表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
劣等人の魔剣使い スキルボードを駆使して最強に至る(WEB連載版)  作者: 萩鵜アキ
4章 神代戦争、再び

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

139/141

合わせ技

 エステルが自分に攻撃してきた。予想だにしない出来事に、透の頭が真っ白になった。

 状況から、薄々なにが起こっているのかは予想出来た。先程倒したと思っていたアミィが、エステルに乗り移ったのだ。


 いまのエステルは、エステルではない。アミィだ。ならば、【魔剣】で攻撃すればいい。そうすれば、アミィを浄化出来る。

 透は【魔剣】を握る手に力を込める。


 だが、体が動かない。


 当たり前だ。エステルは大切な仲間だ。この世界に来て、右も左もわからない透を、優しく導いてくれた恩人だ。


(その恩人を相手に、【魔剣】で斬りつける?)


 そんなこと、出来るはずがない。たとえ【魔剣】が肉体を傷つけないとわかっていても、透はエステルが斬れない。


 このまままごついていれば、アミィに逃げられる。そうして再び、想像も付かない恐ろしい事件を起こすかもしれない。今度はエステルの姿で……。


(どうする? どうすればいい!?)


 良い手が思い浮かばない。

 そんな中、


「トール!」

「……っ!」


 リリィを見た透は、はっと息をのんだ。その小さな体には、莫大なマナが渦巻いていた。それも、透ですら息苦しさを感じるほどの圧を感じる。

 透は即座にリリィの下に移動した。


「トール。わたしの肩に手を置いて」

「はい」

「これから、新しい魔術を使う。一度も試したことがない魔術。もしかしたら、失敗するかも……。けど、成功したら、エステルが助かる。……どうする?」

「――やりましょう!」


 透は間髪入れずに頷いた。


「この魔術は、魂の浄化に特化してる。魔術を放つと、相手が自然な状態に戻る。ただし、すごく難しい。コントロールに協力して」

「はい!」


 リリィの体に渦巻くマナを、触れた手のひらで感じ取る。

 かなり前から、ひたすらマナを練り上げていたのだろう。彼女の小さな体に渦巻くマナは、レベルを上げ、スキルを上げた透でも息をのむほど膨大だった。


 そのマナが、少しずつ組み上がっていく。まるで三次元パズルだ。


 捻じれて回って重なって……。


 複雑なマナの動きを、透がサポートする。このような経験は一度もないが、高いレベルのスキルが透の意志をフォローしてくれた。

 組み上がったマナが一定量に達した時、リリィが口を開いた。


「天に告ぐ――。我焦れるは消滅への力。

 魔を借りて魔を正し、正を()りて悪を滅する力なり。

 還れ、自然に……虚構なる命よ」




 それはリリィにとって、自分の人生をかけた魔術だった。

 また仲間が出来た時、同じ過ちを繰り返さないように。

 再び目の前に仲間の仇が現れたときに、確実に滅ぼせるように。


 そして――同じ悲しみを、もう二度と味わわないように!


 宝具により封印さた魔術スキルは、アミィがルカの体を離れた瞬間に解放された。いまなら先ほどのように、魔術が不発に終わる可能性はない。


 体内で練り上げた魔術を外側に展開しようとした時、体に膨大な負荷がかかった。


「――くっ!」


 リリィの小さな体には重すぎる負担だ。だがそれはすぐに、軽くなった。トールが重みを、肩代わりしてくれているのだ。


 咄嗟に肩代わりするなど、とてつもない技術だ。だが、トールはそれを難なくやってのけた。それほどの才が、彼にはあるのだ。


(さすがトール)


 そんな彼がいれば、この魔術は絶対に失敗しない。 


(ともに征こう、魔術の最奥へ)


 胸の奥から湧いてくる、温かい信頼とともに、リリィは高らかに最後のワードを口にした。


「――《滅罪の聖光(エクスペイション・ホーリィ)》!」


 頭上に白い光が出現。

 その光がゆっくりと落下し、エステルを包み込んだ。


《滅罪の聖光》は光属性の魔術だ。光属性は、神の力を借りて発動する〈法術〉に近い。その属性の最上級魔術なら、悪しき魂も祓うことが出来る。


 ただし、これを扱うにはリリィの力では不足していた。それくらい、編み出した魔術は高等すぎた。


 故に、リリィはトールに助力を乞うた。すべての神に愛された彼がいれば、神にも等しい技術を要するこの魔術とて、成功するだろうと踏んで……。


 エステルを包んだ光は、収まるどころかより一層強さを増した。腕を翳すだけでは足りなくなり、リリィは顔をそむけた。


 隣にいるトールをちらり見ると、彼は光の中心を直視していた。


(目が焼ける!)


 ドキッとするが、すぐに彼の目を覆っているものに気がついた。トールの眼前に、《ブラインド》が展開されていた。それも、視界を奪うものではなく、光を適度に妨げる程度に薄く引き伸ばされている。


(なるほど……巧い)

《ブラインド》で光を減衰させつつ、何が起こっているのか観察するとは、よく考えられた技である。


 ――にしても、随分手慣れている。


 魔術が発動した瞬間に、適度に調整した《ブラインド》を展開するなど、平時から練習していたとしか思えない。


(……反射神経と技術力の無駄遣い)


 リリィはそう評しつつも、トールのマネをして目の前に《ブラインド》を展開するのだった。


ブラインド・サングラス。

懐かしの技を出してみました。

(なんのことかわからない方は、もう一度本作を読み返してみてください)


劣等人の魔剣使い 小説4巻

何卒、ご購入宜しくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作「『√悪役貴族 処刑回避から始まる覇王道』 を宜しくお願いいたします!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