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気が付けばエルフ  作者: 味醂
第三章 薄亜麻色の地精霊
87/144

地母神の愛

こんにちは。

味醂です。


気が付けばエルフ 第87話『地母神の愛』公開です。

全般的に少々セクシャルな要素が強いお話ですので、◆ ◇ ◆以下およそ2300文字はお好みでどうぞ。


それではごゆっくりお楽しみください。

 地母神の愛



「旦那様ぁ。店舗の戸締りは終わりましたよぉ?」


「終わりましたか。すっかり店の手伝いまでさせてしまい、すみませんね」


「別にぃ、いいですよぉ? 旦那様のお宅では、子守があるわけでもないですしぃ。毎晩美味しいものもいただいておりますからぁ」


「この先のために、しっかりと栄養を取る必要があるでしょう、食事ぐらいは奮発しますよ」


「ありがとうございます。あぁ、忘れてましたぁ。封書がとどいておりますよぉ?」


 妙に間延びした話し方をする目の前の女性から封書を受け取りながらも、男の視線はその女性の身体から離れなかった。

 これは久しぶりに上玉のノームを囲えたと、この娘を囲ってからこのかた数日、男の機嫌はうなぎ上りに上昇していた。

 傾向的に、若いノームほどその言葉は間延びする傾向が強い。

 必ずそういう訳でもないのだが、間違いなくその傾向はあるのだった。

 目の前のノームは初めての繁殖期を迎えたことを数日前に確認していた男は、この目の前のノームも間違いなく若いノームなのだろう。


 毎年夏の終わりと共に臨時雇いの従業員を解雇して、繁殖期に入るノームを囲うのが男の年中行事の一つだった。

 男は妻を娶ることもせず、随分と長い時間を過ごしてきたが、この地に拠点を構えることが出来たのが、男が最も上手くやったと思う事の一つであった。


 なにしろ溜まりに溜まった劣情を遺憾なく吐き出すことが出来、給料の要らない従業員として店の手伝いをさせることも出来るのだ。

 見事に命中すれば彼女たちは喜んで、夏の初めには、大きく育った娘を連れて、後腐れなく店を出ていくのだから。


 散々妻を娶れと言っていた同業者は、その妻に財産を持ち逃げされて、今や鉱山夫として日々肉体に鞭打つ生活をしている。


 結婚だなんて面倒だ。

 男の興味は既に金にしかなく、それも自分が存分に使えれば、後の事は知ったことではなかった。

 自分が死んだ後の事なんか、気にしてたまるか。それがその男の矜持であったのだから。

 宝石商に寄ってくる金食い虫の妻などは、男の矜持から最も離れた存在でしかなかった。



「それでは夕食の支度をお願いしましょうか? 私は封書を読んでからいきますので」


「ではいつも通りにぃ、精のつくものをおつくりしますねぇ」


 そういって豊かな胸部を弾ませながら居住スペースへと上がる彼女を見送って、男は封書を開き、内容に目を通す。


「なんとなんと、サイダで結納の儀に使う品ですか。これは準備をしなくてはなりませんねぇ。」


 男は誰もいない室内で一人呟いて、囲ったノームも連れて行こうかと計画を練るのだった。




 ◇ ◇ ◇



 執務机に座る当主を前に、青年は静かに父親である当主の言葉を聞いていた。


「――では、先方からは了承が得られたのですか?」


「うむ、本来であればお前には、もっと上位の家の娘をと考えていたのだがな」


「父上、そのことについてはいつも申しておりますように、私は別に貴族でなくとも構わないくらいなのです」


「わかっておる。それにおまえももういい歳だ。たとえ町娘だろうと、お前が見初めたものを連れてくるのならば、儂もあやつも文句など言わなかっただろうが、お前ときたらちっともそんな素振りも見せもせず、街ではお前が或いは男色なのではないか? なんて噂まで立っておったことがあるというのに」


「それはまあ、存じておりますが」


「お前はこの話、不服か? 構わぬから正直に申してみよ」


「いえ、噂ではなかなかの才女だというお話ですし、以前に一度だけシリウスでお会いしたことがあります。なによりこちらに居を構えたいという話は先方からあったのでしたよね?」


