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気が付けばエルフ  作者: 味醂
第二章 消えた常闇の巫女
39/144

正義それは

こんにちは。

味醂です。


気が付けばエルフ 第39話公開いたします。


ごゆっくりお楽しみください。

 正義それは



 王都へのドレスの配達をすることとなった私とリーリカ。

 そのためにこの二日は、追加で冒険者を雇ったり、馬車を買ったりと準備に追われる忙しい二日間だった。


 集まるか心配してた二組の冒険者も、夕方には無事見つかったこともあって、今朝方待ち合わせの下層区のゲート横に行くと、すべての準備が整った。


 お店からドレスを積んできた荷車から王都へと向かう馬車へと荷物を積み込んで、防水性の高い厚手のシートで覆う。

 狭いながらも急遽手直ししてもらった半客車部分には私とリーリカが座り、荷台の空いたスペースにはスーさんが座っている。


 スーさんの旦那さんだというシバールさんは自分の愛馬に跨り随行。

 そして、御者台には昨日の夕方に名乗りを上げたミーシャが座っていた。


 馬車を引くのはミーシャが連れていた馬で、非常に賢い馬だった。


「それじゃあエリスちゃん、お願いね。納品書と箱には同じ番号振ってあるから、誰に届ければいいのかもわかる筈よ。」


 そういってベロニカさんは納品書などの書類が詰まった書類を革のカバンごと私に渡してくれた。


 多少の予定の変更はあったものの、こうして私たち5人は城塞都市シリウスから王都リオンへと旅立ったのだ。




 こちらの世界にきてからこのかた、移動といえば延々と徒歩だった私たち。

 ぶっちゃけ前の世界ではほとんどバスなり電車なり、せいぜい自転車で移動するくらいだったので、1日のうちで歩くといえば、駅から学校までの片道10分程度の距離が最も長い。

 休みの日ともなれば、一歩たりとも家から出ないなんてことだって、決して少ない事ではなかった。


 え?デートとか行かなかったのかって?

 ナニソレ。おいしいの?



 マンモスマンションと言われる大型マンションには24時間営業のコンビニが併設されて、5分もかからない距離にはスーパー、服のチェーン店、ドラッグストアなどが揃っており、多くの住人はその徒歩5分圏内から出ることなく生活していたし、出るのは通学や通勤で10分もかからない距離の駅に向かう人位だ。


 とまあ、わかりきった前の世界の話はいいとして、初めて馬車というものに乗るにあたって私には用意しておいた秘密兵器があった。



「じゃじゃーん!エアクッションマット~!!」


「なんですかエリス様。唐突におかしな叫び声をあげたりして。」


 まさか自分がそうなるなんて、考えもしなかったけれど、よく異世界に行ってしまった人達が初めて馬車に乗って、やれお尻が痛いだのなんだのという「テンプレ」山百合の支配人さんから馬車の話を聞いたときに、私はすぐに思いついたのだ。


 ベロニカさんのお店で余った端切れを貰い、それをパッチワークして作ったカバーに、グランドマウスの肝を引き延ばし可塑性を上げたチューブに空気を入れた状態で何か所かを捩じり、両端は熱を加えて固めると、巨大なソーセージ―が連なったような状態になるのだ。

 それを先に作っておいたカバーの中に入れれば即席のエアクッションの出来上がりというわけだ。


「それよそれ。その可愛いおしりの下に敷いているクッション。」


「これですか。一体何を作っているのかと思えば、こんなものを作ってらっしゃったんですね。」


「でも楽でしょ?」


「そうですね、元々乗り心地の良い台車を使ったのですけど、これは確かに楽ですね。」


 ちなみにこのクッション、馬車に乗っている皆に渡してある。

 馬上のシバールさんも当初興味津々で、試しに鞍に乗せて乗ってみたものの、跳ねすぎるらしくあわや落馬という場面で、奥さんのスーさんに取り上げられていた。


 ちなみに、一般的にグランドマウスの肝は気持ち悪がられるので、中身は私とリーリカだけの秘密だ。


 確かにそういう風潮があるからこそ、簡単に手に入る割には、それを取ってくる人が少ないわけだ。

 結果的に私はそのおかげで、駆け出しの初心者にしてはずいぶん稼がせてもらったのだけど……あれからまだ2か月も経ってないというのに、目下私の所持金はうなぎ上りだった。

