
「うう…」
「適当にで良ければ作るよ。米と一緒で、久々だもんね」
「やった!」
「で?スキルは取れた?」
「まあ…一応。習熟したとはお世辞にも言えないけど、剣より俺に合ってるかも」
「なら、良かった」
「あ…一応ありがとな。蟹の事も」
「テッド?お礼は大きな声でちゃんと言うのよ?」
「そ!…本当に一応だけど、感謝してるよ!だけど、完全に負けた訳じゃないからな!」
はいはい。
まあ、私も海に潜れそうだし、エメルと一緒に採って来よう。




