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気が付けばエルフ  作者: 味醂
章間閑話
35/144

章間 閑話1

こんにちは。

味醂です。


気が付けばエルフ 35話 章間閑話1 公開いたします。


 章間 閑話1




 だいぶ通いなれた作業場。

 城塞都市シリウス中層の、とある洋品店で私は働いていた。


 様々な形をした沢山の型紙を生地に当て、それらをパズルのように配置してマーキングをしたのちに、形を抜いていく。


 そうして切り抜かれた生地は、部位ごとに並べられ、次の工程を担当する者へと引き継がれる。


 一見単純に見えるこの作業も、柄つきの生地となれば途端に難易度が上がり、左右や合わせの部分で柄がズレたりしないように、注意が必要な難しい作業だった。


 いつものように淡々と作業をしていると昼を報せる鐘が鳴り響く。

 もうそんな時間かと私は急いて今取りかかっている生地を処理するのだった。



「ほら、それはそのままにしていいから。早く行きなさい?約束しているのでしょう?」


 窓際の机で新しいデザイン画を描いていた店の主人に声を掛けられ私は思わずぎょっとした。

 確かに今日はお昼で切り上げたいと申し出ていたのだけど、その理由は伝えた覚えがないのだ。

 まして『待ち合わせ』をしているだなんて、そんな事少しも話した覚えはなかった。



「待ち合わせに遅れてやってくる女の子を待つのは男の甲斐性のうちだけど、それでも、あまり待たすものじゃないわ。特に付き合いはじめのうちはね。」


 すべてを見透かしたように、気を使ってくれる雇い主に感謝しつつも、私は傍らに置いてあったバスケットを抱えて店を出たのだった。



 そんな様子を微笑ましそうに見ていたベロニカに他のほかの従業員が問いかける。

「良かったんですか?」


「えぇ、いいのよ。だって初めて唇に紅を引いて、嬉しそうにランチバスケットを抱えながらやってきたんですもの。恋は私たちを美しくするなんてことは、あなた達だって良く判っていることでしょう?」


 そんな事を言いながら、ベロニカは最近化粧っ気の増えた他の従業員たちを見回した。


「「「………………」」」


 それぞれに頬を染め、慌てて自分の仕事に戻る彼女達を見ながらヤレヤレと溜め息をつくのだった。



 若いって、素敵よねぇ。

 もうすぐ夏だというのに、いまだ春真っ盛りな職場を見回し、彼女は新たなデザインを考案するのだった。



こんにちは。

味醂です。


気が付けばエルフ 35話 章間閑話1をお読みいただきました皆様ありがとうございます。


第二章の連載開始まで、不定期でちょっとした未回収ストーリーを入れてみようと思います。

文字数などの都合で過去削られた話などがメインですのでSSにも満たないようなサイズですが…


お楽しみいただけたら嬉しいです。

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