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劣等人の魔剣使い スキルボードを駆使して最強に至る(WEB連載版)  作者: 萩鵜アキ
4章 神代戦争、再び

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立場逆転

「グラーフくん!」

「了解!」


 リリィの異変に気づき、アロンとグラーフが即座に動き出した。

 アロンは全力でアミィに斬りかかる。たとえ四肢を切り落としたとて、命さえ無事であれば良い。

 なんとしてでも、生きたまま罪を償わせる。


 アロンが振り下ろした剣が、アミィの腕を切り落とす。そのアミィの顔面を、グラーフが鉄拳で殴りつけた。


 ――ドッ!


 グラーフの攻撃が、空気を震わせた。

 遅れてアミィの体が中を舞う。

 空中で三度、回転して落下。


 さらに五度、地面を転がり停止した。


「グラーフくん……殺してないよね?」

「う……た、たぶん」


 すべての元凶に対して思うところがあったからか、少々やり過ぎてしまったようだ。

 アロンに立場がなければ、彼と同じようにやり過ぎていたかもしれない。いまだって、怒りにまかせて切り刻みたい。しかし、犯人が死亡しては事件の解明ができない。


 単独で行ったのか、後ろに組織があるのか、何故フィンリスを破壊しようとしたのか。聞かなければならないことは山程ある。


「回復法術が使える者を探してきます。グラーフくんは監視をお願いします」

「す、すみません。了解です」


 アロンが踵を返した、その時だった。


「いやぁ、酷いですねー。可憐な女性に、おじさん二人が寄ってたかって乱暴を働くなんてー」


 先程とまったく変わらない緊張感のない声に、アロンの背筋がぞっとした。

 アロンはアミィの腕を落とした。グラーフは顔面を全力で殴りつけた。人間にとっても魔物にとっても、与えたダメージは致命的だ。なのに、アミィの声は、これまでと変わらなかった。


 恐る恐る、アロンは後ろを振り返る。


「……なっ!?」


 振り返ると、先程とまったく変わらないアミィがそこにいた。切り落とした腕も、殴りつけた顔面も、傷一つない。


「回復術……まさかっ!」


 アロンははっとした。

 血塗れのルカは、回復術が使える冒険者だった。当然、切り落とされた腕をくっつけられるだけの高位術も使用出来た。


 つまりアミィはルカの能力を使い、自らを完全治癒させたのだ。


(しかし、そう何度も使える法術じゃないはず)


 高位の回復術は、四肢切断を元通りに出来るが、その分使用する魔力が膨大だ。常人ならば二度、三度使えば魔力が枯渇する。


(このまま攻撃を続ければ勝機が見える)


 大丈夫。このまま続けよう。アロンがグラーフに目で合図した。

 呼吸を合わせ、二人同時に飛びかかる。アロンは剣を振り上げ、アミィに切りかかった。


「しっ!!」

「おっと!」


 攻撃が、今度はギリギリ躱された。しかしすぐに、脇腹を狙って剣を振るう。

 その時だった。


「――なっ!?」


 斬り返そうとした時、剣が手からすっぽ抜けた。

 最低の失敗だ。元Aランク冒険者として、ありえない。まるで剣術初心者のようなミスに、アロンは呆然とした。その隙に、アミィが反撃。


「先程のお返しですよー」

「――グッ!!」


 細剣がアロンの肩に迫る。

 即座にバックステップ。

 細剣の先端が僅かに肩に刺さったが、幸い貫かれることはなかった。


「ありゃー、完全に入ったと思ったんですけどー。私の細剣スキル、低すぎー?」

「――っらぁッ!!」


 細剣を振り抜いた態勢で止まっていたアミィの背後から、グラーフが殴りかかった。

 その拳が、


「遅いですねー。あくびが出ますよー」

「なっ!?」


 アミィの手により止められた。グラーフの顔に驚愕が浮かぶ。


「はいー、お返しですよー」

「ガハッ!!」


 アミィが回し蹴り。後方に飛ばされた。

 グラーフは、無事だ。蹴りの反動で飛ばされはしたが、すぐに体勢を整えた。


 先程、アロンたちはアミィを完全に圧倒していた。にも拘らず、今回は逆に圧倒されている。


(もしかして、実力を隠していたんですか?)


 可能性を少し考えて、否定した。アミィの動きは、先程となんら変わらない。素早くなったわけでもなければ、力が増加したわけでもない。


 アロンはぎりぎりアミィの攻撃を躱したし、攻撃をもろに受けたグラーフも、さしたるダメージを負ってはいない。もし二人を圧倒出来る力を得たのなら、アロンたちの被害がこれだけで済むはずがない。


(一体、なにがどうなっているんだ?)


 アロンは必死に頭を働かせる。しかし、答えが出るまで、アミィは待ってはくれなかった。


「さてさてー。〝彼〟が戻るまで、〈細剣〉のスキル上げに少し付き合って頂きますねー」

「……彼?」

「行きますよー」


 アロンの疑問に答えず、アミィが細剣を振りかぶった。

劣等人の魔剣使い 小説4巻

12月上旬発売予定

何卒、宜しくお願いいたします!

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新作「『√悪役貴族 処刑回避から始まる覇王道』 を宜しくお願いいたします!
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