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劣等人の魔剣使い スキルボードを駆使して最強に至る(WEB連載版)  作者: 萩鵜アキ
3章 王都ユステルの炎禍

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銀翼騎士団副団長の誇り

 中心部に降り立ったテミスは、壮絶な魔力に足が竦みそうになった。

 この騒動を引き起こした男は間違いなく、尋常成らざる者だ。


 テミスの脳裡には先ほどから、〝悪魔〟の二文字が浮かんで消えない。


 テミスは慎重に抜剣し、構える。


「――お前か?」

「……なに?」


 男の言葉に、テミスは首を傾げた。

 初めて耳にした男の声は、ガラガラにしゃがれていた。


 元からその声だったというより、三日三晩叫び続けた後のような、痛々しい声だった。


「お前が殺したのかぁぁぁ!!」

「――ッ!?」


 突如、男が大声を上げて襲いかかってきた。

 気がつくとテミスの眼前に男がいた。


(速い――ッ!!)


 慌ててテミスは盾を構える。

 男の攻撃に、小盾がギリギリ間に合った。


 次の瞬間。


「――クッ!!」


 まるで巨大な岩がぶつかったかのような衝撃を受け、テミスは後方に吹き飛ばされた。


 盾で素直に攻撃を受けると、体が容易く破壊される。

 盾は攻撃を受けるためではなく、あくまで安全に受け流すための防具なのだ。


 テミスは日頃の訓練で向上させた盾スキルを用い、男の攻撃を受け流した。

 それでも、男の攻撃はテミスが後方に吹き飛ばすほどの威力があった。


(くっ……。いまので、腕がいったか……)


 左前腕が鈍く痛む。

 どうやら攻撃を流し切れずに、骨が折れてしまったようだ。


(これは、様子見さえさせてもらえないな……)


 実力差があまりに開きすぎている。

 テミスでは相手を無力化するどころか、傷を付けることさえ出来ないに違いない。

 この場にいても、攻撃も防御も通じないテミスは、ただのお荷物だ。


 テミスは僅かに苦笑を浮かべる。

 骨折の痛みに耐えながら、テミスは小盾を構えた。


 テミスの任務は、王都ユステルを守護すること。

 銀翼騎士団は、民衆の盾である。


 故に、テミスは覚悟を決めた。

 自らが、〝盾〟となる覚悟を。


「みんな、ぶっ殺してやる!!」

「宝具解放――《理不尽な死への飽くなき叛逆(マイト・リベルタ)》」


 男の攻撃が届く、その前に。

 テミスの小盾が淡く発光した。


 魔力を伴う光が盾から、テミスの体全体に広がった。


 次の瞬間、


 ――ィィィイイン!!


 男の拳を、テミスの盾が完全に抑え込んだ。


「――!?」


 先ほどは一撃で吹き飛んだテミスが、今度は僅かに足を滑らせるに留まった。

 この変化に驚いたか。男は目を見開き、間合いを取った。


「ふむ。腕の一本ならこれくらいか」


 テミスは冷静に分析する。


 テミスが行ったのは、代々受け継いできた家宝『叛逆の小盾』。

 その権能マイツ・リベルタの解放だ。


 叛逆の小盾は、70年ほど前にユステル王国で討伐された悪魔から取り出した宝具である。

 悪魔討伐に大きく貢献したマイツタフ家が、この小盾を国王より下賜された。


 そこからマイツタフ家は、この宝具を代々受け継いできた。


 27歳という若さで銀翼騎士団の副団長を勤め上げているのは、もちろんテミスの能力が高いためだが、この宝具によるところが大きい。


 権能マイツ・リベルタを解放した叛逆の小盾は、半径50mの範囲に脱出不可能の結界を展開する。

 さらに使用者がダメージを負えば、そのダメージの分だけ使用者の防御力が底上げされる。


 攻撃を受ければ受けるほど使用者は硬くなり、ついには決して傷が付けられなくなる。


 このような権能を持つ叛逆の小盾は、民衆を守る盾たる銀翼騎士団に、もっとも適した宝具だった。


 無論、これほどの力は、代償なく使用出来るものではない。

《マイツ・リベルタ》を展開した瞬間から、テミスは小盾に己の寿命を吸われ続けている。


(普通に暮らせば、50か60か……。何歳まで生きられただろう)


 己が生きるはずだった未来を想像し、すぐに現実に戻る。

 今がなければ、未来は来ないのだ。


(この男をどうにかするほうが大切だ!)


 テミスがじりっと、少しずつ男に近づいていく。

 男はテミスが組みしにくいと踏んだか。素早い動きでテミスから遠ざかる。


 しかし、


「ぐっ!?」


 宝具により展開された結界が、男の逃亡を阻止する。

 男は結界を殴る。だが、結界はびくともしない。


「諦めなさい。あなたはここから逃げられない。あなたは、ここで死ぬのです。結界の毒によって、ね」

「黙れっ!」


 男が焦ったように声を張り上げた。


 実際、男が王都に踏み込んだ時点で、ユステル王都全体に張り巡らされた結界の影響を受けている。

 弱い魔物の魔石には反応しないが、この男ほどの実力者であれば、結界は決して見逃さない。


 目には見えないがジワジワと、男が持つ魔石を結界の毒が浸食している。


 いずれ、男の魔石は毒によって砕け散る。

 それはユステル王都に踏み入った時点で、確定した未来だった。


 問題は、男の魔石が砕けるまで、テミスの寿命が持つかどうかである。

 それともう一つ――。


(もしこの男に魔石がなかったら……)


「う、おぉぉぉ!!」


 テミスの不安を余所に、男が裂帛の声とともに殴りかかってきた。


 先ほどの攻撃とは違い、一撃一撃が重い。

 一発に込められた殺意もまるで違う。

 男の本気の攻撃だ。


 結界毒についてチラつかせた途端に、男は余裕を失った。

 これにより、テミスは確信する。


(よし……。この男、体に魔石を宿している!)


 体内に魔石があるのなら、テミスがやるべきは耐え抜くことだ。


 しかし、男からの攻撃を、テミスはまったく対処出来なかった。

 あまりに攻撃が素早すぎて、軌道を読むことさえ出来ないのだ。


 レベル、ステータス、スキル。

 すべてにおいて、男が圧倒している。


 だが1撃、また1撃と、攻撃を受ける度に、だんだんと痛みが少なくなっていく。

 宝具によってテミスの防御力が、恐るべき速度で底上げされているのだ。


「な……なんなんだ、お前は……!?」

「オレの名は、銀翼騎士団副団長、テミス・マイツタフ。国王に代りて民を守護し、悪を誅す者なり! 大人しく、オレの剣のサビとなれ!!」

1話分抜けてましたので、連投。

大変申し訳ありませんでしたm(_ _)m

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新作「『√悪役貴族 処刑回避から始まる覇王道』 を宜しくお願いいたします!
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