表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気が付けばエルフ  作者: 味醂
第二章 消えた常闇の巫女
67/144

受難の黒猫

こんにちは。

味醂です。


お待たせしました。

気が付けばエルフ 第67話 公開です。

お楽しみください。

 受難の黒猫




『奴隷落ち』先程国王から聞いたその言葉に改めて、これまで暮らしてきた世界との差に多少なりとも衝撃を受け、その反面そのことに対してすんなりと受け入れてる自分のその感性の変化こそに多大な衝撃をうけるという二重のショックを受けた。

 ダブルショックだのデュアルだの……なんだかそんな商標がかつての世界にあった気もしないではなかったものの、脈絡もなくボケたくなるほどにはショックだったという事なのだけど。


 流れゆく時は殊更早く、まさに光陰矢の如し。もうじきふた月ほどになろうかというこの世界の生活も、共に歩く者がいるからこそ受容れてゆくことが出来るのだと、私は並び歩く少女――リーリカによって痛感していた。


 大分伸びたその黒髪も「エリス様の様に少し伸ばしてみましょうか?」等と言うあたり、出会った頃の自虐的なまでのそのコンプレックスを感じる場面は大きく減って、代わりに自身の在り方そのものを、なんとか肯定してみようというささやかな努力こそ、次第にその回数を増やしていたのだった。


 これは良い傾向よね?


 歩んだ道の険しさに、その在り方を停滞させたリーリカは、私より4年ほど長いその人生の中で、本心という自我の成長すらも止めてしまったのかも知れない。

 それが再び動き出したことで、やや退行した感はあるものの、以前よりは確実にその感情を表に出す様になってきていることが、何よりその裏付けであることを私は心の底から願って止まなかった。



「ねえ、リーリカ?」


「なんでしょう?エリス様。」


「ううん、ちょっと呼んでみたくなっただけ。」


「エリス様は時折良く判らない事をなさいますね。いえ、それが嫌とかそういう訳ではないのですが……」


 そう、こんな他愛もない会話の中にもそれは顕著に顔を出し、そうして首を傾げながらも慌ててフォローするときの、僅かな表情こそ最大の変化なのだった。




 王城の回廊を歩きながら、お嬢様生活どころかほとんどお姫様扱いの生活に慣れ親しんでるわたしこそ、或いは停滞してしまっているのではないかという錯覚すら感じる訳で、時折こっそり確認するステータスでも見ていなければ、自分の変化には全く気が付かないのではないかと思うほどだった。




 名前:エリス・ラスティ・ブルーノート

 年齢:17歳(エルフ族)

 職業:モデル・エルヴンソーサラー

 レベル:14(次のレベルまで108/1920)

 HP:2272/2272

 MP:1859/1859

 体力:1033

 知力:3615

 気力:1549/1549

 腕力:620

 俊敏:1239

 魔力:2066


 スキル:魔導の心得

 :トランスキャスト

 :鑑定3

 :短剣の心得

 :短杖の心得

 :クリエイティブ・マジック

 :チャネリング(ユニークスキル)

 :運命の環 (ユニークスキル・パッシブ)

 :ステータス(冒険者章エンチャントスキル)


 これが私の今のステータス。

 とうとうめでたく?モデルにクラスチェンジしていた私は、それまであった魔法の羅列が無くなっていることについ先日気が付いたのだ。


 というか、そもそもこの世界のステータスって、なんだか随分オカシクナイ?


 ステータスについては実はあまり詳しくは判っていないようで、ましてレベルも上がらないうちに日々その数値やスキルが変化するなんて、オカシイとサラは言っていた。

 いつのまにか大幅に上がっていたレベルについてはリーリカが説明してくれたものの、一体あの時『ブラッドフライ』は一体何匹いたのやら。

 物理的実入りのない割には危険度が高く、事実リーリカやアリシアさんはその時死をも覚悟したのだという。


 ちなみに魔法といえば、それとなく納得はいくとこで、これまでにも魔法の効果をうまくイメージできたなら、その発現を可能としていただけに、むしろ未だに正しい詠唱を知らないという事の方が私には不可解なくらいだった。