「うむ。ご息女の出した条件が、この居城に住むという事だからな。なに、心配するな。お前がもう少し領地を運営できるようになれば、儂は隠居してミントと共に王都かシリウスにでも行くつもりだ。若い二人を邪魔するほど、野暮でないでな」


「べつにそこまでは申しておりません。しかし、結納ですか?」


「うむ。年齢がもっといっておればすぐにでも婚礼の儀を執り行いたかったが、成人は来年とのこと。慣例にしたがって結納の儀を行う」


「わかりました。結納の品は如何しましょう? 情けない話ですが、女性がどの様なものを送られたら嬉しいかなど、わたくしにはトンと見当もつきませんが?」


「それについては案ずるな。既に手は打ってある。近いうちに宝石商が来る手筈になっておるから、相応しい品を選ぶがよい。なにも一つに絞ることもない、いくつか買い付け、その中から選ぶかよかろう」


「ご配慮痛み入ります」


「なに、構わんさ。それはそうとしっかりとリードして、励むのだ。結納期間に子を授かれれば大いに繁栄するというからな」


「その、善処、しますが……そればかりはお約束致しかねます」


「うむ、では行くがよい」


 その言葉に一礼し、用の無くなった当主の執務室を後にする。

 退室の際、扉を開いてくれたソルティに


「すまない、いつも父が世話をかけるね。それでもどうか父の事をよろしく頼むよ」


 と声をかけると、深々と頭を下げて応えてくれるのだった。


 それにしても結納の儀か、と内心であれこれと考えつつ、青年――ハッカー・フレバー子爵公子は自室へと戻るのだった。




 ◆ ◇ ◆






























 風通しの良いベランダの、一角に作られた浴室は展望風呂となっており、あれだけ雑多だった街並も、今はその姿を星へと変えて、新調されたばかりの檜の浴槽に張られた湯には、降り積もる雪の様に、湯の華が舞っていた。

 手桶に取る度に、たゆたうそれは、そこに引かれているのが、天然の温泉であることを窺わせるように、肌を刺すことなく、じんわりとその柔らかさを伝えていた。


 リーリカと二人、身を清め、清められてはのんびりと浸かる湯舟は、昼間の茹で上がるほどの暑さをすっかりと忘れさせるほどに心地よく、天にも昇るほどだった。


「くぅ~、やっぱり温泉は格別よねぇ?」


「エリス様、それは解りますが……その上げた足を降ろしてください。折角の気品が台無しですよ?」


 深く浸かるようにもたれかかり、むくんだ両足を湯船から突き上げるようにして、少しでもリンパの流れを良くしようとしていると、さすがにはしたないとリーリカに咎められてしまった。


 ――流石にV字開脚は、はしたなかったかも?なんて思いつつも


「平気よ、私とリーリカしかいないもの。」


 なんて言ってみる。

 そしてリーリカの方へ向けていた視線を正面に戻したとき――


「まぁ、とても仲がよろしくていらっしゃるのですね」


 という言葉に私はそのまま凍り付いた。


「すみません、お声を掛けたのですが――その、二人の世界に浸かっていたようでしたので、そのまま失礼しました」


 なんて続けるメーテルさんは頬を赤らめながらもその視線は私の中心を捉えて離さなかった。


 ――嘘だ!声を掛けたなんて絶対嘘だぁあ!