 ぶっちゃけて、上層区とかでなく、中層区だったら、普通に家が数件買えてしまうしまう位には、なっていた。


 なっていたのだけど、諸種の事情があったりと、なにより山百合が事実上の自宅状態になってしまっているトコに、わざわざ家を買う事もないだろうという事になり。

 一番の理由は、山百合には水洗のトイレだけでなく、お風呂があるって事なんだけどね。




 ともあれそうして馬車は、朝もや立ち込める街道へ滑り出していったのだ。


 ◇ ◇ ◇


 のんびりと遠ざかる風景を眺めながらぼんやりしていると、荷台のスーさんが何やら作っていることに気が付いた。


 スーさんとシバールさんはちょっと前まで長距離商隊(キャラバン)の護衛として生活していたらしい。

 ついこの間も、いつものように長距離商隊(キャラバン)に随行していたところ、急病人が出てしまい、その受け入れ準備に次の街へ先行して待っていたそうなのだが、翌日の昼になってもやってこない商隊を心配して戻ってみたところ、無残にも壊滅した残骸が積みあがっていたのだという。

 殺人熊キラーベアそれも数頭の群れの仕業だったようで、付近には争った形跡や、馬車に深々と残る爪痕が残されていたらしい。


 この世界、実はそういった崩壊したキャラバンなどを発見した場合、報告の義務はあるものの、その遺留物については発見者のものとして良いそうで、金目のものはあらかた持ち去られ、依頼料こそギルドの預託金があるが、依頼者死亡の為に終了印がもらえず確認に時間を要すので、すぐに稼げる仕事が必要だったのだそうだ。



 スーさんは比較的背が高い女性で、年齢は20代中盤といったところ。

 背中まである光沢の強いライトブラウンの髪はウェーブがかっているものの、もともと癖っ毛でそうなるのだという。

 長袖のリネンのシャツが一見暑そうなのだけど、直射日光が当たるよりは楽らしい。

 革のロングパンツを普段から履くのも、旦那さんと一緒に馬で移動することが多いからだろう。


 こっちに来るまで知らなかったけど、馬って結構『脂』が凄いのだ。

 うっかり触っていたら手がベタベタになり、こっそり半泣き状態になっていたところをリーリカに見つかって呆れられたのは遠い遠い今朝の話だ。



 話を戻すとスーさんである。


「あの、それ何を作ってるんですか?」


 どうせ暇なのでスーさんに尋ねてみる。


「ああ、これね。これはお守りみたいなもんなんだけど。知らないかしら?」


 なんて言っている。


 無言でチラリとリーリカを窺う。

 じー。


「「………………」」


 更に瞳を潤ませるという上級テクニックに移ろうかと迷っていると、ため息交じりにリーリカが説明してくれた。


「子宝を願うというのも少し違いますが、生まれてくる子供の性別を願って、男の子なら男の子の、女の子なら女の子の玩具を作ると、願いが叶うという迷信ですよ。」


「そうそう、ソレよ。まあ、勿論迷信やらそんな類なのはわかってるんだけどね。あのボンクラが子供は絶対に男にしろとか言っててね。」


 そりゃまた随分と無茶な言い分であった。

「けどまあ、私はどっちでもいいけど、だったらどうせならあのボンクラが欲しがってる息子が生まれれば万々歳ってね。」


「あ、じゃあ、もしかして今……」


 ――妊娠中なんですか?

 と聞こうとしたところで


「残念だけど、まだみたい。」


 突如反対側、つまり、御者台から声がした。



 覗き窓からこちらを見る黒髪、もとい、黒毛の少女。

 ミーシャの顔がそこにあった。


『耳がイイ彼女』には、後ろでも会話もまる聞こえだったようだ。

 そんな彼女を眺めつつ私はこう確信する。



 猫耳美少女は正義だ



こんにちは。

味醂です。


気が付けばエルフ 第39話をお読みいただきました皆様、ありがとうございます。

新たにご支援いただいた皆様にも感謝を。(拝)


相変わらずなかなかシーンが進まないので少々強引に進めてますが、それでも進行しないのが私の様で。。


それではまた次回 気が付けばエルフ 第40話でお会いしましょう。



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