 効果不明だったチェネリングについても、おそらく私の見る夢に関連しているのではないかという推測は既に立っており、ただその発動条件は今一つ把握ができないでいる。


 こう、見たいときにその夢が見れるなら、もっと情報を引き出せるというのになぁ。

 一番の謎と言えば、腕力や俊敏の値は、その数値に正比例しないという事で、たとえば腕力10の人が腕力20になれば倍の重さのものを持てるかといえば、そうでもないのだった。


 とはいうものの、その気になれば私やリーリカはお互いをお姫様抱っこで抱えて移動するなんてことは何てことなく出来る訳で、かつてのイメージと今の能力のギャップに違和感を感じる事も多かった。


 リーリカに言わせれば既にステータス上は中堅冒険者のソレと遜色ない数値ということだったけど、二か月程度の経験では一端の冒険者とはお世辞にも言えないのだけど。




 ◇ ◇ ◇


「それで、ミーシャちゃん。は今後どうしたいのかしら?」


「うーん。なの。」


 晴れて嫌疑が晴れた彼女にその報告をしたとこで、私達は彼女の意志を確認した。

 聞けば彼女はほとんどと馬による哨戒任務や輸送依頼をこなしていたそうで、実際の戦闘はあまり得意ではないとのこと。

 ただ、一族の掟に一定の年齢になった一定の力を有する者は、里を出て自立して暮らしていかないとダメなのだという。

 それに従い冒険者にはなったものの、それが彼女にとってあまり向いてないという事は、彼女自身が最も自覚していたようだ。


「もしよければ、私とリーリカと一緒に来ない? 専属の御者として。勿論お給料も出すわよ?」


「折角良い馬を戴きましたし馬車もありますから、御者猫一匹くらい雇っていてもおかしい事ではないですね。」


 なんて言う私達の提案に、彼女はそのシッポをピンと立てると大きく揺らし


「その、いいのか……にゃ?」


 なんて指示もしていない語尾までつけて返事をしたのだった。


 どうせだからそれはもうデフォルトにしてもらおう。うん、そうしよう。


 私の心の声はさておいて、こうして猫人のミーシャは晴れて私たちの専属御者となったのだった。





 ――――――そうとなれば。



「まずはミーシャちゃんに似合う服を作らないとね。」


「まずはエリス様の従者として相応しい身なりを整えてもらいましょう。」


 という重なる声に、私はリーリカの意見を尊重し



「アリシアさん達に――()()()()()()()()()()があるんです」


 部屋に控えるアリシアさんは、私のその言葉に目を輝かせ


「そのお言葉をお待ちしておりました、なんなりとわたくしめにお申し付けください。」


 と、深々と頭を下げるのだった。



 その後私がお願いをヒソヒソとアリシアさんに告げて、待つこと1時間ほど。

 とある部屋に移動した私たちは――


「皆さんのその技術の全てを費やして、どうかこの子を隅々まで綺麗に洗って欲しいの!」


 と私が懇願すると


「「「「「「お任せくださいませ!エリスお嬢様」」」」」」


 と居並ぶ湯殿のメイド隊はその可愛らしい声を一つにし、一方あまり入浴が好きではないミーシャに至っては、これから始まる試練に慄いていた。


 そしてたっぷりと1時間ほどの間、迫りくる多くの手に翻弄させて、その多感な猫人の少女は何度も何度も身体を打ち震わせて、遂には試練を乗り越えたのだった。



「も、もう立てにゃいの……」


 私の私室に戻るや否や、そう言って寝台に五体投地とばかりに身を投げ出したミーシャは全身ほんわかと良い香りを纏い、真新しい下着を着けてあっという間にぐっすりと寝入ってしまったのだった。




こんにちは。

味醂です。


気が付けばエルフ 第67話をお読みいただきました皆様には尽きぬ感謝を。

ご支援頂いております方々にもこの場をお借りしてお礼申し上げます。

有難うございます。


次回より本編は2章最後のエピソードへと入ります。

残り数話となりましたが今後ともよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