 空しく響く心の絶叫に、危うく水底に沈んでしまいそうなとこを慌ててリーリカに支えられ、なんとか気を取り直し極力冷静さを保ちつつメーテルさんに問いかけた。


「あの、どうしたんですか?」


「いえ、ここの温泉は長く入ると、非常に喉が渇きますので、お飲み物でも如何かなと思いまして」


 確かに言われてみれば、随分と喉の渇きを覚えているような気がする。


「だって。リーリカどうする?」


「そうですね、ではいただきましょうか」


「そうね、では私も頂くわ」


「冷やしたものと、暖かいものどちらがよいですか?」


「それでは私は冷たいものをお願いします。エリス様はどうされますか?」


「私は温かいのがいいかしら?」


 そう答えると、メーテルさんはニッコリと微笑んで


「ではすぐに御用意いたしますね」


 と戻っていった。

 ほどなくして彼女はお盆にグラスを乗せて戻ってくると、それをリーリカに手渡した。


「あ、ありがとうございます。でもエリス様の分は?」


「御心配なさらなくても大丈夫ですよ?」


「うん、リーリカ先に飲んでていいわよ?」


 勧める声にリーリカはグラスに一口飲むと――


「うわ、とても美味しいですね、これ」


 と目を丸くして驚いた。


「では、失礼して……エリス様もどうぞ?」


 メーテルさんのその言葉に、私とリーリカは言葉を失いながら――彼女の行動を凝視するしか出来なかった。


 突如ブラウスに手をかけて、キュウキュウと引っ張られるボタンを外していくと、零れ落ちたのは大きな大きな桃だった。

 ほんの少し瞳を潤ませ


「その、優しく、してくださいね?」


 と口にする彼女は、私の横に膝をつき、その大きな桃を自らの手で支えると、私の前に差し出してきたのだ。


「こ、これは?」


「あ、きちんと綺麗にしてきましたから、大丈夫ですよ?」


「あ、いや、そういう事じゃなくて――これはつまり?」


「はい、リーリカお嬢様も今飲まれていらっしゃいます」


「もしかしてリーリカの飲んでるのって?」


「えぇ、お恥ずかしながら、私の乳を搾ったものを冷やしたものです。でも、ここ一帯では、とても高価なものなのですよ?」


 そんな言葉に冷や汗をかきながら、リーリカの方を窺うと、驚いたには驚いたものの、改めてその匂いを嗅いだり、口に含んで味わったりと、なにやらしきりに頷いていた。


 ――あれ? なんだか想像した行動と違うなぁなんて思いつつ、念の為に確認する。


「その、温かいの(、、、、)というと……」


「はい、ですからエリス様には、そのまま――どうかお気になさらず一思いに――」


 えぇええええ!?

 と叫んでしまいたいところを、それは失礼だろうと、なんとか抑え、恐る恐ると大きな白い桃を手に取って――


「あうんっ……いえ、失礼しました。お気になさらずどうぞ」


 いやいやいや、それ、めっちゃ気になるから!

 とか叫びたさをなんとか堪え、ええい、こうなったら覚悟を決めた! とばかりに、そっとその先端を口に含んだ。


「はぁっ、エリス様お上手、です」


 視界いっぱいに広がる桃に、その金の瞳に恐らく渦巻きマークをつけながら、私は灼けた意識半分で、ゆっくりとまだ柔らかいそれに舌を絡ませ、吸い付いた。


 ――次の瞬間


 突如と広がる濃厚な香りと、程よい甘さのその蜜は。

 まさに人肌に温められているそれは、するりと喉に流れ落ち、早く次を次をと湧き上がる渇望に支配され、貪るように吸い付いてしまっていた。

 無意識のうちに手が舌が、そして唇が、その瑞々しい桃からネクタルを吸い尽くす様に蠢いていく。


 ああ、ダメ。これ変になる――

 重なる声と心の声が、更なる渇望を生み、やがてその光景を、ぼーっと見ていたリーリカまでもが、ふらふらと吸い寄せられて――


「さ、さぁ、リーリ、カお嬢、様も遠慮なさら、ず……」


 その声に、ついにリーリカも灼き切れた。

 二人並んで吸い付かれているメーテルさんは、果実を支えていた手を私たちに任し、恍惚とした表情で優しく私達の頭を撫でて――


「お嬢様方、お気の済むまで、たんと渇きを潤してくださいね」


 と、まるで地母神が降臨したかの如く、慈愛を振りまくメーテルさんと、赤子のように退行する私とリーリカ。


 ――地精霊(デメーテルの子)恐るべし。



こんにちは。

味醂です。


気が付けばエルフ 第87話をお読みいただきありがとうございます。


敢えて多くは語りませんが、地精霊ノームはこの世界での地母神デメーテルの無限の母性を強く引く種族です。基礎寿命は比較的長命ですが、人間などと大差ありません。

成長速度は非常に早いです。

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